Wow Maoの冒険⑩ ミュージアムって子連れでも楽しい! in ヨーロッパ
娘と世界各地で料理を習うのがメインテーマだった旅が、ヨーロッパに到達し、さらにひとつ楽しみ方が増えた。それが、ミュージアム巡り。
子連れミュージアムに開眼したきっかけは、ギリシャの新アクロポリス博物館。子ども向けに宝探しゲームが用意されていて、マオがそれをとても気に入ったのだった。
<私たちがヨーロッパで訪ねたミュージアムたち>
・ギリシャ アテネ国立考古学博物館
・ギリシャ 新アクロポリス博物館
・イタリア ウッフィ美術館
・フランス ルーヴル美術館
・英国 大英博物館
・オランダ ゴッホ美術館
・ベルギー メムリンク美術館
ここで、8歳児の目線で楽しかった3つのミュージアムの、キッズ向けプログラムをまとめてみます。
大人的には、やっぱり有名作品を観る楽しみだって大きい。ルーヴル美術館でいわゆる「モナ・リザ(正式名称は『フランチェスコ・デル・ジョコンドの妻、リーザ・ゲラルディーニの肖像』…長い!)」を鑑賞。通常は「国家の間」に飾られているがこの日は「メディシスの間」にお引越ししていた。1階からこの2階の部屋まで約20分並んで、ようやく拝むことのできた作品が想像していたより小さくて驚く。作品は防弾ガラスで囲まれており、絵の前で長々立ち止まると警備員さんに叱られます。
①新アクロポリス博物館(ギリシャ・アテネ)
美術館・博物館の楽しさを教えてくれたのが、アテネの新アクロポリス博物館。パルテノン神殿からもほど近く、アクロポリス地域で発掘された文化財が展示されている。
博物館は6世紀ごろに建てられた邸宅や工房、公衆トイレなどの遺跡の上に建っていて、発掘現場を間近で見ることができる。
娘にとっての楽しみどころは、Goddess Athena's Gameと題したアクティビティ。ギリシャ神話に登場する「虹の女神」イリスのガイドに従って、代表的な展示物のなかから8人の神さまを探し出し、アテネの守護神アテナのお誕生日会に招待しよう!という内容。
例えばこちら↓は、トロイの王子パリスが審査員となって、3人の女神の中で誰が一番美人かを選ぶ「パリスの審判」を描いた国宝。この壺から旅人の神ヘルメスを探すクイズが出題されていた(女性を引き連れている、翼の生えたサンダルを履いてる男性がヘルメスさんです)。
そしてもうひとつ、マオとじっくり眺めてしまったのが、アクロポリスで暮らす人々をLEGOブロックで表現した「LEGO Acropolis」。
オーストラリア在住LEGO認定ビルダーさんが、300時間かかって作った大作で、使用したブロックの数は12万ピース! パルテノン神殿やディオニソス劇場などの建築物が、どんな役割を果たしていたのかが分かりやすく、勉強にもなります。
〜マオの日記より〜
パルテノンは アテナという めがみさまのおうちです。やまのうえのアクロポリスに パルテノンがあります。やまをのぼったら ほんとうに あつかった!
そのあとに ミュージアムにいった。かみさまを さがす アクティビティが とてもたのしかった。ちゃんとみんなを アテナのバースデーパーティに つれていくことが できました。
②ゴッホ美術館(オランダ・アムステルダム)
ゴッホの遺した作品約700点をコレクションに持つ国立美術館で、「ひまわり」や「種まく人」「アーモンドの花咲く枝」などなどの有名作品が鑑賞できる。
娘はここでも、ゴッホにまつわるクイズを解くワークシートにハマっていた。最後のページまで回答を終えると、特製絵ハガキとステッカーがもらえる。
こんな感じの↑ワークシート。
オーディオガイドも充実していて、ひとつひとつの作品の描かれた背景から専門家による解説など、耳からも楽しめた。珍しく日本語版もあった!
大人的な見どころとしては、ゴッホの37年の生涯を追いながら作品を閲覧できるような設計になっている点。娘がワークをやっている脇で、ゴッホの人生に思いを馳せてしまった。
独学でオリジナルの画風を模索しながら仕事と住まいを転々とし、親や妹含め親戚からは疎まれ、画家仲間や女性ともいちいちモメて、どんどん調子が狂っていくゴッホ…。
何ごともすんなりいかない不器用さに、妙に親近感…。
それから、資金面でも精神面でもゴッホをサポートする弟・テオ。テオって10年近くずっとお兄ちゃんに仕送りをしていた間、結婚して一児の父になっている訳だけど、ゴッホが死んで半年後にぽっくり亡くなっている。
何よりも、乳飲み子を抱えて先立たれたテオ嫁のヨハンナは、生前は数枚しか売れなかった義兄の作品の価値をどんどん高めていって、一番すごいのは彼女のプロデュース力なんじゃないか。ゴッホ兄弟以上にテオ嫁に「あっぱれだよ、アンタ!」と讃えたくなった。
「アーモンドの花咲く枝」は、テオの息子の誕生を記念してゴッホがプレゼントした作品。生命力と透明感があって、娘も私もこの絵が一番好きになった。
③大英博物館(英国・ロンドン)
もっとも娘が楽しんだのは、ロンドンの大英博物館だと思う。キッズ向けのコンテンツが充実していた。
〜マオの日記より〜
だいえいはくぶつかん で、ミイラについて べんきょうする バックパックをやった。ミイラが だいすきに なった! たのしかったから あしたも はくぶつかんにいって ローマのバックパックも やってみる。
「バックパック」は文字通り、パズルなどの教材が10種類ほど入ったカバンで、展示物をみながら各教材をまるで謎解きをするように取り組んでいく。
例えばこちら↓は、古代エジプトのミイラについて学ぶバックパック。ひとつめの教材は「ミイラの内臓」についてで、カバンに入っている内臓の模型を使いながら、ミイラの作り方について学ぶ。
ミイラを作る際、エジプト人は遺体が傷まぬように内臓を全部取り出すのだそうだ。肺や肝臓など4つの臓器は、死者が復活した際に困らないよう、「カノポス壺」と呼ばれる専用の容器に入れて大事に埋葬。
たとえば肝臓は人の頭のフタがついた容器に入れると決まっていた。
こうした工程も、模型をいじりながら展示物を観たほうが、子どもにとってはイメージしやすかった様子(大人にとっても「なるほど」感があった)。
それにしてもエジプト人、人間だけではなく動物も丁寧にミイラにしていたんですね。猫は聖なる生き物だったそうで、こんなふうに立派なミイラが展示されてました。
紀元前750年ほど前の、古代ローマ人の生活を学ぶバックパックでは、兵士が履いていたとされるサンダルのレプリカを実際に履いてみる、なんて教材も入っていた。靴底がペラペラで、歩きにくそう。
大英博物館でどうしても観たかったもの
それにしても、大英博物館がすごいのは「こんなものまで持ってきちゃったの?」と驚くほど、巨大&大事な文化資産を世界中から集めていること。
たとえばこちらは↓まさにギリシャ・アテネのパルテノン神殿から持ってきた彫刻たち。19世紀の英国外交官エルギン伯爵が削り取ってきたものとされている。
実際のパルテノン神殿の東正面。屋根下の三角部分からこれらの彫像が削り出されて持ち帰られたそうだ。
実物がないので、アテネの新アクロポリス博物館で展示されている彫像の多くはレプリカになっている。「およそ6割の彫像が、大英博物館に展示されている」として、具体的にどのパーツが持っていかれてしまったかを丁寧に説明するビデオ展示↓まであった。
〜マオの日記より〜
ほとんどの ちょうこくが イギリスじんに ぬすまれてしまっていて ちょっとひどいとおもった。
ギリシャは繰り返し、英国に返還を求めているのだけど、もしこれに応じたらエジプトも「ミイラ返して!」って言ってくるのだろうか。
文化資産をめぐるバトルはまだまだ続きそうだなー。
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