見出し画像

のの花だより6月号


梅雨を乗り切る「腎」の元氣


今年も梅仕事の季節が近づいてきました。私は自分で梅干しは漬けないのですが、梅酢は結構よく使います。料理にももちろん、具合の悪い時にお湯で割って飲んだり、これからの季節には氷水や炭酸水で薄めてスポーツドリンクとしても使えます。市販のものは果糖液糖や精製アミノ酸など、あまり取り入れたくないものが沢山入っていますが、梅酢なら安心です。


日本では一時期、減塩信仰が盛んでしたが、マグネシウムなどのミネラルが豊富に含まれたよい塩分をしっかり摂ることは大切です。


もちろんその必要量は1日何グラムなどと一律に決められるようなものではありません。外で身体を動かして汗をかいた時は、当然身体の塩分が沢山排出されているのでその分補給が必要ですし、一日中クーラーの効いた部屋にいたら、塩分も栄養もそれほど摂る必要はないのです。


だから、適切な塩分量というのはその人が「美味しい」と感じる量がそれぞれ正解で、無理に減塩させたり、自分が汗をかいていないからと、外で働いていた相手にも同じ味付けを押し付けたりすると故障が生じます。

先日、高血圧の基準値が引き上げられたそうですが、それまでは50〜60年前と比べると大幅
に低く設定されていて、また体格による差なども考慮されていません。このような外から当てはめられる基準や数値という不確かなものを盲信せず、何事も自身の体感で「ええ塩梅」を見極めることを大切にしたいものです。



さて、5月には、しっかり汗をかける身体になっておきましょうということで、発汗の調整点をお伝えしましたが、梅雨に入ると湿気が皮膚にまとわりついて上手く汗を発散できなくなります。

身体に溜まった毒素を汗で排出することが出来ないと、その負担は腎臓が負うことになります。身体が重だるくなる、浮腫むなどの症状は腎臓が弱っているサインです。


しかも梅雨の時期は、身体が夏仕様に開いてきているのに、雨で気温の低い日が続いたり、足元を濡らしたりして、意外と身体を冷やすことが多いのです。

冷えは腎にとって大敵。この時期に増える膀胱炎や、喉、耳、膝の痛みなどの症状は、冷えによって腎がくたびれた結果と言えます。

つまり腎を元氣にしておけば、湿邪(しつじゃ)に入り込まれず、梅雨も梅雨なりに溌剌と過ごすことができるというわけです。



それには、先に書いた「ええ塩梅」に塩分を摂ることに加え、冷えを感じたら足湯(ギリギリ入れる熱さのお湯に足首まで6分、長くも深くもしない)がおすすめです。


また、胸の前で手を組んで身体をねじる運動、胸椎10番と足の3指、4指間の愉氣も効果的です。この3つは実際に体験してみると効果がよく分かりますので、6月のセルフケア茶話会で紹介したいと思います。どれも簡単なケアなので、ぜひマスターして、ご家族でお手当てをやり合ってください。


愉氣は外から何かを入れるのではなく、その人自身の内側の力を発揮させるものですから副作用も、刺激への慣れによる感受性の鈍りもありません。

しかも受ける側だけでなくやる側の身体も整って、お互いが元氣になれるという優れものです。


「打撲」は甘く見ない


5月の下旬、5歳の息子が自転車で坂道を駆け下りて転倒し、顔の右半分に怪我をしました。血みどろで、目は腫れて開けられない状態でしたが、縫わなければいけないような深い傷はなさそうなので、家で手当てをしました。


整体的には、身体への影響で最も氣をつけるのは「打撲」です。癌や糖尿病といった病(ヤミ)というのは、自分の身体で時間をかけて作り育ててきたものなので、愉氣でその人自身の身体の働きが高まれば自然に治っていきますが、打撲というのは自分の外側から、自分のリズムとは全く異なる速度でやってきます。

この「速度」の影響は重大で、何十年も経ってから、思わぬ形で変動として現れてくることもあります。どうしても取れない腰痛や膝の痛みが実は忘れていた数十年前の打撲に起因していることも多いのです。(整体には、このような場合の「打ち身抜き」という操法もあります)


子どもは特に、頭の打撲で外傷が見えない場合があるので、幼児期には普段から「幼稚園とか外で頭を打ったら教えてね」と言い聞かせておくこと、先生にも、外傷は構わないが、頭や尾骨を打った時には報告してもらえるよう頼んでおくことが大事です。

というのは、頭を打った日はお風呂に入らないことが絶対だからです。頭を強く打っても、傷や腫れがなく、内出血に氣づかれないままお風呂に入れられて出血が酷くなり、障害が残ったり、最悪の場合、命を落とすこともあります。


打撲の程度にもよりますが、頭を打った時は、一応4日間、出来れば7日間はお風呂で温まるのは避けましょう。2,3日は、強い日に当たるのも避けましょう。

大人は自分で注意して入らない。小さい子ほど、そんな時は本能的に入りたがらないので、妙にお風呂を嫌がる時は「今日頭打ってない?」と聞いてみてあげてください。


息子の場合は、はじめ額や目の上、唇の横などから血を流していましたが、打ったであろう右の額の辺りから対角線上の左の後頭部に向けてしばらく愉氣をしていると、右の鼻から血が出てきました。これで頭の中で鬱血はしないだろうと一旦、安心し、呼吸と脈を見ました。


怪我でも病氣でも、一見ひどそうに見えても、一息四脈のリズムが保たれてさえいれば、それは正常な経過をたどっている状態です。静かにぐたっとしているだけでも、一息ニ脈や六脈になっていたら危険ですので、ためらわず病院に行ってください。

この一息四脈を知っているだけでも、怪我や病氣の際の落ち着きが段違いです。出来るだけ普段から家族の脈の感じを知っておくと、より心強いです。



息子は普段、家では昼寝をしませんが、怪我をしてから丸二日間はほとんど寝通しでした。傷の部分には触れられないので、数センチ手を離して愉氣をしていると、かなりビリビリと感応がありました。

とにかく、そうしてひたすら眠って休んだおかげで傷の回復は速く、3日目には外に出られるくらい元氣になりました。7日目に高砂の山田先生に見ていただき、打撲の後遺症がないことも確認しました。


その時に教えていただいたのが、とにかくお腹に愉氣をしておくこと。後頭部を打ったら鳩尾に、前頭部ならお臍の横に硬さが残るので、それをゆるめておくことで経過が良くなるそうです。

お腹の愉氣は万能ですので、子どもの怪我や病氣で、どうして良いか分からなければ、難しく考えず、とりあえず優しい氣持ちでお臍に手を当ててあげるだけでもOKなんです。

ただし「これで治してやろう」「早く良くなれ〜」などと力みすぎて邪氣を愉氣しないように。どんな場合も、お互いが心地よく呼吸できていることが一番大切です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?