月夜のドライブ

今年最後の満月は12月12日でしたね。
12月の満月は「コールドムーン」というそうです。
素敵な名前だと思います。

私は昨夜(13日の夜)、1時間ほど車を運転しました。
19時前に出発。ルートはほぼ真東を向いて市街地から郊外に出て、その先の農道をさらに東に一直線に進む、というもので、月に数回は利用する慣れた道でした。

帰宅ラッシュで混雑したバイパス道のトンネルを抜けたとき、正面の東の空にくっきりとした輪郭の鮮やかな黄色に輝く月がいきなり目に入りました。
高さは前方の低い山の稜線のすぐ上。

あまりに大きく明るく、しかもその位置がすごく低かったせいもあり、最初はまさかそれが天体だとは思いませんでした。
「新しいパチンコ屋でもできたかな?」
と、何かの看板かオブジェ的なものだと思いました。
しかしその直後に「今年最後の満月〜」のニュースを見ていたことを思い出し、
「月だ!」
と思い至りました。

あらためて目をやると、まるで舞台の書き割りみたいにはっきりとした円形で、色はクレヨンの黄色みたいな濃厚さ、本当に作りものみたいでした。
運転中なので凝視はできないし写真も撮れませんでしたが、いいものが見れた、ととても満たされた気持ちになりました。

郊外に入ってだいぶ空いてきた道を、私は予定通りに車を進めました。
田舎道のうねりに合わせて右往左往しながら、しばらくの間一日過ぎた満月は私の車のフロントガラスの上の端っこを漂っていました。
いいドライブでした。

1時間ほどが経ち目的地に近づいたころには、月はだいぶ上って車中からは見えなくなっていました。
目的地周辺は一面のじゃがいも畑なのですが、少し高台になっていて海が見下ろせます。いつもここに到着するのは20時ごろ。近くに建物などの光源はほとんどなく、見える海面は漆黒で周囲の陸地との区別もあいまいなほどです。

思いがけず月夜を堪能できたな、と得した気分のまま駐車場に車を回そうとしたとき、遠くにぼんやりと、薄く黄金色に光る一帯があるのに気づきました。
「向こうの畑にでっかいビニールハウスでもできたのかな?」
と思ってよくみたら、満月に照らされた海でした。

真上には今日の道中に付き合ってくれた月があいかわらずまん丸に輝いていました。色はだいぶ白味が増して青白く、寒い夜によく似合ういかにも月らしい月に変わっていました。

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