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明るい霧と、暗い霧

明るい霧は、軽い。
ずっと包まれていたいのに、いじわるな風がすぐに吹き飛ばしてしまうから、長持ちしなくて、悲しい。

暗い霧は、粘っこい。
重くて嫌な臭いもして、明るい霧と違って長く長く留まるから、世界のすべてが悪いものに感じられて、私をひどく落ちこませる。

明るい霧は、儚い。
暗い霧は、冷たくて怖い。

それでも暗い霧にどこか親近感を覚える私は、怠惰にうずくまったまま、重く嫌な臭いの空間に浸り続けている。

私に微笑む、暗い霧。


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