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自分らしいコーディネートを見つけよう

福岡の高校でスポーツ科のクラスの副担任をしていた時の話です。
ねえ、ちょっと聞いてよ!と高校3年生の元野球部、誰もが知っている実業団からスカウトされた生徒が、調理室で実習の後片付けをしている私のところにやってきました。

野球部…あいつがさ、オレと一緒に歩きたくないって言うの!ねぇ、テンコ(当時、そのクラスではテンコと呼ばれていました)はどう思う?ひどいと思わない?
私…まー、私はあなたのお母さんでもないし…、Aちゃんがそう言うなら、仕方ないんじゃない?お気の毒でした。
野…ねぇ、ちょっと、テンコ、オレの副担任でしょ!家庭科の先生でしょ!どうにかしてよ。
私…私、この前、授業で話したばっかりだよ。コーディネートの話。被服のところで。全然聞いてなかったんだ。お気の毒。
野…聞いてたよ。T.P.O.ってやつでしょ!
私…聞いてるじゃん!ソレソレ!で、どこに行くのに、どんな格好して行ったの?
野…あいつが花火大会に行きたいって言うからさ、私服で行ったんだ。
私…ほう。私は制服と野球部のユニフォームしかみたことないな。へー、花火大会行ったんだー!よかったね。
(野球部君の名誉のために、私服の詳細はご想像にお任せします)
なるほど、私は別におかしくないと思うけどな、Aちゃんは何が嫌だったのかな?Aちゃんじゃないから、私、わからないな。
また、何かあったら話においで、と言って野球部を帰しました。
30分後、野球部君の彼女のAちゃんが走って調理室にやってきて…
A…テンコ、聞いてよ!あいつったらね、花火大会にめちゃくちゃダサい格好で来たの!もう、私、一緒に歩きたくなくて、泣きそうだった!
私…ふーん、そうだったんだ。なんかそんな話、さっき聞いた気がするなー?それで?
A…やつはさ、自分がカッコいいって思い込んでるの!でもね、全然カッコ良くないわけ!だってよ…
(ここから30分以上彼女のファッション談義を聴きました)
私…あ、いいこと思いついた!
A…何?
私…野球部くんはさ、今までずーっとずーっと野球しかしてこなかったわけじゃない?野球のセンスは抜群だし、スカウト来るくらいなんだから、きっとこれからも野球界で活躍するよ。多分ね。そんな時に私服がダサかったら、確かに残念だわ。だったらAちゃんが、野球部くんの洋服のコーディネートしてあげたらいいのよ。
シャツはこんなのがいいとか、バッグはこんなのがいいとか、文句ばっかり言ってても、野球部くんの中にはないセンスなんだから、赤ちゃんを育てるように教えてあげればいいんだよ。
A…男子ってめんどくさいな〜
私…ノーコメントで。
自分らしいコーディネートをしようとするとき、自分ではOKと思っても、そうではないことも多々あります。
一緒に歩きたくないと言われる前に、近い存在のオシャレ番長に尋ねてみるのはいかがでしょう?
自分が好きな服が、必ずしも自分らしいコーディネートとは違うこともあります。
ちなみに、私、その日に授業をする内容によって服を変えます。
秘書講座をするときは、ビシッとスーツを着ます。
調理実習の時は、白衣。
製菓製パン実習の時は、コックコート。
保育分野の時は、薄いピンクのセーターとか。
一人で複数の科目を担当しているので、着る服によって自分を演出しています。
自分らしいコーディネートについて、考えたことがありましたか?
コーディネートは自分のためだけではなく、相手のためであることもありますよね!

Have a lovely day!

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