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マイ・セカンド・アオハルのテーマが深すぎて思わずうなってしまった件

マイ・セカンド・アオハル第1話を視聴した。
不運で大学受験を失敗し、勢いで上京して惰性で契約社員を続けてきた主人公の白玉ちゃん。
上京後のダメっぷりは「20代現状維持の法則」そのものだと思った。

とくに目標もなく、東京で生活するのにギリギリ不自由ではない程度の収入を得ながら契約社員として働き続けた白玉。
30歳の誕生日を迎えるタイミングで、突然契約更新がなくなり仕事を失ってしまう。
さらに事故で両足を怪我して実家に戻ることに。

ここだけ見ると、上京して10年もあったのに何をしていたのかと。
努力不足の自業自得の結果だろうと厳しい意見が飛んでくるかもしれない。
結婚も仕事も自分の夢も真剣に考えず流されていただけなのだから。

しかし、40代後半の今だからわかる。
20代って謎になんとかなる感が強い。
恐らく心身ともに元気で、病気になっても寝てれば治るくらいの健康体で、さらに社会で20代はまだ新人のようなもので、大目に見てもらえることも多く、周囲も未婚者が多く、なんなら無職やフリーターも多く「みんなこんなもん」という謎の安心感があるのだ。
この状態で自分に変化を起こすのは、かなりの精神力と決断力が必要になる。

主人公白玉もそんな感じだったのだろう。
生活に若干の不満を覚えつつも、東京の華やかなオフィスで仕事をし、理解ある同僚(正社員)とときどき酒を飲んで話す。
お金がないなりに趣味に打ち込み、気ままな1人暮らしを楽しんでいたのだろう。
ここまでの行が、非常にリアルな独身30代男女の絵なのである。

少子化が進み、30代でも若手の部類に入る職場も増えてきた令和。
しかし、女性の30歳の重みは未だ大きく、白玉は不運が重なったこともあり自暴自棄気味になる。
が、彼女には甘えられる実家があり、しかも夢を応援してくれる恵まれた環境だ。
それでも不幸の連続からの臨時収入を元手に一念発起し、大学受験に再チャレンジ、見事合格して31歳の大学1年生になるというストーリー。

そこで出会った学友のつてで、集団生活をすることになる。
これからは、20歳前後の学友との集団生活と大学生活が描かれていくのだろう。

ドラマだからこんなにうまくいく。
もちろん、30歳になってから学び直しをすることは素晴らしいし、努力すれば結果がついてくるものだ。
そういう夢と希望を与えるドラマなのだろうと思う。

だがしかし…。

今後どのような展開になるか知らないが、31歳で入学した白玉は、卒業時には35歳になっている。
35歳、未経験業種での転職が限界と言われる年齢だ。
さらに、女性では初産が高齢出産扱いになる年齢でもある。
大学で勉強したからOK!就職だって順調!とは言えない年齢だろう。

だからこそ、今後の展開が気になって仕方がない。
単なるサクセスストーリーでは、全くリアルではなく、むしろ白けてしまうかもしれない。
かといって、遅いスタートの過酷さをリアルに表現すると、これまたしんどいドラマになってしまう。
このバランスが非常に難しい。

しかも、誰に向けて共感を呼ぶのかも難しいドラマだ。
きっとアラサー独身女性に向けているのだろうが、現実の厳しさを知っているからこそ反発を呼ぶかもしれない。
結婚願望があれば、30代前半を大学生活に費やすリスクも考えるだろう。
もしも、白玉がタイトル通り2度目の青春を謳歌し「恋も勉強も充実♡」的な内容になっても、リアルなアラサーは「素敵♡私も2度目の青春があるかしら♡」なんて楽観的にはならない気がする。

年齢の垣根を越えて友情を育むのはすばらしいこと。
いつだってやり直しができることもすばらしい。
しかし、それができる環境は当たり前ではなく、実はとても恵まれたことなのだ。

そんなことを思いながら、ドラマの今後を見守ろうと思う。


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