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訳詞:The Rolling Stones「Back Street Girl」

レコードプレイヤーを買ってから、最近は夜な夜な寝る前にレコードを聴いている。すごく落ち着くのである。ある晩に聴いたのはローリング・ストーンズのアメリカ編集盤「Flowers」のB面だった。その前の晩にA面だけ聴いてそのままにしていた。レコードのいいところのひとつは、時間がなかったり集中力が続かなかったりするときには盤をひっくり返さずに片面だけ聴いて、続きはまた今度、という聴き方ができるところだ。自分が持っている「Flowers」は数年前のカリフォルニア出張の際に50セント(ドルではない、セント)で買ったボロボロのレコードだけど、大切な宝物。B面の1曲目は「Back Street Girl」である。オリジナルアルバムでは「Between The Buttons」に入っていて、大好きな曲。「Lady Jane」もそうだけど、何だか自分は60年代ストーンズがやったバロック・ロックな曲が好きみたいである。旧ブログで記事にしたことがある「Sittin' On A Fence」も好きで、ブライアン(多分)のクラシックっぽいギターが入ったフォーキーな曲。

「Back Street Girl」の歌詞だけど、普通に読めば何とも身勝手な酷い内容である。しかし、この曲はこんなに美しい。この上流階級の男はやがて「裏通りの女」のために身の破滅に追い込まれるのだろう。「Ruby Tuesday」しかり、「Wild Horses」しかり、ある時期までのストーンズは、滅びの美学というのか、透き通ったやるせなさが胸を打つ曲をいくつも残している。絶対的ビートルズファンの自分ではあるけど、こういう壊れそうに危うい美しさが心に刺さるような曲はビートルズにはひとつもないと思うし、ストーンズでなければ駄目、という人の気持ちもよくわかるのである。

きみには舞い上がってほしくない
きみには落ち込んでほしくもない
きみには嘘をつきたくない
ただぼくのそばにいてほしい
ぼくに話を聞かせようとしないで
きみがぼくの言うことを聞いてくれればいい

ぼくの世界から出て行かないでほしい
ずっとぼくの裏通りの女でいてほしい

どうか ぼくの生活に入り込もうとしないで
きみはきみの世界から出てこないで
ぼくの妻を煩わせるのはやめて
そんなふうだときみは援助を受けられなくなるよ
ぼくの馬に乗ろうとしないで
きみはしょせん一般庶民の
がさつな女なんだから

ぼくの世界から出て行かないでほしい
ずっとぼくの裏通りの女でいてほしい

どうか ぼくの家に訪ねてこないで
夜中に自宅をノックするのはやめてくれ
電話は絶対に鳴らさないでほしい
きみは礼儀正しいとはとてもいえない
ぼくの親切を黙って受け取って
お行儀良く会釈して
知らん顔していてほしい
ぼくだけのために

ぼくの世界に入り込もうとしないで
ずっとぼくの裏通りの女でいてほしい
ずっとぼくの裏通りの女でいてほしい

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