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ハムスターホイールと教員:働き方改革はなぜ進まないのか

 私たち教員の自宅にあるダイニングは、食事の場、憩いの場ではなく、もう一つの職員室、影の仕事場と化している。
 夜間も週末も、終わることのない業務に取り組み続けている教員の日々。
 まるで「絶えず車輪を回さなければならないハムスターホイール」を自宅のダイニングに設置しているかのようだ。

 校長や教頭が監督役となる「働き方改革」によって、教員の帰宅時間が遅くならないように管理が徹底され、定時で「退勤」することが強く推奨されている。私たちは職員室での「残業」から解放された。
 だが、ダイニングにハムスターホイールが設置されている限り、私たちの労働時間はいっこうに減らない。働き方改革が意図したような成果を得ることは難しい。

 これはいったいどうしたことなのだろうか。

 私たちは教員になるために小学校、中学校、高等学校、大学で学び続けてきた。その過程で、私たちは「学校でも自宅でも学び続けること」を刷り込まれた。自宅で勉強し、週末に宿題に取り組み、休日と言えども学ぶことをやめない。それが、教師や家族が期待する行動様式だった。

 滅私奉公的な学び方を刷り込む学校教育に過剰適応し、ハムスターホイールを回し続けることによって自己実現を果たしてきた者が教師を志し、自らが教職を勝ち取った学び方そのままの働き方を自ら選択し続けているのだ。

 長い時間をかけて築き上げられてきた学びの文化、仕事の文化にどっぷり漬かっている私たち学校人間。
 私たち教員にとっての自宅のダイニングテーブルが、家族とともに過ごす食事の場であり、自分自身のための憩いの場であることは、果たして見果てぬ夢なのだろうか。

 そもそもこれを書いているのは、日曜日の午後10時過ぎ、自宅のダイニングテーブルである、わけ、なの、だが。。。



                未

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