コロナ禍で2次創作BL同人アンソロジーを作った記録
推しカプの同人小説を浴びるほど読みたい。
2019年が終わろうという頃、かねてからのこの欲望をおさえきれなくなり、ついに自カプのアンソロジーを作ることを決意した。
決意した直後に企画を発足し、紆余曲折がありながらも2020年10月に無事発行に至った。ありがたいことに好評をいただき、版を重ねることもできた。
今思い返せば、頒布するまでには感慨深い出来事が多々あった。そこで思い切って、制作途中の思い出や記録を、時々余談を交えながらここに記しておこうと思う。もしかしたら、同じように推しカプのアンソロジーを作りたいという人の役に立つかもしれない。すべての推しカプ作品を愛する同人者に届け。
--2019年12月30日 企画発足
自カプを愛する同志フォロワーと、ツイッターで「自カプアンソロあったらいいね〜」という話をしていた。ふんわりと。
私の愛する自カプはそこまで規模が大きくなく、これまでカップリングアンソロジーというものを企画されたことがないのだ(こんなにも萌えるのに?!)。最初は希望形だったものの、次第に「作りたい…作れるかも…?」という気持ちが強くなっていき、フォロワーとの会話はツイッターからラインに移行した。この時、すでに四割くらい「やる気」だった。こんなテーマだったら萌えるよね、とか誰誰なら引き受けてくれるかも、とか、話が次第に具体的になっていく。フォロワーもほぼ乗り気のように思えた。そしてついに、「企画しちゃいます?!」という核心の言葉が。
「やりましょう!自カプアンソロ!!」
折しも前日12/29のコミックマーケット97で、自カプが所属しているコミュニティ(ユニット?ファミリー?派閥?)くくりでの有志プチオンリー開催情報がリリースされたばかりであった。ジャンル全体からすれば小さい界隈である。もしかしてうまく発行できたら、プチオンリーに華を添えられるかもしれない。
--2020年1月3日 企画書作成
決意してからの行動は早かった。
この日、記録によると件のフォロワー(以降、A氏とする)に企画書概要のたたきを提示している。
具体的なカップリング名諸々はぼかすが、完成した概要(本文執筆依頼者向け)は以下の通り。
この他、表紙イラスト作成依頼用・アンソロタイトルロゴ作成依頼用・ノベルティイラスト作成依頼用の概要がある。依頼内容によって、成果物納品形態や謝礼・締め切りの条件が異なるが、ベースは同じ。
ロゴ・イラスト系の概要の中には、「ご提出いただくイラストは、こういった用途で・この範囲で使用をされますので了承ください」という文が添えてある。
テンプレートはgoogleドキュメントに標準で用意されているものを使用した。一から作るのは面倒だし、それなりに見栄え良くできるので効率的だ。
執筆を依頼する際に大事なのは、参加者に企画内容の魅力が伝わることや、具体的な作業イメージを持ってもらうことはもちろんだが、こちらから提示するモノのぱっと見の見栄えをよくし、親切を尽くすことで、「主催者の本気度」を伝えることは肝要だと考えた。世には残念ながら、実行途中で計画が頓挫してしまうアンソロジーもある。執筆者へ少しでも不安を抱かせることは、計画頓挫に直結する。「本当に企画をやり遂げられるのか?」「主催とのやりとりがメンドそうだから個人誌でいいよ」「ウェブで自分で作品をアップするよ」と思われてはいけない。こちとら、どうしても自カプのアンソロジーが欲しいのだ。主催者が「「本気」」ならば、どうしてこのような少しの手間を惜しむことができよう。
ここで一度、このアンソロジー発行に関しての情報を整理する。
・主催者・・・のなか(私)。同人歴18年ほど(中抜け数回・計5年位)の漫画書き。自カプの漫画同人誌を企画発足段階で5冊発行している。アンソロジーの主催側としては大学時代の漫研部誌や有志企画で2〜3度経験あり。合同誌は4回ほど発行経験あり。アンソロジー寄稿は5回位?
・本文執筆ご担当・・・ツイッターで相互F関係だったり、pixivや他SNSで自カプ作品を投稿されていて一方的にこちらがファンというだけの方だったり様々。13人ほどに声かけをして、結局引き受けてくださったのは7人だった。ファーストコンタクトの方が半分くらいだったので、これでも多いと思う。
・表紙・ノベルティイラストご担当・・・相互フォロワーで自カプ絵描きの方。みなさんめっちゃ絵が上手い。イベントで面通し済み。
・ロゴ作成ご担当・・・同ジャンル内絵描きさんで、別沼の温泉に共に浸かっている。同人誌の絵柄や作風やデザインワークがとても好み。作風が今回のテーマにも合いそう!ということで打診した。
※余談…全然違う地域に住んでいるのに同人イベントで年に6回くらい顔をあわせるので、一般の友達よりも頻繁に会っている(同人者にはよくあること)。
・協力者・・・A氏。自カプの熱い同志。尊敬する小説書き様様。私よりも長く自カプ作品を書いている。企画発足段階から携わっていたので、複数主催という形にさせてもらおうかとも考えたが、検討した結果アドバイザーということに。
※余談 複数主催とすると様々なリスクがある。
・参加者を混乱させてしまうかも
・担当作業のバランスによっては不公平感があるかも
・発行に関わる費用や売上金の配分に不満が出るかも
・問題があった時、責任の所在があいまいになるかも
・意見がまとまらなくて作業に滞りが出るかも
・意見の行き違いで不仲になるかも ・・・などなど。
複数主催制を否定するわけではない。複数主催制のメリットとしては、作業分担ができたり、一人あたまの費用負担が少なくなるため冊子やノベルティを豪華仕様にできたり、などがある。
しかし今回、幸運にも前年度の同人誌の売り上げでそこそこの余剰が出て、資金は手元にあった。企画者間のコミュニケーション面は問題ないと思うが、あいにく社畜であるため私にはあまり時間がない。主催内意見すり合わせには相応の時間がかかる。・・・それならもう自分の裁量で、時々A氏に制御してもらいながら、自分の責任で作りたいものを作ろう、という考えでこの体制とさせてもらった。また、そこまで大人数の参加者がいる企画でもない、ということも大きかった。
--2020年1月4日位〜 本文執筆者候補へ依頼開始
企画概要PDFをお送りする前に、一度執筆者候補へ
「こんな企画を考えてるんですけど、ご参加いただけませんか?ご興味ありましたら詳細事項が書かれたPDFをお送りします」
という旨のメッセージで打診する。なんとなくの人情として、いきなり「ガチ」感あふれる企画書を送りつけると引かれるかもしんない…と考えた。
その後PDFを確認してもらった方には、いついつまでに参加可否を返答ください、と言葉を添える。本文の執筆者候補の方から送り始めたのは、まずメインである本文の方が集まらないと、企画倒れになる可能性があるためだ。
アンソロジータイトルを決めたのもこの頃だったと思う。案を出し合い、最終的にA氏が最高のタイトルをつけてくれた。そのまま自カプオンリーイベントのタイトルにできそうなインパクトのあるものだ。さすが長年の自カプ小説書きである。頭が上がらない。
タイトルが決まらないと、ロゴを作ることができず、諸々の告知活動にうつれない。告知活動開始時点で、メインビジュアルである表紙イラストは用意できなくても、ロゴだけは準備しておきたかった。何らかのビジュアルを以て初回告知を打ち出すことが重要であると考えていたためだ。視覚情報のインパクトは侮れない。
--2020年3月〜 ロゴとイラスト系執筆者候補へ依頼開始
幸運なことに、本文の執筆参加者は7名お集まりいただけたので、企画は成立できる見通しがたった。
その後さらに幸運なことに、ロゴもイラスト系の依頼も、二つ返事で快諾いただけた。自カプのためにこんなに人が集まってくれて……と考えて嬉しかった。
ロゴについては告知活動で使用する機会があり、先行して準備する必要があるため、さっそくイメージを固めて依頼準備に入る。
※余談
ところで今回なぜ「小説」アンソロジーなのかというと、私は自カプ同人小説が大好きだからだ。漫画は自分で書けるけれども、小説は満足できるレベルのものが書けない。また、自カプ界隈は、小説同人誌を発行されている方が少なかった。しかしオンラインで作品発表されている方は多いので、そこそこ参加者は集まる希望があった。「成人向け」指定にしたのは、個人的に同人小説に「成人向けであること」を求めていることが多く、実際自分と同じような方は多いのではないだろうか、と考えているためだ。
ということで、創作者としての自我を完全に封印し、自分はプロデュース側として務めることを徹底した。また正直なところ、自分がアンソロジーに創作側として参加してしまったら、制作作業で自分の手が埋まる時期が出てくる。その間に他の作業をコントロールする自信がなかった。
--2020年3月 ロゴ制作依頼
ロゴを自分で作ったことはあったが、依頼するとなると意外と難しい。なぜなら頭の中にあるふんわりとしたイメージを相手に伝えることになるからだ。どうしようかな…と考え、前職(クリエイティブ系・宣伝物制作)の経験を思い返し……自分の頭の中にある「ふんわり」としたロゴイメージと似ているものを採集しましょうという考えに至った。
そこでロゴ作成担当へ、こんなものを送り依頼してみる。
こういうものを何と呼ぶのかわからないが、とにかく、「これはイメージと遠い」「これは近い」というものを採集して列挙したものだ。
はじめに「カプのモチーフである●と●はロゴにいれて欲しい」などの細かい要望は出していたが、上記の画像は追加でお送りした情報になる。はじめにまとめて依頼できなかったことを反省した。ロゴ担当の方は自カプ沼所属ではないので、イメージはビジュアルで以って伝達すべきであった。
併せて、表紙イラストご担当の方の普段の自カプイラストもみていただき、この絵柄にロゴがのります、という参考情報もお伝えした。そうして、なんとかロゴの方向性をなんとなくつかんでいただけたらしいメッセージを受信し、一安心した。
ロゴ制作過程としては、
TAKE1・原案3〜4パターン出し
→コメントバック、案絞り込み(A氏と協議)
→TAKE2・ブラッシュアップして校了。aiデータで納品いただく、というもの。この間、振り返ったところ、依頼3/8〜納品3/30(スピーディに対応いただけて感謝感謝でした!!)。
そもそも好みのデザインをなさっている方に依頼をしたために、成果物がイメージとぴったりハマってスムーズにことが運んだのかもしれない。提案いただいたロゴがとてもかわいく、あなたを信じて指名してよかった!!と感激した。
自分の依頼の仕方がこれでよいのか不安だったが、ご担当の方にはわかりやすいです、とコメントいただけたので、よかったのではないかと思う。人と一緒に何かを作り上げることは楽しい。
--2020年4月12日 アンソロジー企画告知活動 始動
さて、ロゴはできたので、告知活動に入ることとした。ツイッターで告知アカウントを作り、はじめのツイートを下書きする。
ここで不信感がある言葉を使うと、「この企画は大丈夫か」なんて思われかねないので、ツイート内容はA氏にチェックしてもらう。
しかし3月上旬あたりから、新型コロナウイルスの影響で同人イベントがのきなみ中止や延期となり始めていた。アンソロジーの発行は10月イベント合わせとはいえ、まずもってイベントが開催されるのかがまったく不透明になってしまった。
取り急ぎ、「アンソロジー発行時期が変更になる可能性がある」旨、はじめのツイートと同時に告知した。参加者も発行について不安に思っているかもしれないので、「発行時期変更になるかもしれないけれど、当初の締め切り通りに進めてください。基本的に、発行時期はプチオンリー開催日程に準じます」という旨をDM等でアナウンスした。アンソロジーでプチオンリー盛り上げの一助になりたい、という勝手な役割意識を持っていたので、そこは最初から最後まで指針を変えなかった。
ただ、企画の一部として想定していた「フライヤー頒布」はイベント開催に依存するものであったので、諦めざるをえなかった・・・。
ちなみに、こういった一斉アナウンス系のメッセージには「返信不要です」「確認したら絵文字つけてもらえたら安心します」など一言添えてあげると親切ではないかと思う。
また、こういった情勢下なので特にだが、執筆者が参加を辞退するということも十分考えられる。これは当初から決めていたことではあるが、参加者リストの公開は「原稿を受け取ってから」するほうがいいと個人的には思う。原稿を受け取っていない時点で名前を公開してしまうと、何らかの事情で誰かが参加辞退になってしまったときに「●●様は参加辞退となりました」という告知をする必要が出てくるためだ。気にしない人はいいかもしれないが、何らか主催側とトラブルがあったのではないか、と勘ぐる外野は必ず出てくる。なんとなくその後やりづらさを感じて自カプを書かなくなる人がいるんじゃないか…と思っている。
--2020年7月〜 ノベルティ・表紙イラスト制作依頼
表紙イラストの依頼のときお渡しした希望イメージ↓(依頼というより、ほぼお任せだったのでリクエストを聞いてもらう形になった)
ボカシがかかっている画像は、グーグル画像検索で拾って来たBL商業漫画の表紙カバーイラスト。
基本的に制作の流れはロゴの時と同様で進めたが、ロゴのときと異なる点としてはノベルティや表紙は「印刷物になる」ことだ(ロゴも印刷物になるけど…ロゴがメインの印刷物は今回はない)。
なので、おおむね以下の流れで進行した。
仕上がりイメージを伝え、ラフをもらう
→A氏と協議・コメントバック
→清書したデータご提出
→A氏と協議・コメントバック
→微調整した再度データご提出
→色校正(印刷サンプル)
→イラスト制作者のご自宅へ印刷サンプル送付・チェックいただく
→校了・もしくは責了(こちらで微調整して完成)
イラスト系の依頼物は、印刷サンプルを作った。一発本番印刷ではあまりにも不安だったのだ。それでもちょっと狙いの仕上がりと異なる点はあったが、やはり印刷してみて気づける点は多い。
特に今回のノベルティは、「コルクコースター(下地の白インク印刷なし)」「クリアしおり(ホログラムPPつき)」…と、色の出方が完璧には予測できない類いのグッズであるため、色校正は必須だった。
提出いただいたデータのCMYK値と、手元にあるCMYKカラーチャートとにらめっこしながら、「ここの肌色ちょっと沈みそうだから、明るくしたバージョンも作っておこう」…とか。とにかくチェックandチェックandチェック。受けちゃんの肌は…美白であるほどいいーーー……!!!陶器のようなんだ!沈むことは許されない と、念を込めて。
色校正では、スペースに余白があるならば、色を何パターンか刷ると良い。もちろん本番印刷の印刷所で刷る。クリアしおりを刷ったプリントオンさんでは、サンプル作成サービスがあるので便利。コルクコースターはおたクラブさんで少部数から刷れる。スピーディで安価。
ちなみに、ノベルティグッズを何にするか決める時、担当する絵描きさんの絵柄に合うようなもの、というポイントもあった。グッズの映えは大切である。ノベルティイラストの作成は細かく指定はしなかったが、「二人の顔がグッズの面積を大体何%くらいになるよう、大きめで」と、見栄えに関するポイントはお伝えした。
7/12ごろ、10月のプチオンリーが当初の日程通りに開催されることが決まり、このアンソロジーの発行日も確定した。その旨のアナウンスを実施。
--2020年8月中旬 イラストすべて校了、本文原稿〆切、編集作業。
イラストがすべて校了を迎え、ひと安心したのもつかの間。小説本文の原稿が続々と集まりだした。自分のメールアドレスあてに日々自カプの成人向け小説が届くシーズンが開幕した。主催の特権である。
届いてはすぐ読んで長文感想を送り、そうしているうちに次の原稿が届き…うれしい悲鳴をあげる毎日だった。これですよこれ!!!!
実は一番提出が早かった方は締め切りの一ヶ月以上前に提出いただいていた。筆が早い方は筆が早い…素晴らしい。おかげさまで、時間の余裕があるうちに一連の校了作業を経験でき、後々の原稿提出ラッシュの際に慌てることなく対処できた。
小説の提出形式としては、以下の通り。
プレーンなtxt.データを送ってもらう(一応Wordテンプレもシュミレート用として依頼当初に渡している)
→主催側で文章をテンプレ流し込み、タイトル位置や執筆者名、ヘッダー等を入れてPDF化(ノンブル番号はダミー。奇数ページはじまり固定)
→執筆者へ返送し確認依頼→何か指摘があれば修正
→・・・ →校了
この間、時間一番時間がかかって一週間ほど。概ね三日以内に完了させた。
アンソロジーによっては、「執筆者自身で組版(印刷レイアウト)を作ったものを提出」という形式もあるが、今回は主催者側で紙面を作成した。
冊子全体の統一感を優先したかったし、事前にA氏が作ってくれたWordの組版が美しいし、Wordを持っていないという方がいるかもしれないからだ。
ということで、原稿受領時に執筆者ごとに編集作業が発生するため、やりとりに少々手間はあったが、納得のいく紙面の仕上がりにはなった。
文字校正や表記チェックのやり方として、有効だと思った方法を何個か記しておく。
・紙面を1.5倍くらいに引き伸ばしてプリントしたものを用意する。文字が大きくなっただけで読みやすい。
・赤ペン片手に、読んでいる一字一句の上にペンを滑らせながら読む。
・固有名詞は四角で囲む(表記揺れのチェック)。
・PCの音声読み上げ機能を利用する。黙読だけでは気づかないこともある。
・攻めがひらがな喋りという誤字脱字多発誘引キャラなので、セリフは特に注意。1文節ごとに赤でチェックを入れながら読む。
しかし、Word…。普段、ビジネス文書(めったに作らない顛末書とか報告書とか)を作成する以外に使う機会がまったくないため、本当に操作に手こずった。日常的にWordで文庫サイズ小説同人誌を制作しているA氏に手取り足取り教えてもらえなければ、かなり作業は難航しただろう。
私はWindowsのWordパッケージ版ソフトを持っていなかったので、マイクロソフトのOffice365という月額サービスでWordを使用してアンソロジー編集作業を行った。一応、Macの古いOfficeはあるのだが、テンプレートが作成されているファイルとバージョン違い・OS違いとなると、文字化けや体裁が異なってくるリスクがあると思い避けた。
※余談
本文執筆者のみなさま、〆切の遵守率が本当に良くて驚きました。いちおう、〆切一ヶ月前や数週間前にリマインドのメッセージは送っていたのですが。おかげでだいぶ余裕を持って作業ができました。
↓やわらか〜く、連絡のついでにリマインド(〆切一ヶ月前と、3週間前)
また、すべての参加者の原稿が提出された段階で、参加者リストを告知した。このタイミングで、表紙イラストの一部もメインビジュアルとしてバシッと打ち出す。間違いなくここが企画の盛り上がりピークのひとつで、告知を広められる大事なタイミングなので、ツイッターのアクティブユーザーが多いと感じられる日と時間帯に情報を投下した。こういったことは、なんとなくやるよりは絶対に意識して行った方が良い。なにしろ自カプをたくさんの人に知ってもらえる絶好のチャンスなのだから・・・(自カプ人口拡充のためには何でもする)
ところで、献本以外の謝礼(金券)に関しては上記メッセージにある通り、提出原稿の校了時点でお送りした。全員、DMMポイントやアマゾンギフトをご希望だったため、ギフトコードをお伝えするということになった。なんとなく味気ないが…便利は便利だった。
献本も、感染リスクがあるため対面でのお渡しをやめ、一律でクリックポストでの郵送とさせていただいた。お礼状と再度作品の感想文を添えて。本来ならば、会える方にはイベント会場でお渡ししたかった…。疫病憎し。
でもそのおかげ?で、肉筆のお礼のお手紙をいただけたりして、嬉しかった。
--2020年8月下旬 すべての印刷物入稿完了
個々の原稿の校了作業が完了したので、それらをひとつの冊子にまとめる作業に入った。作品順はどうしようか、コメントページのデザインはどうしようか、あとがきには何を書こうか…。楽しい作業だったが、じつは予想外のことが起きていた。
ページ数が想定以上に多くなって印刷料金がハンパない。
事前に、わかる方には作品が何文字くらいになるかを教えていただいていたのだが、…文庫本のコンパクトさをなめていた。ページ数が膨れ上がるほど上がる印刷料金!たしかに資金はあったがこれじゃ個人誌が刷れないのでは?!!泣く泣く、表紙カバーにつける予定だった箔押しを諦めた…今さら1Pあたりの行数を変えるわけにはいかない…いいのだこれで…。推しカプ本は厚ければ厚いほどいいので…。
冊子についても、試し刷りをした。本番で利用予定の印刷会社さんでは試し刷りサービスをしていないので、一冊だけ刷ってくれるという業者さんを見つけて利用した。そうしたら1作品まるまる、修正後のデータに差し替え忘れていた凡ミスが見つかった。怖い!!!試し刷りしてよかった!!
よかったけど、断裁ミスかなにか知らないけど、文庫本サイズ指定だったのに小口側が3mmくらい小さい仕上がりになっていたのは気になった。
なお最終チェックは念入りにしたが、初版をじっくり読んだら、致命的ではないものの自分の作成ページで一箇所だけ文字ダブりのミスがあった…(再版でサイレント修正をした)。
自分で作ったページについても、チェックポイントは多い。
・目次のページ数と本文のノンブルがあっているか。
・目次と本文とヘッダーの作品名があっているか。
・QRコード(作者のSNSページ直通アドレス)がきちんと機能しているか、1個1個読み取ってチェック。
・各作者の名前やSNSのIDが正しいか。一字一字赤ペンでチェック。
・冊子をパラパラ漫画のようにめくってみて、ヘッダーやノンブルの位置が作品ごとずれてないか、レイアウトがずれてないか確認。
--2020年9月 発行前告知活動。通販予約開始
9月中旬から、1週間に2日、1日に2作品程度の作品サンプル紹介を実施。
告知活動は、主催の重要な仕事だ。最高の自カプ作品を集めてアンソロジーを発行するのだから、できるだけたくさんの人に知ってもらう使命がある。
なによりも、原稿が集まった時点で、私には確信があった。このアンソロジーは間違いなく最高の内容であると。この最高作品たちを一人でも多くの人に読んでほしい!!この感動を分かち合いたい!!という気持ちで胸がいっぱいになっていた。熱血同人者そのもの。
ツイッターでは特に、初告知できちんと目に留まるものにしないと、なかなか情報が渡り切らないという傾向がある。工夫の仕方を調べ、細心の注意を払いながら告知活動を行った。
〜告知活動で気をつけたこと〜
・小説作品は画像化し、特にキャッチーと思われる一文をより抜いて大きく表示させる。
(文字だけだとどうしても絵よりも訴求力が劣るため、一目で売りがわかるよう配慮)
・画像化したものはサムネイルの表示状態が変にならないよう、あらかじめ下書きで必ず確認する。サムネの表示は画像数によって比率が変わるので、場合によっては投稿ごとに画像枚数も変える。
(サムネイルはとても重要。キャッチー部分を目立たせても、サムネで気を引けないと、画像クリックがされず意味がない)
・投稿時間は必ず平日、午後9時ごろ。予約投稿にしておく。TLに人がいる時間帯を狙う。
(これはジャンルや界隈による。普段から自分のTLの時間帯ごとのインプレッションをチェックしておくと良い。どの時間にRT・♡数が伸びやすいのかがわかる)
・サンプルを投稿する日は、投稿の数時間前に「今日は●時ごろサンプルを流します!」と事前告知をしておく。
(ツイッターの仕様で、低浮上のアカウントのツイートは人のTLに表示されにくくなるみたい。呟くことがなくても自RTをするとか、普段から何か少しでも呟いておくとよい)
・サンプル紹介ツイートには主催の一押しポイントのコメントを添える。どんな話なのかを第三者の視点から端的に紹介。
・必ずツイートには「自カプ名」を入れる。自カプ名でツイッター検索している熱心な者は多い。今だけでなく、未来の自カプ者の役にも立つ。
・自カプを表す絵文字があるなら絵文字も入れる。文字より絵文字のほうが目立つため。
・ツイッターだけではなく、ウェブサイトも作成した。こちらはあまり手をかけず、最低限見栄えが悪くないようにWixを利用。告知機能としてというより、企画情報の集積場としての機能を持たせた。
※当然だが、ツイッター上では成人向けを含む描写のサンプルは公開しない。成人向けサンプルは別途pixivで。
また、すべての作品やイラストの紹介が済んだら、直後に通販予約の窓口へ誘導ツイートもする。
これだけやって、通販予約開始翌日に、BOOTH通販予約枠が半数埋まり、2日後には予約数完売となった。別サイトの通販予約も、イベント前には完売となった。予想を超える反響があって嬉しい限りだった。これだけの手応えがあったので、即、再版の印刷所予約を手配。再版の頒布予定日も告知していく。
またこれらの作業と並行して、個人誌の自カプ漫画本(P44)原稿も進行。正直ちょっとつらかった。でも通常入稿で出したんだよ!!!!えらいんだよ!!!!(常時前日入稿限界同人者)
これだけは、この時、胸を張って言えたと思う。
私は、「「本気」」で自カプを拡充しているのだ。なめないでもらいたい。
--2020年10月 印刷物納品・イベント開催
一連の告知や通販などの作業はひと段落したが、今度はいよいよイベント開催日が近づいてきた。コロナ禍で会場に来られない方は多いだろうが(実際A氏も来られなかった…本当なら一緒にキャッキャしながら頒布したかった。残念)、それでもいったん感染が落ち着いていた頃でもあったので、まあまあ来場者はいるだろうと予想していた。今思えばコロナ禍でも最も良いタイミングのイベントだった。
イベント前でも告知はこまめに行った。とにかく存在をアピールする。アンソロジーやノベルティが届いたタイミングで現物の紹介、通販の在庫状況のツイート、イベントのスペース配置の告知、親イベント告知のRT、などなど。参加者さんにも、告知協力ぜひお願いします、とメッセージ送付。
ここで嬉しかったのは、ツイッターをなさっていない参加者さんが、自分は宣伝協力できないからと、アンソロジーに寄稿した作品に関連した小説を宣伝がわりに投稿してくれたこと!十分すぎる宣伝だ・・・
迎えたイベント当日では、様々に楽しいことが起きた。
イベント開場いちばんにアンソロジーを求めに来てくれた方、この本のために同人イベントに初めて来ましたという方(ほんとにほんとに嬉しい!!)、別ジャンルだけど貴方の本だから買うよという方、同人小説は最高なので買うよという方、・・・などなど、発行してよかった。本当に。
結果、正午を30分回った頃にイベント分も完売した。
自分の個人誌よりもアンソロのほうが好評なことに若干拗ねたりもしたが(大人げない)本当に皆さん暖かい言葉をかけてくれて嬉しかったです。
売り子さん、告知に協力してくれた方、参加者のみなさま、購入してくれたみなさま、通販でBOOSTしてくれた方、プチオンリー主催者さま、A氏、自カプ本を出してくれたサークル主さん。ありがとうございました。。。。一生の思い出、一生の宝物です。自カプ万歳!!!!と叫んで死にたい!!
結局今現在、10月のあと一度もイベントに参加できておらず、再版した本はまだいくらか在庫が眠っているので、またイベントで頒布したいな…。疫病憎し。
〜反省もたくさんあります〜
・寄稿作品の、再録時期について企画当初に決めていなかった。校了後アナウンスし、発行後一年で再録解禁とさせてもらった。
・テーマが「初夜」だったので、ネタ被りを気にされる参加者さんは、意見はしなくとも、いたんじゃないかと思う。こちらとしては多少ネタ被りしていても、一字一句完全に同じ作品になるわけはないのだからまったく問題ないと考えていたが、実際ヒヤヒヤされたのではないか。サブテーマを用意しておけばよかった気もする。
・文字校正の要不要について、選択制にしておけばよかったと思う。提出いただいた原稿は、受け取ったら即日、感想文とともに誤字脱字がないか、表記揺れがないか、表現が日本語を逸脱している箇所はないか、他気になったところをコメントバックした。
しかし、提出した時点で完成原稿ではあるので、あまり細かい箇所にツッコミを入れられると、もしかして不快な方もいるのではないか、と指摘されてから気づいた。確かに、小説をアップしているわけでもない絵描きに指摘されるのは、不愉快だったかもしれない。同人小説に並々ならぬ情熱を傾けているせいで、熱血同人小説警察と化してしまい申し訳なかった。
・必要部数が初版の時に足りていなかったこと。どうしても個人誌を刷る資金が必要だったので、やむなしの部数だった。
・色校正をしても、すべてバッチリの色味で出せたわけではなかった。
などなど。
思えば、同人誌が生まれようという時のきっかけはほとんど「衝動」だと思う。衝動と、誰かが・何かが背中を押してくれたらそこがスタート。スイッチなのだ。あの時背中を押してくれて、フォロワーA氏ありがとう…本当にありがとう。一緒に本が作れて楽しかった。
よく考えたら、企画発足前日の冬コミで、南ホール内の寒気にやられ完全に風邪をひいてうなされていたので、熱に浮かされていただけかもしれないが…(寝なさいよ!)。でもそれだけではこんなおおごと成し遂げられないからね。
同人誌を書いている時にいつも思うのだが、願わくば、この「GO!!自分GO!!」という気持ちが制作中にもずっと続いて欲しいもの。個人誌だとモチベの維持が本当に難しい(なにしろ発行を辞めるのも自由、完遂するのも自由なので)。
今はこんな情勢だが、また、すべて元どおりとまで及ばずとも、以前と近しい状態でイベントが開催されるようになったら、元気に同人誌出したいね。
以上 長々と書いたけども、自カプアンソロジーを発行した記録を記しました。誰かの何かの役に立てばうれしいです。
何か他に思い出したことがあれば、追記していきます。
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(2/6追記)
反省のつづき。
・本文執筆者へ、作中におけるNG事項を伝えていなかったこと。依頼する方々の性癖を知っていたので、NGっぽいものは上がってこないだろうという見込みではいたが、親切でなかったな、と後になって思った。
アンソロジーの冊子サイズの話。
最初から文庫サイズと決めていた。理由は2個。
→文庫サイズが好きだから…!!個人的に、握力が弱くてA5サイズの分厚い小説本を長時間開いて読み続けると疲れてしまう。本によっては紙にコシがあって本当に読みづらい…あと、単純に重いのだ。
→イベントで漫画アンソロジーと間違われないため。A5サイズでイラスト表紙だと、漫画が含まれてると勘違いされ、パラ見して「あ漫画じゃないのか…」→立ち去り…という悲しい流れが起こるのだ…。その点、文庫サイズならば一見して小説本ということがわかりやすい。
会場では文庫サイズ同人誌は目立ちにくいが、そこは背面ポスターで訴求力をカバーすればよい。好きなだけ大きいポスターを飾るのがよい(クソデカポスターは正義)。
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(2021/7/8追記)
上記には、本文チェックの仕方として、以下のように書いた。
自分で作ったページについても、チェックポイントは多い。
・目次のページ数と本文のノンブルがあっているか。
・目次と本文とヘッダーの作品名があっているか。
しかし、もっと効率的で間違いのない方法があることを今更知ったので、書き記しておく。たまたま最近転職した会社で、Word文書を主に扱う職種に就いたため知りえた。
Wordの機能、フィールドコードを使えばいいのである。
※フィールドコードについてはこちらの外部リンクが詳しい。
フィールドコードについて簡単に説明すると、htmlでいう内部リンク、Excelでいうセルの参照とでもいうか、「本文中のココ(例えばタイトル)を、目次のココに表示しなさい」という指示を与えるコードということです。{}の中にコードを書けばよい。
それを使えば、ページ番号もヘッダーも自動で指定した文が存在するページを表示してくれるのだ…。人力で頑張る必要は、この文明社会では…無い。
のなか TWITTER@nonaka_issac
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