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【さなコン2024】遊星Z、現る。

「さなコン」こと「小さな小説コンテスト」が今年も開催となりました。

今年から主催はPixivへ移行し、日本SF作家クラブは協賛と言うスタイルに変更とのこと。まぁ派手な炎上やらかすくらいなら、スタッフの揃ったとこにしっかりやってもらった方が無難でしょうね。資本があるって本当に大事。

 先ずはPixivで予告が入り、4月26日にお題を含め詳細を発表するという。お題だけでもフライングで教えてはくれないかとヤキモキしましたが、そこは上手いこと後から繋げば良いんじゃないかとストーリーのプロットを先に考えることにしました。

 え?今年も参加するんですかって?そりゃ勿論。だって賞金が出るかも知れないし。(嘘です、出ません)
 
 去年はかなりブツクサ不平を漏らしてましたが、一応はきちんとしたフィードバックコメントを頂いた身としてはアドバイスに倣って新作を出すのが礼儀かな?と思い立ちました。礼儀は大事です。やたら礼儀にうるさい体育教師に高校時代お世話になりましたが、先生はその後、女子生徒と不祥事を起こして自分が一番非礼なんじゃないの?なんて事になりました。
 
 でも礼儀って大事です。大事な事なのでもう一度書かせていただきます。

 去年はひたすら過去の受賞作傾向を調べて、この辺がストライクじゃないの?と感じたコースへ投げてみましたが、どうやら当たらずも遠からずだった様で一次選考通過に至りました。二次は落ちちゃったけど。
 この辺の考察をnoteで公開しております。

 さなコンでは一次選考通過のご褒美として、現役の作家先生方によるフィードバックコメントがいただけます(今年からなくなったとの事)。私のエントリー作品に対して頂戴した評価は、要約すれば「書き込みが足りない」というものでした。
 
 ちょっと脱線しますが、絵の上手・下手を左右するのは「観察眼である」という話があります。例えばサイコロを描けとなった場合、最も手っ取り早いのが四角に丸の正面図。次に気の利く人間なら、パースを使って立体的な絵を描きます。

表現を書き足していくうちにリアリティが増していきます。

「賽は投げられた」でも紹介しましたが、サイコロは転がり易くするために角が丸くなっている。あとは陰影をつけたり小さな傷などを描き込んでいくとグッとリアリティの加わった上手な絵になっていく、という具合です。

 つまりどれだけ対象物を観察して、気づいた様子を描き加え説得力のある絵に仕上げていくか。小説もまた一緒であるというのが先生のご指摘だったのです。
 
 10,000字の制限があるなら、その中にできるだけの書き込みをする。足りないのなら詰め込んだエピソードを削ってでも表現の奥行きを重視しなさい。そうして初めて読者を納得させる作品ができるのです、と厳しいご指摘を頂いたわけです。

 さなコン3エントリー作「視えません」は、読書が苦手な方でもあっさり読めるよう、できるだけ字数を抑えようという目的で仕上げました。

更に飽きが来ないようにとネタを幾つも仕込んで。それが作品としてまとまりを欠いている、というご指摘でした。小説はレポートとは違うのです。解り易くはどちらにも必要ですが、小説はできるだけ詳しくできるだけ深く、を心掛けなければいけなかった、という事だと理解しました。

 加えて、今年のエントリー作品には次の2つを重点に創作しようと目標を立てました。
①ハッピーエンド
②キャラ立ち

 さなコンではやはり、ハッピー&ラッキーな物語が選ばれやすいです。ラストは読んだ人がホッとする締めにしたい。
 次いではキャラ立ち。「キャラ立ちぬ」で取り上げましたが、作者の手を離れてブンブンと暴れる愉快なキャラクターを創作しよう。この2点に先ず目標を定めたのです。

 さらに忘れてならないのが「女性受け」。ここで今回は恋愛要素を加えてみようと思い立ちます。

 こうしてぼんやりながらもプロットを草案し、事もあろうに今年のお題も聞かず原稿を書き出してしまいます。出だしは、そう、うんと暗い感じにして。ラストのハッピーエンドが際立つように。

実は寝起きで気分がダウナーだったから、というのは内緒です。

 まずキャプションから書き出しました。どうせ書けって言われるのでしょうから。おおよそのあらすじを書き終え、ちょっと安心したところで発表の朝を迎えます。

今年のお題。書き出しです。

どーすんだコレ。ハナシ繋がんのかよ???

 大型連休は法事からスタート。帰省の新幹線車内で必死に構成を組み立て直します。最初に思いついた書き出しは、日記の文章ってことにして。移動中ではSupernote A6Xで編集し、何とか第一稿を仕上げます。

 キャプションというかプロットの段階で、主要キャラはイメージイラストを描いて人物像を明確にしました。キャラ立ちのために。特に主人公のイメージはぼんやりとしたものでなくキチンと設定を立てました。何故ならば、主人公はストーリーの中ではぼんやりとした表現に留め、最後のどんでん返しであっ!と言わせたかったからです。
 表現の積み上げという点ではマイナス要素になりますが、その代わりヒロインの描写には力を込めたつもりです。思春期の思い出の片隅にある、お隣りのお姉さんみたいなイメージで。香水より石鹸の匂いがする女性、てカンジかな?

 ノリノリで仕上げた第一稿。延べ5日くらい掛かりました。電子ノートで約100頁の内容になります。1頁あたりの字数は100字くらいかな?丁度10,000字に収まったかな?とウキウキしながらPCに打ち込みますと、半分くらいでイチマンジが見えてしまった。。
 1頁を数えなおしたら、200字くらいありました(汗

 ここから骨身を削る作業の始まりです。長台詞を抑えたり余計なエピソードを削ったり。クライマックスにでっかい見せ場を考えていたのですが、どう頑張っても入らない。ココ削ったら面白さ半減だよな、他のストーリー考えようか?と諦めかけたその時に、フィードバックコメントの言葉を思い出します。
「規定に合うよう要素を削る」
うんそうだ、ここはいっぺん削除だ。違うラストを組み込もう、と決断しました。

 しかし、1万飛んで500字に収まったストーリーは、どこか歯が抜けたようになってまとまりがない。更に改定作業を加えながら文字数の削減に取り組みます。ちゃんと作品として仕上がるのか?不安に駆られながらの地道な作業。しかし連休中に仕上げなければ。会社に行きながらの推敲はぐっと能率が下がるので、ここがリーマンの正念場です。

 意外なことに作品はまとまりました。徹底的に無駄をそぎ落として、まるで醸造のため精米された米粒のよう。9,990字あるというのにスイスイ読める。
 改行と「」が多いんだろうな。これは次回の改善テーマにしよう。(汗

 かくして連休最終日に作品は仕上がります。何度も読み直し、誤字脱字すべて摘み取ったと納得したところで投稿。今回からのレギュレーションで、アップロード後の修正は不許可になったのでビビリながら投稿ボタン押しました。
 今回は投稿数が少ないんじゃないかと言う声がありますが、間違いなくこの規定のせいだと思う。

 かくして、今年もさなコン参戦を果たしました。タイトルは「遊星Z」。


 今年からさなコンは「エントリー部門」と「フリー部門」に分かれて、コンテストを盛り上げようという試みが行われています。エントリー部門はキュウキュウしながら書いたけど、あとはフリー部門で遊んじゃおうかな?と「マンガさなコン」に用意したプロットでいくつかストーリーを仕上げてみました。

ネタはあと2,3個残ってたり。せっかくの祭りだ、踊らにゃ損、損。

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