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【2022】Laser Harp【#電子楽器 #音楽】

電子楽器・Laser Harp

動作している様子↓

なぜ、Laser Harpを作ったのか?

以前、私は2010年にGravitonを制作した。

しかし、本当に作りたかったのはどちらかというとレーザーハープの方だった。
なら、12年前の自分に、真っ先にそっちを作れよ、と言いたいところだが、実はレーザーハープは既に作っている人がいたのである。私がやっても二番煎じというやつである。

ちなみに、私はこの動画のうp主である无名(ななし)さん本人に2010年5月、MakeTokyoMeeting05でお会いしている。そして、无名さんからの紹介で初めてArduinoを知った。
それから約6ヶ月後の2010年11月のMakeTokyoMeeting06には私がArduinoで構築したGravitonを出展しているわけだから、この人は要は、私にGravitonを作らせ、Laser Harpまで作らせた元凶と言っていい。

レーザーハープは、私の敬愛する平沢進もライヴで使用している電子楽器である。

最近、Live Hybrid Phononの↑この動画を見てからというものの、無性にレーザーハープを自分でも作ってみたくなった。
繰り返すようだが、本当はレーザーハープの方を作ってみたかったのである。であれば、お金と時間と暇があれば、とっとと作ってしまえばいい。
幸い、Laser Harpの制作に取り掛かった2022年4月は、生活保護暮らしがある程度安定してきて時間も暇もたっぷりあり、10万円の給付金も転がり込んでお金も十分あったタイミングだった。今ここで作ってしまうのがよかろうということで、お遊び感覚・おもちゃを作る程度のモチベーションで作ってみることにした。
折りしも、DIYで作った「プロジェクター付きローデスク」を解体して、自作PCデスク「Terminal」を作り終えたタイミングだった。

その過程で、矢崎化工のイレクターパイプを含め、少なくない量の端材とジョイントパーツの余りが出ていたのである。それらの端材・ジョイントパーツとにらめっこしていたところ、何ともレーザーハープを作るのにお誂え向きな形状をしているではないか
要するに、捨てるのもったいないんで、端材のリユース・リサイクルも兼ねてなんか作ってみようと思って作り始めたのが、レーザーハープだったのである。

目標・価値・実現方法

目標

  • レーザーハープというおもちゃを作りたい

提供したい価値

  • ちょうど、私に平沢進を紹介してくれた友人に近々会うので、それまでに制作して見せびらかしたい

実現方法

  • 躯体:木の板の端材とイレクターパイプのジョイントを加工して作ればいいから、多少の足りないジョイントパーツの購入費を除いてほとんどタダ。

  • 電子回路:基本的な仕組みは「レーザーモジュールから発光されるレーザー光を、光センサー(CdSセル・フォトダイオード等)で受け取って、光を『さえぎる/さえぎらない』を『ON/OFF』に対応させる」だけだから非常に仕組みとしてはシンプルである。そう、「ボタンを押せば音が鳴る」Gravitonとシンプルさは全く一緒。レーザー光は演奏中は基本的に付けっぱなしなので、次の基板を設計すればいい。

    • レーザーモジュールを動かす基板

    • 光センサーから受け取ったデータを音に変換する基板

  • 電子パーツ:必要な電子パーツは概ね秋月電子で揃ってしまう。あとはどこまでやってやるのかによる。

  • 治具設計:レーザーハープ作りで最も重要な工程は光軸合わせである。レーザーダイオードと光センサーが同一直線上に真向かいに並ぶようにパーツの位置をピッタリ合わせなければならない。そのために、イレクタージョイントにはめ込めばそのまま光軸が合うように治具を設計してやれば良いことになる。設計にあたっては、3DCADソフトFusion360を使用した。

  • 治具作り:Fusion360で設計したデータの出力は3Dプリンタで行う。これは、近所のFablabであるファブテラスいわてで行った。

  • 予算:レーザーダイオードと光センサー自体は500円もしない安いパーツなので、試算段階ではトータルで1万円程度。何だこれくらいか、と思ったのも割と実現に向けて背中を押してくれた。
    制作を進めていくにつれて、色々想定外の落とし穴があったことにはまだこの段階では気づく由はない。

制作プロセス

いきなり完成写真

制作期間約1ヶ月。自分でも驚くほど作るのが簡単だった。
基本的な工具は家にある工具で何とかなったが、強いて手間取った点を言えば、マニアックな話で申し訳ないがこの工作で初めてコネクタを自作した。これが意外にも難儀して、コストもかかった。

この部分だ

XHコネクタというコネクタなのだが、専用の圧着工具が要る。これが意外にも高かった。

4200円。この分だけ予算オーバーしてしまった。もうちょっと安ければなぁと思う。
しかも、コネクタの圧着はとても繊細な作業。何度も失敗してようやくマスターできたが、その分部品代のコストもかかっている。
まぁ、回路がスッキリして、抜き差しできるようにしたことで後のカスタマイズ性も上がるというメリットがあったので採用してみたし、満足はしている。
以下、経験値と反省点。

経験したこと

  • レーザーハープ作っている間だけは、Gravitonを作っていたあの頃に味わっていたワクワク感をまた味わうことができた

  • 「あいつ、どんな顔をするだろうな」をモチベーションにものづくりするのもいいもんだなぁって思いましたよ

  • コネクタの圧着ができるようになった。電子工作のレベルがまた一段上がった。

反省したこと

  • 「まぁ、ちょっと無骨でダサい感じするよな」って思ってしまった。作ろうと思えばもう一台作れなくはないが、正直「また作りたい」というテンションは残念ながら上がらなかった

  • そしてGraviton同様作った後どうするかを考えてないので、結局「こんなん作ったよ」っていう話のネタと部屋のインテリア程度にしかならない

  • 音源の再生にDFPlayer miniを使ってみたが、レイテンシーがひどい。何がまずいのか、ハードウェアの問題なのかプログラムの問題なのか、結局解決策が見出せていない。困ったものである

成果

目標達成率

  • レーザーハープというおもちゃを作りたい(100%)

作って終わり。それで満足したかっただけなので、目標達成は容易だった。

総括

制作途中で音を鳴らすところまで行かなかったが、私をヒラサワ沼に引き摺り込んだ例の大学時代の友人には作りかけのLaser Harpを見せることができた。
レーザー光を遮ると緑色LEDが消滅したりする様子を見ながら
「ようやるわwww」
と笑ってくれたので、ただの粗大ゴミにはならず、幾許かの喜びを人に与えたのだろうと思う。

今後の展望

これまで、Graviton、そしてぷにぷにスイッチをはさんでLaser Harpと制作してきたところで、私もいよいよ鹿音のんオリジナルの電子楽器の製作にチャレンジしてみたいと思う。

ここで平沢進ファンなら、Gravitonも作って、Laser Harpも作ったんだったら、次はテスラコイルでしょう、なんておっしゃるかもしれない。

ばかやろう、危ないに決まってるだろう。
あんなアブナイもん、私に作らせるんじゃない(でも欲しいとは思っている)。

あと、もう既に作ってしまった人は、いる
割と一定数いる。
覗いて見たい人は「テスラコイル 自作」でググるといい。
デカいのが必要ない人向けに、手頃なDIYキットまで売られている。
Laser Harpを作っておいて何だが、あまり二番煎じ、n番煎じはしたくないのである。
それに、Laser Harpを作っておいてまだ、自分の作りたい音楽表現が何なのかについて、未だ打開策を見出せていない。

今後も、作りながら考え続けていくことだろう。

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