佐藤

ノンセクの恋愛感情

私はノンセクシャルで、恋愛感情はありますが、他人に対して性的感情がありません。
ただ、ノンセクシャルだと自認するまで、むしろ自認してからも、私は好きな人がいました。

初めて好きな人ができたのは小学生の頃で、以降も普通に好きな人がいました。恋愛対象は男性でした。
高校生の時に初めて恋人が出来て、告白された時も嬉しかったし、一緒にいるとドキドキしました。ただ、この年代になると性的なことが絡んでくるわけで、そこで若干の違和感を覚えました。最初は、キス以上のことはなんとなくしたいと思わない、私は告白されて浮かれていただけで、本当にこの人のことを好きじゃないのかもしれないなぁと冷静になり、あまり長く続かず別れました。
大学生の頃も恋人ができましたが、やはり求められるのがすごく苦痛でした。当時は精神的に不安定で心療内科に通っていた時期でもあり、好きなのに会うのが怖い、私はどうして他の人と同じように受け入れられないんだろうと、鬱っぽくなって泣いていたのを覚えています。結局彼とは別れました。

その頃になってようやく、自分はどうやら他の人とは違うようだ、ということを認識しはじめ、「ノンセクシャル」という言葉を知りました。
当然周りに言えるわけもなく、主にTwitterでノンセクシャルとしての自分をさらけ出せるアカウントを作って交流していました。
そこで初めてノンセクシャルの恋人ができました。一緒に眠っても性的なことをされることがない、ただ「好き」という感情だけで寄り添えることが本当に幸せでした。嫌いになったというわけではなく、お互いすれ違いがあってお別れをしてしまったのですが、今でもあの時一緒にいてくれた彼には本当に感謝しています。もう会えることはないのかなぁと思っていますが、ありがとうと伝えたいです。

社会人になってからも、好きな人がいました。会社の先輩で仕事もできて、優しくて、一緒にいるとドキドキして、むしろ今も好きです。ただ、学生の頃のように好きが突っ走っているような感情ではなく、「あぁ、私この人のことが好きなんだろうなぁ」という冷静な気持ちで、恋愛感情が前よりも薄れてきたように感じます。憧れに近いかもしれません。
先輩はもちろんノーマルなセクシャリティでした。過去お付き合いされていた方の話も聞いたりしていました。この頃にはもう、諦めはついていたのですが「この人がノンセクシャルだったらなぁ」と思ったことは何度もあります。
たった一つ、性的な感情が欠けているというだけで、自分の「好き」を伝えることもアプローチすることも憚られるのは苦しかったです。

友情結婚するにあたって、私は恋愛感情があるので、結婚しても他の人を好きになってしまうんじゃないかと思ったことはあります。実際、今も会社の先輩に惹かれているところもあります。
そこは一つ、私自身の中で線引きをした部分でもあります。本当は、「恋愛結婚ー性行為」の結婚が一番理想でした。けれど、年齢や確率を考えたときに、その理想を追い求めていくのか、今線引きできるところで結婚するのかで後者を取りました。
恋愛感情自体が大人になるにつれ薄れてきている部分もあったので、今のところは離婚してまで他の人と一緒になりたいという気持ちは全くないです。

高橋さんのことは、恋愛的に「好き」かというとそうではありません。一緒にいてもドキドキすることもありません。
過去の記事「結婚の決め手」でも書きましたが、すごく優しい人だと感じますし、仕事に対しても真摯で、思いやりもあって、人間的にはものすごく好きです。

一緒にいても苦ではない友人、家族、みたいな存在です。

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