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4泊5日の備忘録 前編

□day1
自由に食べられる最後の食事を何にしようか迷ったけれど、あまり時間もなかったので手軽に食べられてなるべく身体に優しそうなもの…と考えた結果、丸亀製麺のうどんを選んだ。

足早に昼食を済ませ、そのまま夫に車で送ってもらい、早めに病院につく。

入院病棟の受付で体重と身長を測り、これから数日間過ごす部屋を案内してもらう。
想像していたのは、ドラマのワンシーンみたいに大部屋でベッドの隣向かいが近くて、患者さん同士がお喋りしているような風景だったけど、案内されたのは中心に入り口と洗面・お手洗いがあり、その両サイドに2つずつベッドが並ぶ4人部屋で、思ったよりもゆったりとしていた。
ベッドとベッドの間は縦にも横にも長いカーテンで遮断されていて、隣人の気配だけを感じる。

諸々の検査まではまだ時間があったので、ベッドのリクライニングを調整してみたり、職場の人に借りた漫画を読んだりしながらしばしのんびり過ごした。

午後に口腔外科の診察があって、麻酔や人工呼吸器の管が問題なく付けられるかのチェックと、歯の掃除をしてもらった。

そのあともいくつかの問診や事前の準備に呼ばれ、それ以外の時間は病棟の談話スペース(Wi-Fiがある)で動画を見たりして過ごした。
入院期間中に実写版のワンピースを観た。

この日の夕飯は初めての病院食。
入院経験のある友人に「ふりかけは持っていったほうがいい」とアドバイスをもらっていたのが役立った。

夕食後に下剤を飲み、自然に眠くなったので渡されていた睡眠導入剤は飲まずにそのまま眠ることにした。

□day2
朝6時頃に起きて、院内着に着替えたあと、点滴を打ってもらう。何度かの入院経験がある父曰く、この点滴を吊るすコロコロのついた棒(イルリガードル台というらしい)が入院中の相方になるとのこと。

朝から夫と両親が来てくれて、談話スペースでしばらく話した。
このタイミングでどんな話をどんな表情ですべきかわからなくて、自然と緊張した面持ちになっていたと思う。

時間になって、イルリガードル台を片手に看護師さんと並んで手術室に向かう。
医療ドラマで見るような頑丈そうで大きな自動扉を前に、直前に眼鏡を預けてしまったので振り返っても家族の姿がぼやけてしまって少し寂しくなった。

手術台に乗ってからの出来事は一瞬で、説明を受け、口に麻酔のマスクを当てられたと思ったら次の瞬間には意識が無くなっていた。

夢を見ているようなぼやっとした感覚のあと、「終わりましたよ」と声をかけられて驚いた。
そのあとの記憶は少し曖昧で、気づいたら手術台ではなく元のベッドに寝ていた。程なくして家族が少しの間顔を見に来てくれた。

一昼夜、麻酔でぼーっとしますと言われていたけれど、家族が帰るのをベッドで見送ってからの意識は割とはっきりとしていて、横たわりながらスマホを見るくらいしか出来なくて退屈だった。

口には酸素マスク、脚には血流が悪くならないようにポンプ式のマッサージ機が巻かれていて、排泄は身体に通された管から無意識のうちにベッド横のタンクに溜まるようになっていた。それらを看護師さんが一晩中交代でチェックしにきてくれる。
夜には水分を摂る許可も出て、看護師さんにストロー付きのコップで飲ませてもらった冷たい水がとても美味しかった。

この日は自分の病室へは戻らず、ナースステーションのそばの部屋で一夜を明かすことになっていた。こっそりと音量を最小にして耳元でスマホのBGMをかけたりもしてみたけど、遅れて隣のベッドにも自分と同じ状態の患者さんが運ばれてきたので大人しく眠ることにした。

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