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#11 百年続く技の体感。錫器の老舗 能作さんで鋳造体験

このnoteは「to savor alcohol more(より深くお酒を味わうために)」をスローガンに活動するガレージブランド NON JOHN の活動やお酒に関するあれこれを発信するものです。このnoteを読んで、粋な酒客を共に目指しましょう。

ウェブサイト: non-john.com


🔨 百年の技の体感。能作さんで鋳造体験してみた


NON JOHNが鋳造に取り組み始めてから、僭越ながら参考にさせていただいている企業があります。

株式会社能作さんです。

富山県の鋳物メーカーで、1916年に創業されており、108年目を迎えている伝統ある老舗企業です。

先日、筆者の私事で富山に行く機会があり、能作さんが鋳造体験を提供しているということを知りました。これまで清水先生にアドバイスと指南を受けたことはあるもののほぼ独学でやってきたので、長い歴史に裏打ちされた技の一端を見たい知りたい学びたいとやってきました。

外観から魅力的

NON JOHNは鋳型をシリコンで作っていますが、能作さんは主に砂型で造っています(もちろんシリコンでも作っています。有名なのはKAGOです↓)

砂型は繰り返し使え仕様変更にも柔軟に対応できるためと、伝統的な製法を重んじるためとのこと。一方で会社の歴史や製品デザインからは革新性や新技術への挑戦といった社風も感じられました。

今回体験したのは砂型の小皿です。簡易的にされてはいるものの、職人さんと同じ工程を体験できました。色々と大変勉強になりました。

砂も製品によって色々使い分ける

工場見学にも参加し、能作さんがどのように製品を作られているかをみせていただきました。ライバル企業にも快くお見せしているとのこと。懐深すぎです。

案内いただいた社員のみなさん、とても丁寧で感じもよく、良い会社なんだろうなという印象を強く受けました。
憧れるばかりですがNON JOHNは自らの道を進みつつ、いつか能作さんとの交差点で一緒に仕事ができればいいな、そうなれるよう伸ばしていこうと決意したのでした。


🍾 肴のオマケ:自由と冒険の酒、ラム酒の物語

🏴‍☠️ 海の男たちの酒

“Fifteen men on the dead man's chest
Yo-ho-ho, and a bottle of rum!
Drink and the devil had done for the rest
Yo-ho-ho, and a bottle of rum!"

「死人の棺の上に15人の男
ヨーホーホー、そしてラム酒一本!
飲んで、悪魔が残りの者たちを持っていった
ヨーホーホー、そしてラム酒一本!」

スティーブンソンの小説「宝島」

1883年に出版されたスティーブンソンの小説「宝島」で海賊が歌う歌です。パイレーツ・オブ・カリビアンの映画でもジャック・スパロウが豪快に飲むシーンもあるように、海賊の酒といったらラム酒。

パイレーツ・オブ・カリビアン公開当時ラム酒人気が爆発

海賊だけではなく、イギリス海軍でもラム酒は「娯楽」と「水分補給」と「薬」の役割を交えて支給されていたこともあります。

18-19世紀の当時、安く手に入り高いアルコール濃度で手軽に酔えたラム酒は、海の男たちの相棒のような存在でした。

今回の肴のオマケは、そんなラム酒について紹介してみたいと思います。


⚓️ 大航海時代の副産物

ラム酒はサトウキビの蒸留酒です。

ラム酒の名産地としてキューバ、ジャマイカ、プエルトリコ等、カリブ海の国々が知られています。しかし、サトウキビの原産はアジア。現在ニューギニアと呼ばれている地域です。
(熱帯の景色や住民の肌の黒さがアフリカのギニアに似ていたから"ニュー"ギニアと名付けられました)

これは大航海時代、遠くアジアで見つけたサトウキビを、気候が近いカリブ海の島々で育て始めたのがはじまりです。当時は砂糖の需要が高く高価だったので植民地で大量に生産するとメリットがあったのです。安く作って高く売る、ビジネスの基本ですね。ちなみに最初にサトウキビを新大陸に植えたのはコロンブスだと言われています。

コロンブスは最初のサトウキビ農家?でもあったらしい

サトウキビプランテーションではまず先住民が労働に酷使され、ヨーロッパから持ち込まれた伝染病で多くの先住民が亡くなると、次にアフリカから奴隷が連れこられ労働を強いられました。本当に悲しい歴史です。

砂糖を作るためのサトウキビプランテーションで、副産物として糖蜜という糖度の高い黒褐色の液体がでます。

モラセスとも呼ばれる

人類はお酒造スキルを獲得してから甘いものを知るとお酒をつくりがち。例に漏れず副産物でいらないものだった糖蜜をいつからか発酵させて蒸留したのがラム酒のはじまり。17世紀初頭のことと言われています。

アジアから原材料をもってきて
アフリカから連れてきた奴隷を酷使して
カリブ海の島々で栽培し
ヨーロッパで砂糖とラム酒を売る

航海技術の発展が、各地を結びラム酒を誕生させました。

大航海時代が産み落としたラム酒が、海上での困難を乗り越えるカンフル剤となり、世界の開拓を加速させることとなったのです。
現代社会を形作ったベースの1ピースはラム酒であると言っても過言ではないのでは。


🍸 ラム酒のカクテル

そんな歴史的に結構重要なポジションな気がするラム酒ですが、日本ではなかなか焼酎やウイスキーのように飲むということは珍しいのかなと思います。しかしカクテルとしてラム酒を口にすることは少なくありません。

ラムコーク(Rum & Coke)

ラム酒とコーラをミックスしたカクテル。キューバ独立戦争時にアメリカ軍がキューバに駐留していた時期にアメリカ兵がキューバのラムにコーラとライムを加えて飲んだことから広まったとのこと。「Cuba Libre(キューバ・リブレ: キューバの自由)」とも呼ばれ、自由を象徴するドリンク。

ブルーハワイ(Blue Hawaii)

1957年にハワイのバーテンダーが、オランダのリキュール会社から、鮮やかな青色の新しいリキュール"ボルス・ブルー・キュラソー"を宣伝するよう依頼されて考案したカクテル。企業案件です。
ラム酒、ボルス・ブルー・キュラソー、パイナップルジュース、サワーミックスを混ぜ合わせ、ハワイの美しい海をイメージさせるトロピカルな味。ワイキキビーチで飲みたい。

モヒート(Mojite)

ラム酒を炭酸水で割り、ライムとミントと砂糖を加える爽やかなカクテル。キューバの先住民が飲んでいた飲み物に、イギリス公認の海賊フランシス・ドレークの一味がラム酒を加えたものが起源とされています。ライム(ビタミンC)が入っていたので当時海の病気であった壊血病に効く薬とされたそう。「老人と海」でも有名な文豪ヘミング・ウェイも愛したと言われています。

などなど、数多くのラムベースのカクテルが存在します。

バーで何を飲もうかなと迷う時、バーテンダーの方におススメのラムベースカクテルを尋ねてまだ知らない新世界を冒険するのもまた楽しいかもしれません。


📅 今後の予定


4月
リターンの製造を進めていきます。
新製品の試作をひとつ終えました。その模様を近日公開します。


5月
キャスティングオブザイヤー(鋳造の賞レース)にエントリーします。


🍺 🍺 🍺


ここまでお読みいただきありがとうございました!
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