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越冬への処方箋

大学の4年間はあらゆることにビビる時期だった。

知らない環境、知らない人、知らない学問。知らないウイルス。

こわくてこわくて仕方なく、でも就職はしないと、と焦って、ひとまず息をしていられそうな場所として故郷のド北国を選んだ。

この街はいい。シンプルな生活と、山と海と、静かな夜がある。素敵な友人もいて、休日にはカフェや温泉をめぐる。ほのぼのとしていて、結構お気に入りだ。

でも冬はだめだ。あいつが訪れた途端、生きるのがケタ違いに難しくなる。雪国ならではの良さ、そんなものは雪の降らない地域の方々が作り出した幻想だ。

ばかでかい雪が降っては積もり、道路は凍り、荒天時に運転すると普通に死ぬ。凍てつく風が24時間吹きつける。

つまりは部屋にいるしかなくなるのである。

ずっと同じ場所に留まっていると空気が淀んでくる。


「あの人にあって私にないものなーんだ」

「頼り甲斐です。」
「心の余裕です。」
「体力です。」
「人を笑顔にするセンスです。」

と、最悪のあるなしクイズを始めてみたりしてしまう。


だから、旅だ。

旅は溢れ出るネガティブへの処方箋だ。

ふわっと、小川を飛び越えるように、新幹線に乗って遠くへ行く。

遠くじゃなくてもいい。いつもは車で行っている銭湯まで、歩いてみることも旅だ。ただし晴れてる日に限る。なるべく暖かいところへ。

大好きな友人や家族に会いにいくでもいい。

心の換気をして、ネガティブが入り込む隙をなくすことが越冬のポイント。そして冬を越せば春が来る。花を見に出かけられる。

今はラランドのYoutubeを見た直後なので、タイに行きたい。

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