しみずみさ

普段は新聞をつくっています。25歳、よく食べてよく寝ます。実家の犬「のん」は17歳にな…

しみずみさ

普段は新聞をつくっています。25歳、よく食べてよく寝ます。実家の犬「のん」は17歳になりました。

最近の記事

しんたのこと

しんたのことを「しんた」としか呼んだことがなかったから、君だとか、彼だとか書くと何となく嘘くさい気がして、そんなのは嫌なのでしんたと書く。 割と長い付き合いだった。この前保育園の卒園アルバムを開いたら、なぜかいろいろと脱いでタンクトップ1枚の私としんたが並んでにんじんを切ってる写真があって、しんたはなぜか眉毛をきゅっと寄せ、カメラマンに恨みでもあるのかというほど険しい顔をしていた。シャツイチとしかめ面。お料理教室のワンシーンにしては情報過多だなと思った。 しんたの訃報を聞

    • 月額会員向いてない奴

      去年の2月くらいに、突然思い立ってヨガに通った。秋田に暮らしていると車ばかり使ってちっとも歩かなくなるからだ。 これで、冬の間にスリムなボディラインをゲットできる。大学の時にこれまた思い立って買ったヨガウェアを引っ張り出し、体験前日には一式着て鏡の前で一周回ったりなんかして、体験を終えるとその場で張り切って契約した。 しかしいざ通ってみるとさまざまな問題が浮上した。 まず、時間を守るのが苦手であった。私が行ったところはきっちりしていて、少しでも遅れるとレッスンに参加でき

      • 越冬への処方箋

        大学の4年間はあらゆることにビビる時期だった。 知らない環境、知らない人、知らない学問。知らないウイルス。 こわくてこわくて仕方なく、でも就職はしないと、と焦って、ひとまず息をしていられそうな場所として故郷のド北国を選んだ。 この街はいい。シンプルな生活と、山と海と、静かな夜がある。素敵な友人もいて、休日にはカフェや温泉をめぐる。ほのぼのとしていて、結構お気に入りだ。 でも冬はだめだ。あいつが訪れた途端、生きるのがケタ違いに難しくなる。雪国ならではの良さ、そんなものは

        • 秋と17歳と空回り

          何かと怒られる人生を送ってきた。 「行動が遅い」「バレーボールが下手」「寝すぎ」 特に高校時代の私は、欠点のバリエーションが豊富も豊富だったらしく、周りの大人たちはいつも私の顔を見るなり烈火のごとく怒り出した。あまりにも皆さんそうなので、自分の顔から怒りを誘発するフェロモンか何か出ているのではないかと疑っていたほどだった。 大事な試合が近づいたある秋の日、練習試合に汗を流していたら、あからさまに「偉い人のオーラ」をまとった小太りのおじさんが私達を視察しに来たことがあ

        しんたのこと