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この本を読んで、家族に会いたくなった。ー【#キナリ読書フェス】

岸田奈美さんの文章に初めて出会ったのはTwitterだったと思う。


30分で6人にケーキ屋を聞かれたり、
スズメバチをルンバが食べたり、
運転免許試験の日に競馬場から馬が逃げ出して試験が受けられなかったり。

「面白い人だなぁ」というのが第一印象だった。
年も2つしか変わらなくて、同世代ということもあって親近感も湧いた。

でも今回本を読んで、奈美さんの面白い部分以外にも触れることが出来た。そして自分の家族について考えるきっかけにも。


まず弟の良太さんとのエピソード。

ダウン症で知的障がいを持っている良太さん。とにかく優しい。仕事を休職した奈美さんの様子を見て「どっか行こ」って誘ってあげたり、コンビニの店員さんに「こんにちは」って挨拶する。

どんな人にもペコッと一礼するんですわ、良太は

とあるけど、その仕草が何となく想像できる。

そして2人のやりとりにほっこりする。
良太さんの行動から奈美さんは色んなことを気づかされるんやけど、

良太の強さを目の当たりにして、わたしは目が覚めた。人と同じようにできない自分を、迷惑をかけている自分を、恥ずかしく思ったり、情けなく思ったりしていたのは、だれでもない、自分だった。


まさにこれ、私だ。

私は双子で。昔から妹の方が何でも出来た。
勉強もスポーツも。
反対に私は勉強は平均だったけど、運動神経は皆無。身長さえ負けた。幸い、親は私達を比べるようなことはしなかったけど、学生の頃は特に劣等感が半端なかった。

就職してからも周りと比べて仕事が出来なくて、何で自分は出来んのやろって数え切れんぐらい悩んだ。

兄妹のことをちゃんと見て、良いところは尊敬出来るってすごいこと。わたしも学生の頃そんな風に思えたら良かったな。今も妹とはドライな関係ではあるけど、仲は悪くないと思ってる笑。


2つ目はズンドコベロンチョの話。
この話を読んで思い出したのが実家で飼っていたペットのこと。

本当につらいとき、わたしは、他人の言葉に耳を傾ける余裕がなかった。でも唯一、うれしかったのは、残った家族が、泣いてくれたことだった。


わたしが今まで人生で1番涙が止まらなかったのが、ペットが亡くなったときだと思う。中学生から10年ちょっと一緒に過ごした。亡くなったときは、私はもう実家を出て一人暮らしをしていたし、仕事だったこともあり最期に間に合わず、母が1人で看取ってくれた。帰宅して姿を見つけた瞬間、もう号泣だった。その日の夜中母親と私はずっとペットのそばにいた。母も1人で看取ったことがすごく辛かったはずで。わたしも1人だったらずっと引きずっていたかもしれない。だけど、一緒に泣いて、暫くLINEとかで大丈夫?って連絡取り合って、徐々に徐々に時間が解決してくれた。


でも、なんであれ、何か力になりたいと思うあなたの気持ちは、その愛は、ものすごく尊くて、あなたのような人に、わたしも毎日を生かされている。いつもありがとう。


章の最後このように締めている。

絶望は経験した人にしか分からないけれど、
その言葉がとても優しくて温かいなと思った。


自分の親にあと何回会えるだろうか。
(平均寿命ー親の年齢)×一年に親と会う回数
=親が亡くなるまでにわたしが親に会える回数らしい。
計算してみると、意外と少ない。
今はコロナ禍でなかなか頻繁には帰れないけれど、帰ったときは色んなことを話したいな、と改めて思った。


最後に、岸田奈美さん素敵な企画をありがとうございました!拙い文章ではありますが、読んでいただいた方、本当にありがとうございました。

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