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あまちゃん…de妄想 ⑦

アイドルの需要と供給
本来の姿…って?


そんなのインチキだべ!


あんべちゃんがとったウニを
自分がとったような顔して
お客さんに出すなんてできません!

それじゃあんべちゃん
まるで落武者だべ!


(それを言うなら)

落武者じゃなくて
影武者だべ

と組合長。

いやいやいや、純心なアキにインチキだと断ぜられたら、たとえあんべちゃんでも、落武者なんでしょう…

たしかにアキは過剰反応かもしれない。

夏やユイの言う通り、観光海女はサービス業だし、ミクロ経済は『需要と供給』によって成り立っている。

「ウニ一匹500円だ。ウニを見たら銭だと思え!」とは言っても「とったど~」だけでは、収入にはならない。

小売販売して初めて収入が得られる。

だから、ウニが採れなかった時のアキでも、弁当はちゃんと売り捌いたのだから、エラいではないか。

採ることも重要だが、売ることも、もっと重要だ。

購買力を上げること…需要を高めることは、商売の鉄則であろう。

だからといって〝インチキ〟をやってもよいとは言えない。

あんべちゃんの〝落武者〟は、アキが言うように、インチキかどうかはわからないが…

メディアの世界では、いわゆるヤラセや仕込みとか、軍事戦術的には自作自演的みたいな〝偽旗(にせはた)作戦〟とか、最近よく耳にする〝クライシスアクター〟なんていうスタントマンみたいな防災訓練要員としての職業もあるらしい。

一概になんでもかんでもインチキとは言えないのかもしれないが…



🍲水炊きよりも
キャンプ場の🍛カレー?

地元の観光収入の低迷に悩みK3NSP北三陸をなんとかすっぺ、と焦る大吉。

ところが、ヒロシがあっさり作ったブログを視たオタクが、東京からわんさか集まってくる。

やがてアキとユイは、地元アイドルとしての人気と需要が高まってくる。

綺麗な『海女カフェ』ができて、多幸感が溢れ、〝町興し〟のヒントや答えが出てきたみたいで…

もう、ハッピーエンド

みたいな雰囲気だが…
それではドラマにならない。


案の定、ハッピーな空気に水を差す者が現れる。

勉さんに弟子入りして、琥珀発掘の手伝いを装いながら、実はアイドルの卵を〝発掘〟していた、東京の芸能プロダクションからの回し者(スカウトマン)…


水口琢磨
通称、ミズタク


〝発掘〟のダブルミーニングみたいなのがシャレてる感じだが…

勘の鋭いユイの追及や、アキの洗濯物から春子が見つけた名刺から、水口の素性がバレる。

勉「コハクの魅力に目覚めて…」

春子「ちがうね!琥珀なんか
全然興味ないんだよ。
ただこの店に出入りするために
勉さん利用されたの」

「インチキ弟子に騙された!」

と知った勉さんは、よろけながらも、老体にムチ打って、水口を殴り倒す。

破門だ!
今すぐ出ていけ!


勉さんやるじゃねぇか!

真面目な人間ほど、怒らしたら恐いんだぞ!と、溜飲が下がる…

でも、とても穏健なはずの勉さんが、人をを殴るとは余程のこと…

水口を殴った本当の理由は何だろう…?

地方には、琥珀だけじゃない
〝お宝〟がたくさん眠っている。

その象徴が、アキとユイ

それをコッソリ〝盗掘〟するヤツらの本拠地…それがトウキョウ…?

かつ枝や弥生が言うように

水炊きみてえな名前のくせに

ポン酢とゆず胡椒で食っちまうぞ


たしかに美味そうだが、食われるのはこっちの方かもしれない。

ちなみに、田んぼに水を引く〝取水口〟のことを、水口(みなぐち、みずぐち、等)と言うらしい。

K3NSPのお宝が、GMT47に〝我田引水〟される…?

ユイの父、足立功が『スナック梨明日』に入って来るなり唐突に言い出した。

キャンプ場で食うカレー
みたいなものだと思うんだ


吉田駅長「え、なに…なんの話ですか?」

そして菅原が、トンチンカンな解釈をすると、功は

「その通り!冴えてるな菅原、殴るぞ…(笑)
だからさ、東京行っちゃ駄目なんだよ。キャンプ場のカレーは、キャンプ場で食わなきゃ駄目なんだよ。」

功の言うことは、禅問答みたいで、ちょっとわかりにくいが、要するに

雑魚(ザコ)は磯辺で
鯨は沖で

ということか?

小魚が、ちょっと泳ぎが得意になったからといって、大海に出たりすれば、たちまち大魚に食われてしまう。

ギョギョ🐟️💦🦈

『需要と供給』どころか、自分が食われてしまう。

海女カフェステージの初舞台は、奇しくも、追い詰められたミズタクとユイの〝逃走劇〟となってしまった。

言ってみたかった…
国道45号線封鎖せよ

とか、

ゴーストバスターズとか、大吉もいろいろエンタメやってみたかったんだね。

ところが…


私の気持ちは
どうでもいいんですか!


ユイは声を張り上げる

ユイのためと思って
水口を追及していた人々は、面食らう。

わたし、北鉄がどうなろうと
町がどうなろうと
どうでもいい
関係ない!


ユイの口からここまで言わせるとは、水口が仕掛けたマインドコントロールなのか、サーロインステーキの食べ過ぎか?

増幅したアイドル偏執狂も重症だ。

地方から日本を元気に!


というGMT47のコンセプトは
この時点で、すでに破綻してるし…

兄のヒロシがブログを作って、オタクを集客し、街の人々皆が協力してくれたから人気が出てきた経緯を、ユイは忘れている。

チャーリーズ・エンジェルのキャメロン・デアィアスに憧れるのは自由だけど、不相応な上から目線で、人の心を傷つけちゃいけません。

数学的に分けると、スキゾ思考が微分なら、パラノ思考は積分だという。

積分とは、図形のアウトラインが囲む面積だ。

水口の言い分を聞いた大吉は

アウトラインは、わかった!


と言うが

実態の怪しいパラノ型組織とは
アウトラインがほぼ全て
なのではないか?

アウトラインが優先で
中身はブラックボックス…
インチキとか、ヤラセとか

バレたら謝るだけ…

だましてごめんなさい
全部ウソです

って

例の不祥事でよくやる、謝罪会見と開き直りだ。

若気の至りといえば、それまでだが、そういうウソっぽくて、薄っぺらい世界に洗脳されて、故郷を貶すユイが憐れだ。

北鉄で東京へ帰る水口を
駅で見送る勉さん。

これ持ってけ


と、琥珀を水口に渡す。

こんなもの、元はただの樹液だべ…
どんな原石も磨かねがったら
宝石にはなんねえ。

琥珀になぞらえて
ユイの将来を託しているのだろうか?

自分をあれほど騙した水口を、また信じているのか?

たくちゃん!
私を置いて行っちゃうの?


ずぶ濡れの海女依で水口に近寄る美寿々

手にはフック船長みたいな
凶器…、狂気!?
いや、ウニ採りの金物

後ずさりして、凍りつく水口。

ごめん、ウニ採ってたから

水口に抱きつく美寿々

よし、もう吹っ切れた…

楽しがった、じゃあな!

変なハンドサインを出して、潔く別れる美寿々。
わずかの間だけど、夢を見た美寿々
水の滴る〝騙されてもイイ男〟水口に…

勉さんとの縁を、断ち切るように
琥珀を、置き去りする水口。

人は、インチキに騙されてでも
夢を見たいのだろうか?

吉田副駅長は、所有の『潮騒のメモリー』のビデオテープについて、得意気に語る。

その蛇を🐍
飛び越えてこい?


その火を…🔥ではないのか?

アダムとイブを騙して、禁断のリンゴを食べさせた蛇。

蛇のインチキに騙されないで、飛び越えろ!という意味だろうか?

『あまちゃん』の舞台設定は、まさに『潮騒』にリスペクトしているようにも思える…

三島由紀夫が選んだという

パチンコ屋もない
俗世間から隔絶された
鳥羽の神島…


(wikipedia『潮騒』より)

ところが『あまちゃん』では、モータリゼーションに浸食されて、シャッター街となった北三陸で、なお健在なパチンコ屋に入り浸る、春子やヒロシを皮肉っぽく描いている。


それこそが北三陸の
ありのまま
本来の姿だろう。

アキ「でっけえ山車のてっぺんに
乗っても動じない、堂々としてる、
あれこそが、ユイちゃんの本来の姿だ…」


ユイ「アキちゃんは?」


アキ「え?」


ユイ「アキちゃんの本来の姿は?」


アキ「オ、オラは…」


即答でなかったアキ…


『潮騒』の舞台ような美しい海


心温かくて、面白い人々


100均もなくなったシャッター街


上から三番目の看板が、白いまんまの観光協会


そんな北三陸の〝本来の姿〟が好きで
アキは「帰りたくない」と
言ったのではないか?



人をイジメたり、蹴落としたり、強い者が正義のような顔をしている、東京の不毛なピラミッド社会へは帰りたくない。

アイドルみたいな、誰かが作ったイメージに憧れるのは、アキの本来の姿じゃないはずだ。

北三陸もアキも、そのままが一番なのだが…

春子が吉田副駅長から借りてきた『潮騒のメモリー』のビデオテープを視て涙するアキ。

やはりアキも禁断の果実🍏を

食べてしまったのだろうか…?

ユイの母よしえが、アキに言った

(東京へ)行けばわかると思うの。
あの子が思うような夢の国じゃないって…

皮肉にも、その言葉を

アキ自身が実感することになるとは…


やはりスキゾ人間は

やってみなきゃわかんねぇべ




出演・監督・編集...全部のん!MV

荒野に立つ


~ NON OFFICIAL WEBSITEより ~

のんの10年」を体感する上での
最重要な楽曲

自叙伝的本曲を”のんの曲”だけでなく
”全ての人の曲”にする

視聴者の様々な感情が
呼び起こされる作品


~ のんコメントより ~

様々な展開を見せてくれる

この曲には広い大地が必要だ


素晴らしい!

のんは〝大自然〟が似合う。

人工物のない、原始的な景観に立つ
のんを、一度見て見たかった。

まさに、このMVは、それを叶えてくれた

あまちゃんの海も美しい大自然だが
荒野とか大地には、どこまでも歩いて行ける
自由の可能性を感じる。

そのイメージは
〝はしか〟のように再燃したガタリ
『千のプラトー』とか『存立平面』
とかに呼応する

それは自由の可能性だが
自由そのものではない

地域を分断したパンデミックとか
領土の奪い合いである戦争とか

そういうものへ
やり場のない怒り
も重ね合わせて見てしまう…

マグリットの世界のような
まとわりつくベールと
のん自身がまとうリボンのようなベールは

不自由と自由を
それぞれ象徴しているようだ。