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いつだって時間はそう|日向坂46『月と星が踊るMidnight』

マジでそう



「速さ」の時代です。 シュッ

YouTubeやTikTok、Instagramでは、身になりそうな情報の密度が高い切り抜きやショート動画が流行っていたり(推し活と称した違法アップロードとの声も)、noteやTwitterでは、レトリックを弄んだような端的な断言であっても風潮やワードのパワーで押し切れていたり(この文章自体がレトリックを弄んでいるだけとの声も)と、「速さ」がインターネットを制する鍵となっているのを感じます(いつの時代もそんな感じなんだろうけど)。
自分も制されています。

まぁ、ここはnoteなので後者についての話になるんですけど、やっぱり短くて強い言葉ってめっちゃ便利ですよね。例えば、坂道アイドルの楽曲なんかは、とりあえず界隈で頻出の冷笑的なパワーワードとかを使って批判っぽいものを書いておけば、吟味なんかせずともお絵描きAIの出力ばりにそれっぽい創作を完成させることができますし、断言までは行かなくても手短にそういうポーズさえ取っておけば、積極的な帰属意識も一発で示せてしまう。

あまりに合理的で、不誠実にもつい利用してしまいます。このように シュッ

なんですが、私はあまのじゃくなのでそういう「速さ」の流れには抗いたい気持ちもあって、だからいつもうだうだと時代に逆行した文字数ムダづかい自己満足noteを書いてしまうんです。ヘボい逆張りやめれません。

ただ、そうすると「日向坂の新曲の感想あるじゃん~」とフラッと読みに来たピュアな人がマジで興味のないコード進行とかの話を聞かされる羽目になってしまうわけで、それはあんまり良くないかな、と私の良心がようやく思い始めました。

なので今回は、「感想をライトめに楽しみたい人向けのパート」と「ちょっとマニアックな人向けの補足パート」に分けてみようと思います。ゾーニングですね、いわゆる。これで一件落着でしょう。



日向坂46 8thシングル表題曲『月と星が踊るMidnight』感想

私がこの曲を初めて聴いたのは、MV公開前のツアー神戸公演。事前に「新曲は欅坂、けやき坂があっての曲」みたいな感想を見ていたから、そこからなんとなく低解像度で想像していた通りで、特に大きな驚きはなかった。
新曲のパフォーマンスに関しては、私の席から見える日向坂の人たちがモルカーに出てくる人間ぐらいのサイズ感だったこともあって記憶がおぼろげなのだが、京子さんが何かを掴み取ろうとしていたのだけは強く印象に残った。

〈僕たち〉の鮮やかな不法侵入でスタートする『月と星が踊るMidnight』では、合法的に学校で鬱屈していた”あの頃”に思いを馳せながら、自分たちを取り巻いていた周囲のおもんない大人のようになり下がってしまうことを危惧する主人公の姿が描かれている。
(皮肉にもこういう態度自体が類型的でおもんないとの声も)

私はセカオワをいっぱい聴いてた中学時代が存在するタイプの人間なのだが、この曲の歌詞を見て想起したのがSEKAI NO OWARIの『LOVE SONG』だった。(ごめんねなんかいきなりセカオワの話始めちゃって)

いつだって時間はそう
僕達を楽にさせて
少しずつ麻痺させて
最高な大人にしてくれる

いつだって時間はそう
諦めを教えてくれる
君達をいずれ
素晴らしい人にしてくれる
SEKAI NO OWARI『LOVE SONG』

これは『LOVE SONG』1サビの歌詞で、『月と星が踊るMidnight』での〈歯向かった大人〉が、ここでいう〈最高な大人〉や〈素晴らしい人〉に対応しているのだが、この慣れや諦念といった要素が『月と星が踊るMidnight』で主人公が経時的に〈嫌だった世界〉に対する摩擦係数を低減させてしまっていることと偶然にもリンクして聞こえる。(よくある歌詞やからや)

おもんない大人になっておもんない世界を生きる。セカオワ風に言うと"Nice people make the world boring"状態になってしまうのを憂う主人公だが、結局それはおもんない大人たちのかつての姿そのもので、〈本当にやりたいこと それだけをやろう〉みたく未熟でありきたりなことを言っている限りは時間にも抗えなさそう。

たぶん〈僕〉は傾聴すべきことを話半分に聞いているし、視野が左右で200°もない世界で生きている。
教師のバトンじゃないけれど、周囲の大人がおもんなく見えるのには事情があるし、他にも、本当にやりたいことを突き詰めていくとつまらない作業に帰着する、とか、だからそのつまらなさのなかにおもしろさを見出せるかどうかが重要、みたいな割とある話も全く知らずに〈僕〉は意気込んでいる。

もっと言うと、『月と星が踊るMidnight』がカントリー系EDM気分の王道アイドルソングで、ミッドナイトとのタイトルに反しもっぱらデイブレークな曲調なのも『絶望の一秒前』に似たような撞着語法だし、音楽として特段目新しさが散りばめられているわけでもない。

ただ、センターにいるのが「ガサツでうっとおしくワガママで人の話を全く聞かない生意気」な女でありながら、「向こう見ずに未来を信じて前向きな希望を語る」女でもある京子さんとなると、その豪胆さにちょっと賭けてみたくもなる。
彼女が、強烈な野心を持った状態で幸運にも自分の欠点を補うように言語化を爽快にこなす相方とめぐりあってつきぬけた人間だからこそ、それでもと運命に抗う、そんなロマンチックな展開を期待してしまう。

もしかしたらこの曲の歌詞には、そんな彼女に対して、秋元先生からの「つまらない大人にはなるな」「予定調和に甘んじるような大人にはなるな」「不誠実なプロデュースをするような大人にはなるな」といったメッセージも込められているのかもしれない。

日向坂46としてのパフォーマンスで考えた場合は、楽曲自体が彼女の相方にあたるだろうから、特に今作のソロ曲には『死んじゃうくらい、抱きしめて。』を超えるような名曲と華麗なブレイクスルーを何とか期待したい。


こんな豪胆なブログタイトルないよ



ライトな人向けの感想じゃなくて普通に歌詞についての感想になってしまったような気がするけど、ライトな人向けの感想って割とそういう感じのが多いような気もする



ちょっとマニアックな人向けゾーン

ここからはのびのび書いていきます

・コード進行を添えながらトラック周りの感想を。コードあんまり詳しくないので割と普通に間違ってると思いますが、まぁ大体でお願いします

イントロ ※Gメジャーキー
G・C・G・C→Em・C・D・G

Ⅳ・Ⅰ・Ⅳ・Ⅰ→Ⅵm・Ⅳ・Ⅴ・Ⅰ

・イントロ カントリー系EDMみたいな壮大な感じに京子さんの歌声。Midnightよりかは朝焼けなサウンド

1A
G×4

Ⅰ×4

・歌い出しがタイトルなの珍しい 1コードでAメロ通すのも珍しい(日向坂では初?) 

・京子さんセンターだと歌い出しからカマせるから美味しいのかもしれない。顔と声のギャップは初見さんウケも抜群

・ピアノの音(ソ♯ファレーの方)が爽やかスッキリ

1B
Em・D・C・G→Em・D/F♯・Gsus4・G
→G・D♯dim

Ⅵm・Ⅴ・Ⅳ・Ⅰ→Ⅵm・Ⅴ/Ⅶ・Ⅰsus4・Ⅰ
→Ⅰ・♯Ⅴdim

・Bメロ 急にAKBとかの系譜を継いだようなハーモニー。歌謡曲っぽくなる

→歌謡曲感はそこまで好きではないけれど、京子さんの歌唱に合っていそうとは思う

1サビ
(Em・C・G・D・D♯dim→Em・C・D・G・D/F♯)×2(※2周目はD/F♯なし)
→C・D・B/D♯・Em・D→C・D・G

(Ⅵm・Ⅳ・Ⅰ・Ⅴ・♯Ⅴdim→Ⅵm・Ⅳ・Ⅴ・Ⅰ・Ⅴ/Ⅶ)×2(※2周目はⅤ/Ⅶなし)
→Ⅳ・Ⅴ・Ⅲ/♯Ⅴ・Ⅵm・Ⅴ→Ⅳ・Ⅴ・Ⅰ

・サビに入るまでのスピード感?というか割とシームレスにスッと入る

・コード進行は6415→6451みたいな感じ。D♯dim→Emの感じがめっちゃ『僕なんか』

・メロディは意外と長調の明るい感じ(主音)で終わる。『僕なんか』もそうだけどコード違いで印象変わるわね(古語)

・1サビは割と淡白な感じ あんまり記憶には残らないような設計?

2A2B2サビ
※1と同じ?

・2A 装飾音ありのピアノが聴き心地良い

・2B ビートの感じ(トラップビート?って言うんですかね、分かんないんですけど)とかストリングスの感じとか、全体的に2番の方が好きな味

・乃木坂46『Actually…』冒頭みたいなズゥゥン

・サビ直前のピアノの音(♭シシドーレー♭ミーラ)もドラマチックな感じ

・2サビの方がストリングスも効いてるように感じる

→色々あるけど詰まるところこっちのが1サビより印象に残る

Cメロ
G×12→Em・D/F♯・G→Edim

Ⅰ×12→Ⅵm・Ⅴ/Ⅶ・Ⅰ→Ⅳ/Ⅵ(※A♭メジャーから見て♯Ⅴdim)

・途中オクターブでユニゾンするとこも壮大

・落ちサビに向けて半音上転調する瞬間のメロディ(シド♯ドー♯レーミード♯ド♯レ)がガツンと強烈で印象的

・その直前のピアノ(ソソ♯ファレ)は流れ星みたいで綺麗

落ちサビ ※A♭メジャーに半音上転調
(Fm・D・♭A・♭E・Edim→Fm・D♭・E♭・A♭・E♭/G)×2(※2周目はE♭/Gなし)
→♭D・♭E・ C/E・Fm・♭E→♭D・♭E・♭A

(Ⅵm・Ⅳ・Ⅰ・Ⅴ・♯Ⅴdim→Ⅵm・Ⅳ・Ⅴ・Ⅰ・Ⅴ/Ⅶ)×2(※2周目はⅤ/Ⅶなし)
→Ⅳ・Ⅴ・Ⅲ/♯Ⅴ・Ⅵm・Ⅴ→Ⅳ・Ⅴ・Ⅰ

・転調周りとかで落ちサビが一番ドラマチックで記憶に残る(MVも) なんだかんだ落ちサビしか

→この曲は1サビ<2サビ<落ちサビを聴きたいので是非フルサイズで披露してもろて(古語)

アウトロ
B♭m・Cm・D♭m・E♭

Ⅱm・Ⅲm・Ⅳm・Ⅴ

・D♭m(サブドミナントマイナーとか言うやつ)の響きにシュンとする しかもドミナント終止?で、もうちょっと続きそうなのに終わっちゃう感じだし

→最後まで憂いたっぷり

・曲について長々と書いているけれど、正直あんまりだと思っている 少し

→サビの始めが歌詞詰め込み&小室進行っぽいコードの動き(ここではⅥm→Ⅳ)だとよくあるアイドルソング感ありすぎて全然ワクワクしない そもそも日向坂の楽曲にワクワクを求めるのが間違ってるんだろうけど

→押韻の有無とかは甘受するとして、フレーズ終わりの母音を揃える、的な目配せさえしてくれない
(音楽聴いてます感を出すためにこういう指摘をしてみてるけど韻の有用性については割と疑問視している部分もある) 

・8thは関係ない話になるけど、個人的に今の日向坂の感じで極大値を出すための選択肢の一つが『ハロウィンのカボチャが割れた』みたいな明るくてダンサブルな丸サ進行曲だと思っているので是非やってほしい
(まぁコンサル気取りでこういうリスクを度外視した提言してふんぞり返るのもよくないんですが…)

・MVならびに振付のテーマは「つながる」らしい

→音にシンクロして〜とあるのは手のシュシュッってやつを指してるのだろうか どのみちシンクロが目玉なら練度の上がったツアー後の番組披露が本命になりそう

・ライブで観たときは黒と黄色の衣装だと思ったけど実際は紺寄り?

→不勉強なので素材周りの話は分かんないけど、くるっと回ったときにスカートが黄色く綺麗に広がるのは印象に残る。

→月わかる。

・(有名なあの近代アートみたい(ピエト・モンドリアンの絵)と思って調べてみたら全然違った)

・そういえば アー写のスポーティーな衣装は史帆さんがもう着ないっぽいこと言ってた……

(エレガントな血管!)


・初めてMV観たとき、1サビあたりでジョイラ風味だな〜とか思ってたらそこから大きく離れていった

・2番の雄大な自然と小ちゃい日向坂の人たち

ちっぽけ〜(天空席からの眺望)

・落ちサビのなんか怖いやつ

すこしどころじゃないふしぎな照明(CGじゃない)


・スニーカー履いてるので齊藤京子が本当に小さい 小っちゃいのに堂々としている

・京子の憂い顔が写真集で開放していたそれと同じでいいなと思った 訴えかける力のある強い表情も

・(MVの詳しい感想は特定のメンバー(推し)に注力して細かく観るタイプのファンの人のつぶやきとかを見るのが吉だと思う)

・(推しちゃんはセンター分けでした)

(こんなに出てるのにあんまり赤子じゃない史帆さん)



2サビ前ズゥゥンの丹生ちゃん なんか笑っちゃう



ハロカボみたいな曲…ハロカボみたいな曲……
てかハロカボの復権を……

私がけやき坂46にハマる前、丹生ちゃんこさかなさんのブログだけを読んでたような時期に聴いていた数少ないけやき坂46楽曲の一つがハロカボなんです……

誰が歌ってるかあんまり分かってなかったのに好きだったんです……

あたしゃ日向坂を知らない人が聴いても満足できるような楽曲が欲しいよ……

4期の新しい人たちがへっぽこな曲歌わされてたら可哀想すぎて見てらんないよ……

杞憂だといいんですが……

(栓のない話をするMidnight)

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