ニューモノポリーとの闘いを宣言したウォーレン大統領候補

 製造業の時代、寡占化した巨大企業分割で米政府が死闘を繰り広げたこともありましたが、寡占であって独占ではなかった。競合は数社は存在していたし、当時の巨大企業は何10万人も雇用していました。10/15 の朝日地球会議でも指摘されていたように、GAFAの経営者・幹部らが人類の富の半分は吸い上げて、身内だけで残り数10億人分の富を独占し、残りの人々は彼らのサービスを使いつつも貧困に喘ぐというディストピア未来像が現実味を帯びてきています。こういう大統領候補が出てくるのは必然だったといえるでしょう:

上記で「身内」とは、兆円単位の資産をもつ経営者だけでなく、彼らからストックオプションもらって馬車馬のように、でもクリエイティブに働く、高々数千人の社員億万長者を含みます。Instagramの社員数は約1000人。ニューモノポリーの巨大企業は、かつての巨大製造業が1社で数10万人雇っていたほどの雇用を生まないのです。Amazonは中間かもしれませんが、世界百か国の流通を全部牛耳るとなれば、本来は、数千万人、数億人の雇用が生まれた小売業なのに、わずか数10万人で済ませてしまっているともいえます。そして、兆円の売り上げに対し、昨年の日本への納税額は80万円とのこと。

 ニューモノポリーが民主主義を、国家を破壊しかねないことを象徴する数字が標題となっている記事があります:

「新独占」IT7社で130億人 企業・個人・国家を翻弄
データの世紀 第4部 支配の実像  2019/2/11 2:00」https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41135950Q9A210C1MM8000/

 【20世紀型の独占】        【ニューモノポリー】

・自社に有利に価格を上げる    ・独占しても価格を上げない

・設備占有や買収で規模拡大    ・ユーザが集まるほど便利に。利用増

・シェア・売り上げが大きい    ・データ専門家や知財が集中

・競合を排除。既存市場から締出し ・自ら市場を作り運営者として支配

 欧州は、GDPRにより、高額の罰金で、まず個人情報を中心にデータの独占を排除しようとしています。日本政府も、検討、聴取を行い始めました。しかし、彼らは、日本政府の任意聴取には、こう答えています。(上記記事より引用) "昨年11月、アマゾン・ドット・コムは経済産業省の公聴会呼び出しを即座に拒否した。170人以上の経済学者を抱え、鉄壁の防御を敷く同社内部では「日本はイージーだ」とさえささやかれる。6月、大阪で開く20カ国・地域(G20)首脳会議で、国境をまたぐ「データ流通圏」が議題に上る。国家ですら及ばない力を持ち始めた巨人とどう向き合うか。国際社会は解を迫られている。"

 この6月のG20は終了しましたが問題がが解決したとは到底いえない状況です。危機意識の共有ができたことが有意義だったといえるでしょう。

 大事な点は、彼らはAIを競って活用しているが、これは決してAI技術の必然ではないという点です。独占を追求する(VCなどが追及させる)ビジネスモデルであり、経済、法制、行政の問題です。データの扱い、対抗勢力をencourageする仕組みや、GDPRよりはるかに厳しく、会社分割や、個人データの管理は国営化するなどの「ニュー独禁法」を立ち上げ、それが骨抜きにならないように、技術面でも徹底して考えぬいていくのが急務のように思えます。


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