スポーツを通じて伝えたいこと。

激動の24時間が過ぎまして、まあまあ落ち着いてきました。
やっぱり緊張しますね。
自分の言葉をより大きく伝えることというのは。
しばらく手汗が止まりませんでした。

社会人デビューはアメリカン・モータースポーツを中心とした雑誌編集プロダクション。
その後は関係の濃淡はあれど、スポーツを色んな形で、色んな役割で伝えてきた21年間です。

なんで、僕はスポーツを伝えたがるのを止めないのでしょう。
それは純粋にスポーツが大好きだからです。

ハッキリ言って運動音痴です。
走る姿だけで笑いが取れます。
でもスポーツは大好きです。

ならば何故、スポーツが大好きか。
人の生き様が強くにじみ出るから、でしょう。
それによって人の感情は共有されて、心は動かされ、人生に彩りを与えるから、でしょう。
全てはそこに人が居るから、でしょう。
僕はその魅力に取り憑かれてしまっているから、大好きなんでしょう。

つまりは、人が大好きだということで。

野球番組を作ったり、F1の記事を書いたり。
その根源は「人ってこんなに素晴らしいんだよ」というところにある、と再確認しました。
なので否定的な表現は極力避けています。
辛口をお好みの方には口に合わないかもしれません。
でも、人の素晴らしさを伝えたいので申し訳ございません。

一つ、思い出があります。

2008年8月21日19時ごろ、羽田空港第2ターミナル55番ゲート付近。
東京出張を終えて札幌に帰る途中のことです。
ご存知の通り、そういうところにはTVが置かれていています。
公共の場ですから他の人たちは騒ぎもせず、じっと搭乗を待っているのです。
でも、ちょっとざわざわし始めます。

その日のその時間は、北京オリンピックのソフトボール女子の決勝戦が流れていました。
日本と対するのは強豪・アメリカ。
6回に入り1-2で日本はわずかに1点差。
日本は先攻、アメリカは後攻。
ソフトボールや野球は後攻が絶対的に有利ですから1点差は有って無いようなもの。
そしてソフトボールは7回制。
あとアウト6つを無失点で守りきれば金メダル、しかし点差は1。

6回表、日本の攻撃でアウトが重なる度に「ん〜」と皆が思わず口にし始めます。
6回裏、アメリカの攻撃は1アウト満塁。フォアボールでも外野フライでも同点、1ヒットで逆転の大ピンチ。
上野由岐子投手がアウトを奪う度に「よし!」「OK!」と小さな歓声が生まれてきます。
そしてピンチを凌ぎ、歓声と安堵の溜息が漏れ始めます。
7回表、日本は待望の追加点を取り羽田空港第2ターミナル55番ゲート付近は大いに沸き始めます。

7回裏が始まると、いける!上野頑張れ!勝てる!

そういう声が大きくなっていきます。
確か2アウト1塁だったでしょうか。
最後のバッターをサードゴロでアウトを取り、ソフトボール女子日本代表は金メダルを獲得しました。

その瞬間、55番ゲート付近はスタジアムに変わりました。
飛行機に搭乗するための場所ではなく、見ず知らずの人と喜び合い握手をして「人の感情を共有する場所」になったのです。
夏休み期間とはいえ、平日の夜の便ですから出張の人が多いのにもかかわらず。

僕も喜び興奮していた一人ですが、同時にスポーツってやっぱりすごいな、と感じたわけです。
ただ偶然にそこに居合わせただけなのに、スポーツが人の感情を強く結びつける。
その力強さ。
僕はその光景を忘れないでしょう。

スポーツを通じて伝えたいこと。
それは人の素晴らしさです。
そのことを一人でも多くの人にわかってほしいからこそ、肯定的な表現を積極的に使ってきましたし、これからもそのスタンスは変わらないでしょう。

僕は評論家ではありませんし、解説者でもありません。
スポーツを通じて「こんな素晴らしいことがあるんだよ!」と知らせる水先案内人です。

野球番組のコンセプトは「野球って面白いよね!」を発掘したり再確認したり広めたり。
今回の記事も「F1って今、こんなに熱いんだよ!」ということを広めてみようと書いた次第です。

まだまだ未熟者です。
異例の遅さの「デビュー戦」でした。
41歳10ヶ月。後厄のオールドルーキーです。
でも、まだまだやれるしチャンスはある!
もっともっと表現力を磨いてやっていくんだ!
そう心に刻んでいます。

F1に限らず、スポーツ全般を取り上げて表現していきたい所存です。
今後とも宜しくお願い申し上げます。

スポーツって面白いよ!