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8月6日の日記「【微閲覧注意】戦う前から勝っていた」


 1人暮らしを始めて、2年半ほど経っただろうか。ついに、出たわね。Gが。……ま、俺の部屋は1年中、泥棒に荒らされた直後のような散らかりっぷりだし、むしろ2年半もようもったわ。それに、今の季節だと、そこそこお外で見かけるしね。そういえば1年くらい前、家に帰ったらドアの前にヤツがいたことがあって。「ここで帰るなら、見逃してやるぜ……?」と思いながらドアを開けたら、「お邪魔しまーす」つって一緒に入ってきやがった。残念ながらヤツは、生きては帰れなかったですよね。でもあのイベント(?)は、僕の中では家にGが出たカウントにはなってないですよ。彼(彼女かもしれないですね)は、たまたま通りがかっただけだから。完全にセーフです。

 今回、ヤツはゴミ箱周辺をカサついていたので、残念ながらこれはもう、完全なるアウトですね。今見逃してしまえば、次はいつどこで現れるのかわからない恐怖に怯え続けることになる。しかし、殺虫スプレーなんてもの手元にない。当然だ。そんなもの買ってしまえば、うちにはGが出ますよ、ということを認めてしまう。そういう弱気な気持ちが、家にGを招くのだ(謎理論)。なので僕は、ヤツから目を離さぬまま、今は貴重になったレジ袋を2枚重ねて、自分の右手に装着する。おらぁ、という掛け声と共に、奴の姿を捉えた(物理)。レジ袋2枚越しにも伝わる何かが蠢く感触に気づかぬふりをして、そいつをそのまま窓の外へとぶん投げた。どうやら今回のヤツは、生きてこの部屋から出られたようだ。悪運の強いこって。ちなみに前回、ウチにお邪魔してきた彼(彼女)は、「Gには洗剤が効く」っていう豆知識の実験台となった。アレよ、ちゃんと外に出した上でやりましたよ? 結構な量使わないと、とどめを刺さなかった気がする。なんなら死因は溺死では? 子供の頃、無邪気に昆虫をいじめた思い出、皆さんはありますか? 僕はまああるだろうなと思って(思うなよ)記憶を遡ったけど、特にはなかったな。昔はかなりの虫取り少年だったからな。まあ今までも、でっけークワガタを捕まえる夢とかたまに見るけど。

 ただ、Gを昆虫としては見れないな。キミを男じゃなく友達としか見れないように。そんなGの討伐方法ですけど、今回僕がやったような手掴み、けっこうおすすめですよ。叩いて処理すると、骸(むくろ)残るのが嫌すぎるし、スプレーは遠距離攻撃だからこそ確実性に欠け、距離を取っているからこそ反撃にあったときのメンタルダメージが大きい。その点、手掴みなら割と綺麗に処理することができるし、「今から俺はあのGを手で『ヤる』」と思うと、全身に全能感が満ちてくる。スプレー片手の状態なら、相手がちょっとカサつくだけで飛び退いてしまうくらいビビっちゃう。しかし、一度手で行くと決めたならば、相手が多少動いたところで「ふん、無駄な足掻きを……」なんて余裕が生まれる。完全なる精神的優位を取れるのだ。メンタルで勝った時点で、もうヤツに遅れをとる要素は何一つない。飛べるのがどうした。素でこっちの方が高えんだよバカが!!!(Gにマウントを取る終わってる男)


 そういえば、僕がよく聴くネットラジオで前、「クモを益虫だとか擁護するやついるけど、そんなの知ったこっちゃねえから」みたいな話をしてたな。家にたまに出る細長いクモが嫌だって言ってた。「脚が一回上がって、また下がるのが意味わからない。なら最初から上がるなよ」ってキレてて、その奇妙な視点が面白かった。


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 Gの話ばっかするのはアレだから、今日買った飲み物の話をしよかな(と思ったけど、Gの話をしたあとに飲み物の話をするのもどうなんだ?)。今日は仕事でかなり疲弊したから、コンビニでたっけー飲み物買ってやろ、と思い、買ったのがコレ。「やんごとなきマンゴー」っていうネーミングセンスは、あんま刺さらなかったけど。濁ってるように見えるほど、濃い黄色だ。エグいくらい濃いマンゴーの味するんだろうな、と覚悟して飲むと、想像以上にリンゴやオレンジの風味が強く、爽やかだ。ちゃんとしたミックスジュースの味がする。美味いっちゃ美味いけど、ちょっと肩透かしかも。お値段の方は、300円となっております。ただ、「300円もする飲み物を飲んだ」という経験を味わうのが主目的で、別に100円の飲み物の3倍の美味を求めているわけじゃない。経験の中身云々より、経験をすること自体に金を払えるタイプかも。同期に土を食べられる店に行きたい、って言ってる子がいたけど、正直俺も行ってみたい。味にはさほど興味はないが、「土を食べたことがある」という称号は、多少の金と引き換えにしても手にしたい気持ちがある。

 成分表付近に、こんなコラムが載っていた。

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「一流のホッケー選手になるには、まずはパックのコントロールをマスターしましょう。床に紙くずが落ちていたら技術を磨くチャンス。フロアワイパーを握り、素早いテンポで紙屑をコントロールしながら、小刻みのジグザグでゴミ箱を狙います」

「タンスの角に小指をぶつけて、選手生命をおびかされないよう注意」

 ……なるほどね。「やんごとなきマンゴー」という名称にぴったりの、ユーモアの温度感。このコラム込みで300円かあ。やっぱ、釈然としねえなぁ……。




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