7月9日の日記「『自分だったら』の仮定に意味はあるか」

　Twitterで見かけた漫画の話していい？　いいよあり。

　それは続きもの漫画で、素直になれない女上司と、後輩の男の子の話。本当は両片思いなのに、くっつきそうになったと思えばすれ違う二人の関係性に、じれったくなったオタクどもがリプ欄で「抱けー！！」だのなんだの無粋な画像大喜利を始める、そんな漫画だ。後半悪意あるように思えたかもだけど、そんなことはないですよ。

　まあなんだかんだあってその二人はくっつくことになったんだけど、この漫画はそこでは終わらないんですよね。女上司の方が、「今の幸せが本当に続くのか不安……」だの「後輩の年齢からしたら私なんておばさんだし、いつ捨てられてもおかしくないよね……」だの、ふざけたことを考えだすのよ。お馬鹿！　それはフラグでしょ！！　漫画だったら絶対男側が浮気するやつじゃないですかやだー！！！　……そして残念ながらこれは漫画なので、それっぽい展開になってきてしまったんですよね。後輩くんの同期の女の子も、実は後輩のくんのことが好きだったんですね。そんで、同期の子も後輩くんに猛アタックしてくるんですね。後輩くんもちゃんと「俺、好きな人いるから……」って断るんですけど、同期の子も本当に後輩くんのことが好きみたいで、最新話にて「好きにならなくてもいいから、一回だけでも……」みたいなことを涙ながらに言ってくるんですよ。それに対して後輩くんが、「……誰にも言わないって約束してくれ」と言った場面で終わり、来週もまた見てね状態になってるところです。おやおや、焦らしますねぇ……。

　割とちゃんと物語のあらすじ言っちゃいましたけど、本題は物語そのものじゃなくて、リプ欄の方なんですよね。素直に受け取れば、今にも後輩は浮気しそうになってるじゃないですか。それに対してリプ欄で、「いろんな人間関係壊してまで目の前の女とやりたいなんて、俺なら到底思わないね。逆に尊敬するわ」みたいなリプがあったんですよ。それを見て、僕はもうゾクゾクしちゃいましたね。ついに創作上のキャラクターにまでマウンティングを始めたか！　と。これよ、これ。これこそがinternetなんですよ。堪んねえなぁ……これだからやめられねえなよ、internet……（焼酎を飲み始める）

　ここからちょいと、話を展開させまして。悪いことをした人間に対して、「ありえない、俺だったら絶対こんなことしない」みたいな感情が持てないんですよね、僕。基本的に、「もしかすると俺もこの人と同じ状況に立ったら、同じ罪を犯してしまうかもしれないな……」って感じてしまうタイプ。そんでもってそれって、どっちの方が誠実なのだろうね？　思うに、「自分だったら〜」って言う時の自分って、基本的に今現在の自分じゃないですか？　そりゃまあ、しないだろ。めちゃめちゃお腹か減ってパンを盗んだ少年に対し、食後のデザートまで楽しんでお腹いっぱいになって人間が、「俺だったら盗みなんて絶対しないけどな」なんて言ったところで、説得力ないよって話だし。自分だったら、と考える場合、ちゃんとシチュエーションからその人に合わせなきゃいけない。それでも、自分なら罪を犯さないと言える根拠は、いったいどこにあるのか。そもそも、出自から合わせる時点で、自分は自分じゃなくなるのでは。ならば、「自分だったら」という仮定自体、意味をなさないのではないか？

　　

　みたいなことを考えると、悪いことをした人をなかなか批判できなくなるけど、それはそれでどなの？　とはなるよな。石を投げられたくないから石を投げない、お得意の予防線ってやつにも見える。そんなやつよりはたとえ根拠がなくとも、自分を棚に上げようとも、ちゃんと悪を糾弾できる人の方が偉いんじゃないか、とも思って。まあ、そっちが偉かったら明日から偉い方になろう、って感じじゃなく、スタンスは変わらずにただ「あー、俺って偉くないんだなぁ……」と思いながら生きるだけなんですが。

　会社のある上司に雰囲気似てるっていろんな人から言われた。立ってる時の重心のかけ方が似てるらしい。重心が似てるなんて、そんなん初めて言われたぞ。これからはキャラ被りしないよう、オリジナルの重心を探して行こう。

　爽のパイン味を食べた。こういうフルーツ系のアイス、果汁と氷でできてるシャーベット上のやつと乳成分が入ってるやつ（オレンジボール？　みたいなやつ）があって、後者はあんま好きじゃないから買うときに「どっちなんだろう……？　頼むから前者であってくれ……！」と思ってる。今回は前者だったのでよかった。味は、なんかのパンの味がした。アイスからパンの味がするのはなんか嫌だったので、あまり吟味せずに食べた。なので、なんのパンの味かはわからない。情報求ム。