見出し画像

7年前の1行のメモで受注した話

私の前職である株式会社キーエンスという会社では独自のCRMにお客様への活動の記録をかなり細かく残していました。

CRMを導入する前は顧客カードという単語帳のようなものでそのお客様の情報を手書きで1件1件電話や訪問の内容を記録していたそうです。

お客様と話したり商談した内容はかなり重要な情報資産だと考えているので、記録することの重要性は新卒のときから嫌というほど教え込まれました。


・案件の時期、金額、ネック、用途

・失注した理由

・担当者の趣味、家族構成、住んでいるところ、好きなもの

・電話した時間(何時何分)、内容、PRした商品


今でこそSFAやCRMへの記録の重要性が叫ばれるようになってはきましたが、キーエンスは数十年前から上記の内容を記録することを徹底しています。

それらの記録が必ず売りに繋がる可能性があるということを社員全員が理解していたのです。

「記録があるのとないのとだったらどっちが受注率良くなる?」

こんな会話が新卒に対してそこら中で行われていました。


7年前の1行のメモが受注につながった

画像1

私が6年目のときのことです。

新しい営業所に転勤になり、私の担当地区に大手メーカーに対して訪問しました。

何人か訪問していくうちにある部署だけは以前にクレームがあり製品を導入できないという話を聞きました。

話を深掘りして聞いていくとどうも一人のキーマンがうちの商品を入れるのに反対しているそうです。

そのキーマンに対して前任の担当者は2〜3年会っておらず、ほぼ接触できていないことがCRMの記録からわかりました。


何か情報はないかとずっとCRMを遡って見ていくと私の3人ほど前の担当者はそのキーマンと懇意にしており、かなり買ってもらっていました。

(その担当者の次の担当者の対応が悪く接触NGになっていた)


CRMの7年前の訪問記録の一つに

「〇〇さんは缶コーヒーの微糖が好きなので毎回買って持っていく」

という内容が書いてありました。


早速私は缶コーヒーの微糖を買い、内線表からそのキーマンに電話し、

「キーエンスののむらと申します。以前の担当の△△案件の対応が悪く申し訳ありませんでした。〇〇(仲良くしていた担当者)から話を聞いており、缶コーヒーの微糖を持ってきましたので挨拶だけでもさせてもらえないでしょうか?」

と伝えました。

キーマンは少し驚いたような感じを出しながらも会ってくれ、前任の非礼を詫びながら缶コーヒーを渡し話していくと今後の取引に前向きな姿勢を見せてくれました。

結果、半年後にはそのキーマンに大量に注文をもらい売上が2倍以上になりました。


1行の記録が結果を変えるかもしれない

こういった何年も前の記録が役に立つ事例はキーエンスではよくある話だと思います。

営業は些細な行動や言葉、情報でお客様の表情が変わり、売れるか売れないか変わるというのはみなさん経験があるのではないでしょうか。

それらの武器となる材料がCRMに記録した電話や訪問、案件の内容になると考えてます。

私たちが営業組織の顧問として入るときはまずこの電話や訪問の記録を根付かせるための文化を作り、SalesforceなどのCRMを営業の活動の記録がしやすいように実装することから始めることが多いです。

最初は1行でもいいので訪問などの記録を残していくのがよいと思います。


営業活動を記録することのメリット

営業活動を記録することは

①電話や訪問、案件などの内容が後から自分の営業や引き継いだ後任の営業の役に立つ

②電話や訪問、案件のKPIの件数を可視化することができ、売れている人と売れていない人の件数が定量的に把握できる

この2つが挙げられると思います。

これらを軽視する会社で大きく伸びることはほとんどないです(主観)

それではまた!

いいなと思ったら応援しよう!