パラレルワールド 3
☆
その部屋には生活に必要なものはひと通り揃っていた。
にもかかわらず全くといっていいほどに生活感は感じられなかった。
無機質がこの部屋の隅から隅を埋め尽くしていた。
時刻は朝の8時を少し過ぎたくらいだが全くと言っていいほどに明るさというものを感じない。
部屋の片隅に小さな窓がある。
そこから微かに日の光が差し込む程度だ。
時間の感覚を失ってしまいそうな部屋だった。
とにかくこの部屋でしばらくの間・・フェスティバルが終わるまでの時間を過ごすことになる。
☆
少し眠りたかったがそれと同じくらいに空腹でもあった。
そもそもこなすべき予定などというものは全くないのだ。
どれを優先しなければいけないということはない。
あの長い尻尾の男の言うように、全てにおいて流れに身を任せる以外にないのだ。
「バーを探してジャックダニエルと軽い食事、そして部屋に戻って眠る」
とりあえず、そういう流れになっているらしかった。
再び靴を履き、僕はバーを求めて再び街へ出た。
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「それでもなお、未来を信じる人たちへ」
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「記録の存在しない街、トーキョー」に送り込まれた一人の男。仕事のなかった彼は、この街で「記録」をつけはじめる。そして彼によって記された「記…
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