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たった一人のGACKTさんコピーバンド 12 ライブハウス
トキオ。もう15年来の付き合いになるベーシスト…かつ大学の後輩で、後輩と呼ぶには僕の方が助けてもらっている率は大幅に高く、要するに15年来の友人だ。
週末、トキオが参加しているスカバンドのライブを観に行ってきた。
ライブハウスの入口で予約の確認と署名、検温、アルコール消毒というステップを踏み、ようやくライブハウスのフロアへと入る。
フロアはずいぶん広く感じた。
多分それは入場制限がかかっているからという理由だけではなくて、この漠然とした不安感のようなものがより一層そう感じさせるのだろう。
入場制限、相次ぐ出演バンドのキャンセル…
トキオに…今日のバンドたちにとって逆境には違いなかったが、現地では配信用のカメラやPC、普段はライブハウスではあまり見かけることのない撮影クルーの姿。
バンドの演奏中もカメラマンがメンバーのいちばん光っている部分を取り逃がすまいと真剣な眼差しをファインダー越しに、ステージへと送り続けていた。
「ノムラさん、こんなときにわざわざ来てもらって…ホントありがとうございます!」
フロアに到着した僕を見つけてトキオが声をかけてくれた。
「出番次っす。ちょっと…練習してきます!」
僕にも緊張感がビシビシと伝わる。
今日のライブは配信も行われているため転換にも普段より時間がかかる。
それがなんとも、期待を煽る。
この表現は不謹慎かもしれない。
でもあえて言う。
いいぞいいぞ、これが「ライブ」だ。
見せてやれよ聴かせてやれよ。
生きた時間の大半を費やしてキミはベースを練習してきた。
だから過去のどの瞬間よりも今がいちばん上手いはずなんだ。
バンド自身も5ヶ月ぶりのライブ演奏だ。
明らかに緊張していた。
それでも彼らの演奏は素晴らしかった。
胸が熱くなる。
久しぶりだ。
やっぱりライブハウスの爆音はええわ。
僕は耳を傷めないようライブハウスでは基本的にイヤープラグをしているのだがライブハウスの、彼らが発する爆音は空気をバシバシと震わせる。
その振動が心地よい。
生のアンプで鳴らされるベース、歪ませたエレクトリックギター‥爆音に負けじとその身体で声を発するボーカル‥
全部全部、「ライブ」だった。
生きてる、生きてるぞ。
そしてトキオのベースは格段にうまくなっていた。
そりゃそうなのかもしれない。
最後に彼の演奏を見てからもう5か月だ。
僕と違って(汗)、トキオは5ヶ月あれば5ヶ月練習するのだ。
ステイホー厶期間も、スタジオにさえ入れない期間も、キミはやるべきことをしっかりやった。
そしていまバンドの屋台骨としてバンドを、今日のライブを真ん中よりも少し下の所で支えている。
ブラボーだ。
彼らの演奏がおわり、転換で再び慌ただしくなるステージを眺めながらふと、
「自分はちゃんと、時の流れに見合うだけの成長ができているのだろうか?」
そんなことを考えた。
でもそれはどっちでもいい。
本当は何度だってやり直せること。
どんなペースであっても、歩き続けた先には新しい風景が待っていること。
未来は希望で溢れているということ。
もしも僕がそれを忘れてしまうときが来たら、どうか教えてほしい。
もしもあなたがそれを忘れてしまう日が来たら、僕がそれを全力で伝えます。
月並みな言葉ですが、
頑張りましょう!
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