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山登りのモチベーションが上がる本

『 バッグをザックに持ち替えて 』 唯川 恵  2018年4月

 よく行く本屋さんに入った。山登りの本のコーナーを何気なく見ていたら、今まで気づかなかった本が目に入りました。恋愛小説家だと思っていた唯川恵さんの本でした! 「唯川恵さんが山登りの本?!」 とっても意外で、気になって即買いし読んでみました。(元々は文芸誌に連載されていた山のエッセイがまとめられた本です。)
 「海派か山派と聞かれれば、私は海派だった」という著者は直木賞受賞後に山登りを始めます。周りの人たちを山登り仲間に加えていき、ついにはヒマラヤ5000メートル峰に挑戦するまでに登山にハマっていきます。「登山は下山後の呑み会がセットになってこその楽しみなのである!」とチョットお気軽な楽しみ方の話あり、はたまた世界の登山史に名を残した女性登山家(田部井淳子さん、谷口けいさん)との交流の話が出てきたりと、近所の里山からヒマラヤまで、オールラウンドな山の話一杯の本です。
 ヒマラヤ登山の様子が映画のシーンの様に目に浮かびます。唯川さん一行はエベレストがよく見える5455メートル峰「カラパタール」を目指し、嶮しいヒマラヤ街道を何日も歩く。残念ながらアタック直前に唯川さんはひどい高山病になってしまう。一名のみが頂上アタックをすることになり、残りのメンバーは500m標高を下げた4410mのディンポチェまで撤退する。翌日の夕方、頂上を目指した一人が登頂を果たし、サーダー(※)と共に戻ってきて、唯川さんほかパーティのメンバーが出迎える。                (※シェルパのリーダーのこと)

‥‥カラパタールに登れなかったのは残念だが、羨ましさも悔しさもなかった。ただただ、シューマン鈴木さんが登頂を果たしてくれたことが嬉しかった。「パーティの一人だけでも山頂に立てれば、パーティ全員の成功です。全員の栄誉になる。」
そんなサーダーの言葉が素直に心に届いた。…

頂上アタックを目前に撤退し、登れなかった残念な気持ちを蓋いつくした喜び… 行ったことのないヒマラヤに行きたくなりました。僕が選ぶヒマラヤ遠征のハイライトシーンは迷わずここです。 最後は、山登り愛あふれるステキなことばでこの本は終わります。大人になって山に登ったことのない人でも、山に登ってみようかな…と思う一節です。           

   今も不思議に思う。
  この私が山登りをするようになるなんて。
  最近は少しずつほかの山にも足を延ばすようになった。
  まだまだ登ってみたい魅力的な山は数えきれないほどある。
  繰り返し登りたい山もたくさんある。
  山との出会いは自分との出会いでもある。
  これからも体力の続く限り、私らしく登り続けたいと思っている。
   
 読み終わってすぐに、唯川さんが語る次の山の話が聞きたくなりました。 (^^)

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