後輩に薦めたい本

これから社会人になったりする自分よりも歳下の人に、オススメの本を一冊選ぶとしたら、「ファスト&スロー」を選ぶと思う。一言でいうと、人の意思決定はどのように行われるか、ということを示した本だ。

人の意思は、システム1という直感的な早い思考と、システム2という論理的な遅い思考によって決定されるということを解説している。そして、非合理的とも言えるシステム1による判断が人の意思決定には大きな影響を与えるというのだ。

例えば、「学校の窓ガラスが全て割られていた。犯人は運動部の生徒か、不良の生徒のどちらの確率が高いか?」という問題を考える。運動部に所属する生徒の数以上に不良の生徒が学校にいるとは思えないため、単純な計算で言えば母数が多い「運動部の生徒」が犯人である確率が高い。しかし、多くの人はなんの理屈もなく、直感的に「不良の生徒」が犯人だと思ってしまうのではないか。これが「早い、非合理的な」システム1の影響だ。

消費者として商品を購入するときも、クライアントへの提案をするときも、人のあらゆる活動は突き詰めていくと、各個人の意思決定にたどり着く。買う、買わない、良い、悪い、好き、嫌い、これらの判断を行う上でシステム1の働きを無視することはできない。

つまり、この本に書かれているエッセンスを理解することで、自分が向き合っている相手が日常生活やビジネスの中でどう意思決定しているかを掴むことができるのだ。それによって、思ったように相手の心を動かすことが可能になるかもしれない。また、自分自身の判断すらも客観的に見つめ直すことで、非合理的な間違った判断を避けることもできるかもしれない。

いずれにせよ、どの職種、どの会社、どの業界、どの社会に置いても、応用できる知見であると考えられるため、あらゆる人にオススメしたい本だ。



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