#66 因果関係のかけ算

「原因と結果の因果関係を明確にしろ。なぜ、そうなのったのか。」

仕事においてよく言われることだが、なかなか難しい。「原因と思わしきもの」はわかるが、本当にそうなのかは証明できない。なぜなら、それが無かった場合の状態がどんなものになるかは再現できないからだ。

理科でいう対象実験のようなものだ。葉っぱの蒸散を調べるために、枝や葉の枚数が同じ植物を水の入った試験管にいれ、片方だけ葉にワセリンを塗って水の減り具合を計測する。そこで水量に差異が出れば、水が蒸散するのは葉の表面からであることが証明できる。それ以外の条件が同じだからだ。

しかし、現実は実験室とは違う。周りの気温や水の純度、葉の枚数や枝の数、日当たり、風通しなんかも揃えるのは難しい。厳密な同条件は作れない。その時に、水の減り具合の差異の原因が「葉の表面のワセリンの有無」と言い切れるだろうか。。。?

人が自分の実績や成功を語るときは、「あの時こうしたから」ということを中心に据えたストーリーになることが多い。これも嘘ではないだろうが、他の色んな要因が絡み合ってその結果になっているのではないかと思う。

上手くいっている人で謙虚な人はたぶん、自分の努力や判断が結果に繋がった自負はある程度持ちながらも、それだけではないこともわかっているのだろう。だから謙虚なのだ。

物事の原因というものは掛け算のようなもので、どれか一つでも値が「0」だったら、結果は「0」になるのだ。

全ての原因を特定することはできないし、コントロールすることもできない。せめて、自分の力で変えられるものは「1」にしていきたい。

時代の流れが「100」になってるときに、自分が「0」だったらもったいないものね。

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