見出し画像

ロングコートダディを応援することで得られる安寧について

「ロングコートダディ」は、大阪のよしもと漫才劇場を主戦場として活躍するお笑いコンビだ。

コンビ内においてネタを書いているのはメガネで細身の堂前さん、”主人公”は兎さん。ボケツッコミははっきり分かれていない。

この文章では、それぞれの人柄から劇場で見せてくれる魅力、YouTubeチャンネルのこと、そして圧倒的満足度を誇る単独ライブなどについて触れていく。

「沼への導入書」でもあり、「愛に共感する場」でもあるものにできたら嬉しい。

堂前さんの書くネタと”主人公”兎さん

・堂前さんと兎さん

先述の通り、左側に立っていてメガネで細身の人が堂前さん、右が釣りをたくさんしている兎さんだ。

堂前さんはネタ書きであり、特筆すべきは関西のストロングお笑い番組「座王」での強さだ。彼は、お笑いが”強い”。

大喜利、即興ソング、ギャグなどでただひたすら勝負して「座王」の座を狙うというヒリヒリの番組で、1位の笑い飯西田さんに次いで全芸人の中で2位となる「座王」獲得回数を誇る。

”主人公”の兎さんはド天然、愛されキャラの変な人。劇場のトークコーナーでは、本人のいるいないに関わらず、だいたい誰かしらが彼のエピソードを話している。そのエピソードの数々はここに書いてもキリがない。

そして「兎さん大好き芸人」というライブが打たれたほどの愛されキャラでもある。ファンも芸人もみんな、兎さんからは目が離せない。


・ネタの特徴

ロングコートダディはあくまで「コント師」というスタンスを保ちながらコントも漫才もこなす。

そんな彼らのネタは言葉で形容しづらいが、個人的には”日常にある「可笑しみ」みたいなものをセンスで一旦ギュワーーンとぶっ飛ばして、観客にも伝わる位置に着地させた”みたいな印象だ。

この時「可笑しみ」の対象になっているのは、ちょっとしたコミュニケーションの噛み合わなさだったり、子供の無邪気さだったり、兎さんの素の人間性だったり、色んなパターンがある。

そして、どれも身近なのに絶対に予測もできない角度からそれらを面白がっているところに、いつも驚きながらも爆笑してしまうのだ。そもそもぶっ飛びファンタジーなネタもあるし、一概には言えないけど。

あとは、(コントの場合特に)登場するキャラクターが大体愛おしいというのも大きな特徴ではないだろうか。

・2人の関係性

ネタ以外でいうと、明らかに2人の仲が良い部分も見ていて楽しいが、そこを無理に押し出す素振りはない。というか、2人の根本的な性質である他人に優しい部分が、相方にも同じように適用されているだけかもしれないと思っている。

仲良し売りの芸人が押し出すあざとい仲の良さについ「あざと……」となってしまう敏感な人もご安心を……。

劇場でのロングコートダディ

・安心と信頼

私の中でロングコートダディが”推し芸人”になるまでの出会いを完結にまとめると”劇場(ルミネ)→座王→M-1 2019敗者復活漫才”だ。彼らを初めて観た時の感想は以下にまとまっている。

ただ関東住みの私が、彼らの普段の劇場での様子を知ることができるようになったのは正直、大流行した感染症のおかげと言っても過言ではない。

2020年3月頃からの感染拡大に伴って、彼らが主戦場としている「よしもと漫才劇場」では始めのうちはYou Tube無料配信、徐々に「有料配信チケット」という体制が整備されて普段の劇場公演を配信で観ることが可能になった。

「ソースはこれです!!」と提示することはできないが、劇場公演に彼らがいるときの安心感はすごい。

いつでも兎さんが引っ掻き回し、堂前さんがいい感じにしてくれる。(ただ、兎さんがMCのときは彼が1人で引っ掻き回してかっさらってしまう様子も。)その信頼感はもちろんファンからだけでなく、劇場メンバーからも同じように感じられる。

・「面白い」への貪欲さ

配信で沢山の劇場公演を観る中で「ネタの多さ」にもかなり驚いた。本当に多くの種類のネタを見せてもらったと思う。特に新ネタが毎回強すぎる。普段のネタライブはもちろん、毎月登場する新ネタライブでは鮮烈な印象が残ることばかりだった。

また、堂前さんは自分たちのネタをするという部分以外にも、「面白いこと」に対してとてもいい意味で貪欲なため、主催ライブが多く、ファンとしてはとても嬉しい。

バトルライブ「ネコちゃん軍団」シリーズや、大喜利狂の彼の主催する「大喜利スープ」シリーズ、フリップ大喜利「STRONG」シリーズなど、それぞれがかなり長寿企画となっている。

それぞれの企画が長寿になっているのは、ファンから求められていることと演者たちが楽しんでいることが大体一致しているのも大きな理由だろう。

・トップクラスの実績

賞レースでの活躍なども相まって、気づけば劇場で舞台に立っている数はマンゲキ所属芸人の中でもトップクラスとなった。森ノ宮漫才劇場がオープンしてからは余計に引っ張りだこという状況である。

劇場所属の全芸人、約100組が参加する2ヶ月に1回のバトルライブ「グランドバトル」では、2回の総合優勝経験もある。これはマンゲキ所属芸人の実績としてかなりすごいことだ。

1回目の優勝ネタはコント、2回目の優勝ネタは漫才だった。紛れもない両刀使いとして、その実力を形にしている。

結成12年目に差し掛かり、「ロングコートダディさんを見てお笑いをはじめました」という後輩も劇場に出現し始めているとか。

テレビでのロングコートダディ

・活躍の拡大

テレビでの活躍で言うと、1,2年前までは私がロングコートダディにハマるきっかけとなった「座王」がメインの出演番組と行っても過言ではない状況だった。それも堂前さんのみ。

しかし、いまとなっては全国区のネタ番組や関西のバラエティ番組にもまあまあな頻度で出演し、ゲーム番組の準レギュラーになったり、競馬番組のレギュラーを持ったりするようになった。そしてテレビ番組とは少しずれるが「夕方NMB」といったアイドルイベントのMCなども担い、活躍の場を広げている。

・『関西コント保安協会』の放送

また、なんと言っても『関西コント保安協会』『おかわりコント学園』といったコント番組が放送されたことも大きな出来事だ。

『関西コント保安協会』はもともと「ロングコートダディ・ニッポンの社長・セルライトスパ」の3組のユニットとして開催していた劇場公演の公演名である。

これがテレビ番組として放送されることになり、劇場で披露されたことのあるユニットコントがそのまま番組に。異常なほどシンプルにお笑い一色の番組内容で、ファンだけでなく芸人内での反響も大きかった。

「よしもと”漫才”劇場」が設立され、関西のコント師が苦しんだ時代も、あくまで「コント師」として一緒にコントをやってきた仲間たちとともに躍進する様子は、その時代を知らなかった人間でも喜ばしい。

テレビでの活躍はそこまで意識していない、という2人だが、今後も無理のない形で彼らが面白いと思うものが多くの人間の目に触れればいいと思う。

とりあえず「関西コント保安協会」の第2回放送を祈っておく。

賞レースでのロングコートダディ


・キングオブコント

彼らがコント師として狙っているのが「キングオブコント」王者の座。2019年に準決勝初進出、2020年に決勝進出して、2021年は惜しくも決勝進出を逃した。

もちろんその肩書がなくたってすでに熱量あるファンと代えの効かない立ち位置を手にしているとは思う。本人たちも勝ち負けに対してあまりがっついた発言はしない。

しかし同時に、「こんなにおもしろいコントをたくさん作っている彼らが優勝しなくてどうすんだ」と思ってしまっている。

優勝が全てではないが、優勝することでできることの幅はぐっと広がるはずだ。テレビでガチガチのセット組んでコントすることだって叶う。

(↓10:50~:堂前さんは「キングオブコントの優勝賞金入ったらまるごとテレビ局に持っていってコント番組やらせてくれと頼む」と言っていた)

まあ突然10年目以下の芸歴制限がかかるとかの事件が起こらない限り、近いうちに彼らは優勝するんだろう。してしまうんだろう。という気持ちで見ているし、今後もずっと応援していきたい。

・M-1グランプリ

彼ら曰くチャレンジャーの気持ちで挑んでいるという「M-1グランプリ」。なんだかんだで2年連続準決勝進出しているという結果が彼らの実力を物語っている。

2人の素のままの会話のような、独特な空気感を醸し出す漫才には唯一無二の魅力があり、実際に私はM-1グランプリ2019敗者復活の漫才でかなり心を掴まれた。

兎さんが「芽ネギ!!!!」と叫ぶべきところで「ネギミ!!!!」と叫んでしまうなどの歴史的事件を残したのも「M-1グランプリ」だ。

この大会はとにかく注目度が高い。もちろんさらなる躍進を願いつつ、ロングコートダディの魅力を知る人が増えるきっかけになってほしいと願うばかりだ。

・それ以前の大会について

上記した「キングオブコント」・「M-1グランプリ」以外でも彼らは「ABCお笑いグランプリ」、「ytvお笑い新人賞」、「NHK上方漫才コンテスト」など、大阪の10年目以下の芸人が出場することの多い大会でも軒並み決勝進出を果たし、優勝こそしなかったものの、多くの実績を残してきた。

自分たちのペースを崩さない彼らが、確実に結果を積み重ねている様子を振り返ると、絶対にこのままでも自然と機が訪れると強く感じるのだ。

ロングコートダディ和尚のゲーム念仏って?

・必見コンテンツ「ゲーム念仏」

より深くロングコートダディの沼にハマるために欠かせないのが、彼らのYou Tubeチャンネル「ロングコートダディ和尚のゲーム念仏」だ。毎週土曜22時半から1時間ほど2人によるゲーム実況が行われる。それも生配信。

以前は土曜22時からの開催がデフォルトだったので開催日時を「どふふ(土22)」と呼んだりもしていたが、いまは「どふふ半」。

NSC同期→ゲーム友だちという関係性からコンビを組んだ2人は、毎週ただのゲーム友だちという距離感でのゲーム実況を見せてくれる。

おそらく1番素の会話に近い状態で、それぞれのキャラクターが見えて楽しいため、ネタからハマって「もっと人間性を知りたい!」という人は必見のコンテンツだ。2人ともゲーム偏差値が高いため、単純に実況動画としても楽しい。

たしか、「ロングコートダディ和尚のゲーム念仏」という変わったチャンネル名は「和尚さんの念仏のようにボソボソとゲーム実況をする」というコンセプトで名付けられたはずだった。

しかし、和尚さんがそこまで大声出して盛り上がるわけ無いだろ!!というほどの盛り上がりを毎週見せてくれるし、他の芸人とのコラボ回も神回と名高いので是非見て欲しい。

私の一押しは以下の「蹴落としトレジャーハンター!(マユリカとコラボ)」の回。簡単なミニゲームの連続で進んでいくので非常に見やすいこと、負けた人に下される罰ゲームが面白すぎることが理由だ。

・「ゲーム念仏」の夢

最近ではチャンネル登録者数1000人を祝したイベント(※現在はチャンネル登録者数10000人を突破している)としてNGKで「ロングコートダディ和尚のゲーム生念仏」も開催された。NGKで仲良しを集めて舞台上でゲームをするだけという驚きの内容が実現されている。

今後チャンネル登録者数・再生数が増えて収益がたくさん入るようになったらゲーム実況部屋をひと部屋借りたい、なんて野望も耳にした。

ゲーム実況チャンネルとしての夢も尽きず、応援のしがいしかない。

ちなみに、チャンネル登録をして通知をオンにしておくと深夜にゲーム好きの芸人を集めてゲリラで配信をしている様子などもキャッチできる。まだの人は、是非。

とにかくロングコートダディの単独ライブを見ろ


ここまででも十分魅力は伝わったかもしれないが、少し彼らのことが気になったという人は絶対に単独ライブを買って欲しい。

ロングコートダディの魅力が最も爆発するのは単独ライブだ。

ロングコートダディの単独は全てのネタ・VTRが合わさって「単独ライブ」という1つの作品になり、終演後はお笑いライブを見たとは思えない感情になる。

彼らの単独でトリを飾るのはたいてい、普段の劇場では観ることのできない30分ほどの長尺コントだ。この長尺コントの魔力は本当にすごい。お笑いというパッケージに包まれた押し付けがましさのないメッセージによって、観た人全員の心にもれなく新しい”支え”のような何かがが生まれて、残り続ける。

ちょうど1年ほど前に開催された単独「たゆたうアンノウン」を配信で視聴した際には、興奮しすぎてめちゃめちゃ感想を書いた。

先日の単独「じごくトニック」は観たタイミングが地獄のような忙しさだったため感想は書けなかったが、DVDが発売された際には改めて感想を文字に起こしたいと思う。

彼らの単独ライブは本当に、すごい。

ロングコートダディを応援することで得られる安寧について

こうして魅力あふれる彼らを応援することは本当に楽しい。そして、彼らの発信するコンテンツはお笑いとして面白いのはもちろんのこと、とても優しい。

実際に「ロングコートダディの”無理しないで”(むりしな)」という番組名でゲーム実況チャンネルを持ったり、「無理なく続く」というタイトルのラジオを担当したりするくらいだ。

私自身もそんな彼らを応援し、発信してくれるコンテンツを摂取することで日頃から精神的安寧をもらったりしながら、どうにか生活をやっている。

そういえば最近、滝沢カレンさんとロングコートダディが一緒に大喜利をするという非常に笑いと癒やしの詰まった動画が公開されたため、最後にそれを貼っておこう。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?