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ビキニ写真集が1000冊売れた芸人・マユリカのくれるチート級の元気

「マユリカ」という、30代男性お笑いコンビの出したビキニ写真集が1000冊以上売れた。

字面だけですべてを吹き飛ばすほどのパンチがある。

今回はこの異常事態を祝して、彼らのビキニ写真集が1000冊売れるまでの経緯、そして、おそらく30代男性芸人初、ビキニ写真集の被写体となったマユリカの魅力を再確認していきたいと思う。

これが1000冊売れている。

大阪よしもと所属、ボケの阪本匠伍とツッコミの中谷祐太からなる芸歴10年目のお笑いコンビ「マユリカ」の1stビキニ写真集『Perfect!!』が。

「マユリカ」とは

お笑いコンビ「マユリカ」は、大阪のよしもと漫才劇場に所属しており、主に漫才を得意とするコンビ。

M-1グランプリ2018で準決勝という戦績を残し、関西の10年目以下の芸人が多く出場する賞レースでは多数の決勝進出を果たす実力を持つ。

ネタを書いているのは阪本さん(写真左)、元漫画家でバク転などの特技を持つのが中谷さん(写真右)。2人は3歳からの幼馴染で、2019年の頭には中谷さんの度重なる遅刻による「謹慎」を経験した。

気持ち悪いと話題の”コンビ名の由来”は2人のそれぞれの妹の名前が「まゆ」「ゆりか」のため、それらをつなぎ合わせて「マユリカ」というもの。

普段から特にビジュアルで売っているわけでもなく、「ビキニ写真集」なんてものとは対局と言っても過言ではない存在だった。

【ビキニ写真集への道のり】

こんな彼らがビキニ写真集を出すことになったことに明確な「経緯」がなかったら怖すぎる。

ここからは、その「経緯」を解説していきたいと思う。

①“月1→3ヶ月に1回”になった担当ラジオ

もともと彼らはラジオ関西で「マユリカのうなされながら見た夢のあとで!」(通称:うなゆめ)というラジオ番組を担当していた。

2020年4月から開始した番組で、関西の若手芸人が週替りで担当するコーナーの1つだったため、彼らの担当は月に1回。

それでも、その月に1回が爆発的に面白いという奇跡的なラジオだったため、彼らのファンはもちろんのこと、一部のお笑いファンの間では大好評を博していた。

自分たちの欲を満たすためだけに「あなたの身近な可愛い子の情報を教えて下さい」というコーナーを作って募集するも「可愛いおばあちゃん」「可愛いおじさん」みたいな情報しか集まらず、次の月のコーナー募集文言が

「あなたの周りの若くて(10代の)カワイイ女子」理由もつけて送ってください!

と怖い感じになっていた初回放送も印象的だ。

また、放送中にかかる音楽も独特だった。

当初は阪本さんがボーカルとして参加しているバンド「ジュースごくごく倶楽部」の曲をよく流していたが、コロナ禍のもとでレコーディングが厳しくなってくると、今度は中谷さんが「Mr.ヒポポタマス」「MCダンボ」などという別人格で毎月曲を作ってきてかけていた。

別にラジオって、曲のところまで自分たちでどうにかしようとしなくてもいいのに。

ちなみに私はこの「うなゆめ」(ラジオ関西)の放送を聴くために、radikoプレミアムにまで加入していた。

普段聞くラジオに地方局のものはほとんどどないため、月イチのうなゆめのためだけに入っているという状態だったが、(radikoプレミアムの月額)500円で毎月90分のトークライブを聞けていると考えたら、安いものだった。

しかし2021年4月の改編時期に、うなゆめファンに激震が走る。

これまで週替りで担当していたラジオの中で、彼らの担当週であった第4周目3組による月替りになっていたのだ。”週替りが……さらに月替り?”と最初は理解が追いつかなかったものの、要はこれまで月1だった放送が3ヶ月に1回になるということだった。

3ヶ月に1回は、「レギュラー担当ラジオ」として語れる限界値ではないだろうか。4ヶ月に1回はもう、単発だ。

とにかく月1のやすらぎを奪われたファンは大混乱。そもそも彼らは自分たちでYouTubeやラジオをしているわけでもないし、劇場公演以外でマユリカを摂取できる機会は希少だった。

SNSでうなゆめ降格を悲しむ声が溢れかえり、ラジオ局には手紙やメールも届いたらしい。

②ギャラ0のポッドキャスト「うなげろりん!!」の開始

ファンが悲しみに暮れる様子を見かねてか、心優しきラジオマンの方が中心となりポッドキャストで新たなラジオ番組「マユリカのうなげろりん!!」が開始したのが2021年7月のこと。

これには多くのマユリカファン、うなゆめファンが歓喜した。2週間に1回、30分という頻度だったが、これまでに比べたら天と地の差。3ヶ月に1回しか食事を与えられなかった人間が2週間に1回、4分の1の量ずつではあるものの食事を与えてもらえるようになったのと同じ状況だ。

しかしこのラジオはここまでの状況から容易に分かるかもしれないがファンと担当者の「熱意」だけで成り立っているため、資金が潤沢ではない。まずは資金を調達するために知恵を絞らなくてはならなかった。

そこでまず発案されたのが「グッズを販売し、その利益で放送を続けられる環境を守る」というもの。Tシャツやトートバッグなどの番組グッズを販売し、それを熱意あるファンが購入することで利益が発生する。

その利益を出演者やスタッフのギャラにあてるのだ。(実際に第9回放送の段階ではパーソナリティのギャラはゼロという趣味ラジオ状態である。)

そこで発売するグッズについて考えていた際に阪本さんの口からポロッと出たのが「ビキニ写真集」という単語だった。

ビキニを着てポートタワーの周辺を走り回っている写真を撮りたいらしい。

かつていただろうか、ビキニ写真集を自分たちのグッズとして自分たちから提案した芸人って。

最初は当然「何言うてんねん」「誰も買わんやろ」とボケのように扱われていたビキニ写真集だったが、阪本さんだけはなぜかずっとビキニ写真集に勝機を感じている様子で、ずっと「良いと思うけどな……ビキニ写真集……」とつぶやいていた。

しかしある日、彼らのビキニ写真集大作戦に大きなターニングポイントが訪れる。

実際に雑誌の編集者をしており、有名芸能人の写真集を手掛けた経験もあるというリスナーから、「写真集のコーディネートを全て任せてくれ」というメールがあったのだ。ここでグッっっっっと高まるビキニ写真集の実現性。

すぐに写真集を発売するのは難しかったが、普通の(?)グッズたちを売って出た利益を制作費に当てれば、赤字スタートには間違いないが写真集を作ることができる。

写真集が売れさえすれば彼らのラジオ「うなげろりん」はもちろん安泰だ。毎週ギャラも出るようになるだろう。

ラジオの存亡をかけたグッズが「マユリカのビキニ写真集」……。という違和感は、誰もが忘れていた。

実際その後すぐビキニ写真集の撮影が行われ、熱量と勢いに任せてすごいスピード感で発売まで漕ぎ着けた。すごいカメラマンの方に撮影依頼をし、撮影地としてプライベートビーチまで手配した彼ら。

制作してしまった以上このビキニ写真集が売れなかったらヤバい、というヒリつきももちろんあった。

③ひと脱ぎして荒稼ぎ?

フタを開けてみたら、彼らのビキニ写真集はめちゃくちゃ売れた。

制作にかけた費用との関係で「300冊売れたらトントン」という状況だったが、この「300」という数字は予約開始した初日に突破していた。

ラジオの応援、怖いもの見たさ、かわいいから、面白いから、各々色んな理由があったとは思うがみるみる伸びる予約数。

当の私はというと、最初はしばらく予約していなかった。だって、めちゃくちゃ面白いけど、冷静になって考えたら本当に要らないから。

しかしその後、突発的に「マユリカのビキニ写真集を持っている側の人間になりたい!!」という欲が爆発してしまって予約することになったのは、マユリカの持つ独特の引力のせいなのかもしれない。

そうして、サインと生写真付きという”ガチの写真集の特典”がついた初回限定版1000冊は難なく完売を果たす。

「ちょっと脱いだら一発やん」と味を占めた彼らは、多くの同期や後輩にまでビキニ写真集の制作を勧めるまでになった。

そしてなんと、この売れ行きによって、ラジオは隔週から週1に。

この写真集のタイトルは”1stビキニ写真集『Perfect!!』”である。彼らが次に見据えるのは、2ndだ。

マユリカのくれるチート級の元気

2日前、私の家にもマユリカのビキニ写真集が届いた。

なんかかわいいし、かわいさを感じてしまうのも意味わからないし、ずっと面白い。ビキニ以外の写真もたくさん載っているがそれらもとても良い。

そして改めて感じるのは、ビキニ写真集というぶっ飛んだグッズが受け入れられたのはマユリカの2人だったからこそに違いないということだ。

またこれは、持たざるものにはわからない感覚だろうけど、マユリカの写真集が家にあると、少し強くなれる。多分だけど、不労所得がめちゃくちゃある人間の余裕に近いものなんじゃないだろうか。(収納の少ない私の家にはこの写真集を置いておける場所が本当になくて、薬棚にしまっている)

もうマユリカには日々元気をもらいすぎている。日々舞台で、配信でネタを見せてくれること、ラジオをこうして配信してくれていることだけでありがたいと言うのに、数々の不運エピソードも、キモいエピソードも、ビキニ写真集というぶっ飛んだ試みも、全てがチート級の面白さで、私達に元気と勇気を与えてくれるのだ。

M-1 3回戦の動画も面白すぎるのでみんなで見ましょうね。

「今年のマユリカは違う!」「これは決勝ありそう」などと騒ぎ立てる輩に対して、当初は「は?マユリカはずっと面白いんですが……」と過激派の憤りを見せていたが、彼らはビキニ写真集を出した男たちなのだ。これまでと面構えが違っていてもおかしくないかもしれない。



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