結局、もう能登へ来てもいいの?
元旦の地震から3ヶ月が経過しようとしています。まだ水道が出ているところも一部で、道路も本格的な修理は今からと言う感じです。また被災した建物についてはブルーシート以外はほとんどがそのままの状態になっています。
ここ1ヶ月くらい全国のいろんなところの防災に関するイベントでリモートで能登の現状をお話しさせていただいていましたが、必ず来る質問が「もう能登に行っていいんですか?」と言うものです。
結論から言えば
「受け入れ体制は不十分ですがそれでもよければぜひ来てください!」
なのかなと思います。
能登半島の現状について
ずっと私たちを悩まし続けてきた交通渋滞ですが、かなり改善してきました。 主要道路については、応急の復旧工事が終わって、フル車線は無理ですが、通れないところはかなり少なくなりました。
唯一の自動車専用道だった、のと里山海道も、下り方向だけですが通行可能になっています。
このため、朝晩の渋滞もかなり緩和されて、震災以前ほどでは無いですが金沢から能登へ移動するのに、万が一の準備や気合を入れる必要はなくなりました。
停電もほとんどの地域で解消しています。ただ配線が脆弱なので、天候が悪くなると停電が起こります。
また、通信環境も完璧では無いですが、 主要部では大体スマートフォンが使えるようになりました。
まだ移動式の仮設基地局で運用しているところが多いので、少し山間部に行くと通じなくなりますが、10分も走れば何とか電波のある所には出られます。
断水については復旧が遅れていますが、市街地を中心に徐々に解消地域も広がってはいます。
とは言え、壊れた建物はほとんどが全く手付かずで、見える景色は道路以外の部分は元旦とほとんど変わりません。
水道の復旧していない地域については、人が住んでいないためほとんどゴーストタウンのような雰囲気です。
店なども一部は営業していますが、営業している店でも天井が剥がれていたり、店の半分以上が立入禁止になっていたりします。
避難者の数は1万人を下回りましたが、私も含め多くがみなし仮設住宅等に住んでいて本来の家には帰れていません。
仮設住宅も着工数はかなりありますが、入居できる状態になったものはほんの少しです。
住むところでさえこのような状況ですから、事業所や農地、山林などは状況の確認も終わっていないところがたくさんあります。
私も自分の山をまだ見れていない状況です。
正直、私も疲れています
渋滞が少なくなった理由の1つとして、 初期に入ってきた支援者がもう戻ってしまったと言うこともあります。
ですから、奥能登にはあまり人がいない状況です。
本来は、発災直後にとるものもとりあえず飛び込んでくる初期の災害ボランティアの皆さんから、住民の自立を支援する行政中心の支援へと移り変わる時期なのですが、 水道等の復旧が遅いため支援者も被災者も疲れ切っています。
私もアドレナリンが切れてしまったようで、3月に入ってからどっと疲れが出て、寝ている時間が増えました。
また、公的な金銭的支援はまだほとんどできておらず、炊き出しも持ち出しがほとんどで、被災者の手元にも義援金はまだ入っておらず、みなし仮設の家賃も持ち出し状態です。(あとで多くは回収できる予定ですが)
自営業の方だと、住む場所も収入もない状況が発災以来続いているわけです。
ボランティアの方が入る体制もできつつありますが、まだ現地活動しているボランティアの数は全然足りません。
どうしてボランティアが増えないのか?
ボランティアがなかなか入れない原因は2つあります。1つは宿泊場所がないと言う問題です。
もう一つは、公式の災害ボランティアは被害の大きい家屋には入れないと言う決まりです。
災害の後に自治体ごとに設けられる社協の災害ボランティアセンターは、希望する方ならどんな方でも参加できるため、軽作業中心の作業割になります。
しかし現地は倒壊した建物、もしくはいつ倒壊してもおかしくない建物がたくさんあり、そういう建物から自分の荷物や大事なものを出したいと言うニーズが多く出ていますが、 一般のボランティアの皆さんを危険な目には遭わせられません。
そういう作業やリスクの判断ができる人が圧倒的に不足しているのです。
と言うことで、現在は誰でも気軽に来て何かできると言う状況ではないといえます。かといってこのままでは何も事態が進まないため、支援する方に来てもらわないと困ります。
また、事業をしているところは人が来ないと利益がでませんから、復旧したお店などでは物やサービスが売れないと困ります。
七尾市くらいまでは気軽に来てね!
能登半島といっても広いですし被害状況も意外とまだら模様ですから、行って欲しいところもあれば気軽には行って欲しくないところもあります。
大まかには志賀町や七尾市くらいまでは日帰りで気軽に来ていただいても大丈夫かと思います。できれば公共交通機関を使っていただきたいです。
そこから奥については準備して支援していただける方は、できるだけ来ていただければありがたいです。
一番手軽なのは、公式のボランティアセンターだと思います。 穴水町に宿泊できる施設もできましたので、一泊二日でのボランティアも可能です。
車運転して自分で行けるという方は奥能登へもぜひ!
それを待っていられないと言う方は、民間のボランティア組織がいくつか立ち上がって活動していますので、そういう組織に問い合わせてみてください。
ただし、民間のボランティア組織は運営側もボランティアです。
自動車で現地まで自力で行けることはもちろん、ヘルメットと寝袋、飲水程度は持参してください。 もちろん、ボランティア保険もあらかじめ自分で入っておいてください。
ちなみに、私の家のある輪島市三井地区(周辺)についてはこちらで募集しています。宿泊手配も可能です。
その他のボランティア組織で活動されたい、または知り合いを助けたいとお考えの方で宿泊場所を探している方には、一部の宿泊施設では使える設備を使って復興関係者に限って、宿泊可能としているところがいくつかあります。
(観光客はダメよと言っているというよりは、観光客を迎えるだけの準備ができませんと言うことです)
木ノ浦ビレッジさん
羽咋ボランティアハウス
知り合いのところを載せてみましたが、他にも割とあるので探してみてください。
また、テントを常設したテント村もあります
全館が休業していた和倉温泉もようやく水道の復旧が始まりました。
今後は加速度的に復旧していくと思います。
旅館のフルサービスができる状態になるまでは、まだ長い時間がかかりそうですが、一部の旅館では復興関係者の素泊まりに限りと言うレベルで宿泊を可能としているところがあります。
大切な財産や思い出の品を取り出したくても、取り出せない人が奥能登にはたくさんいます。ぜひ皆さんの支援をいただきたくお願いします。
今は寄付ページへの寄付をお願いしていますが、こちらも気に留めていただきありがとうございます。 この先どうなるかわかりませんが、サポートいただけましたら、被災地支援活動がおちついたら自分自身の生活再建に使わせていただきます。