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マシンに感情は必要か

数年前から全身脱毛をしている。
脇の脱毛はしていたこともあったが、全身脱毛はまったく想像していなかった、というか想像を絶する体験だった。
すでに15回ほど通っているが今でも全然慣れない。考えれば考えるほどとんでもない。エステティシャンは本当にすごい。


まず、数日前に全身ありとあらゆる毛を自分で剃る。マジか!である。ぼんやり全身脱毛と思っていたがそうか、そういうことなのか、そうだよな。
この間に温泉に入ることになったら…?もし病院に運ばれたら?最初の頃はまずこれが不安だった。
もちろん腕や足は自分で処理していたが、まさか、まさか、わたしの秘密の花園、生えてきてから数十年、形を整えることはあっても坊主にするとは。あ、こんなとこまで毛生えてるんだ…自分の局部と初めて向き合ったかもしれない。男性であれば体の外にぶら下がってるので手に取ることもあるだろうが、なんせこちらからは常に毛に隠れてる状態、ほぼ初対面だ。あらあんたそんな顔してたのね、なんて。最初のうちはトイレに行くたびにギョッとしたがこれはもう慣れた。むしろ無いほうが楽。
ちなみにわたしが通ってるところは背中とおしりは店員さんがやってくれる。これがまた壮絶で…。

施術当日、店舗に行くとベッドのある個室に案内され、着替えの指示がある。スッポンポンになり、子供がプールの時に着るタオルを着て、不織布のTバックを前後ろ逆に履く…Tバックを後ろ向きに!?前がT!?もういっそ履かない方…とも思うが、指原莉乃も壇蜜もみんなやってるんだ…そう思って前Tに紙パンツを履く。準備ができた頃、施術をしてくれるお姉さんが2人やってくる。施術台にうつ伏せになり、バッとタオルのボタンを開けられる。尻丸出しである。足の施術をしつつ、背中の毛を剃ってもらう。これはとにかくこしょばいので忍耐の時だ。
そんなこんなで施術が進み、いよいよ✳︎の毛の処理、失礼しま〜すと軽やかに右尻と左尻をおっ広げられる。え!川栄李奈も田中みなみもこれやってる??ほんと?病院でもこんなのしたことない。「痛くないですか〜、辛くないですか〜」この状況恥ずかしすぎるのでとにかくに何も考えないように無を装っているが、聞かれているので答えなければならない「おっ広げられて心は大丈夫じゃないですが身体的には大丈夫です」
「毛を掃除しますね〜」とガムテのような物でペタペタ取られる、このとき毎回ギョウチュウ検査を思い出すんだ…。
脱毛は全部で1時間半ほどだが、この間にびっくりするほどお礼を言われる、足の側面を施術するため少し足を傾けたらありがとうございます、パンツを脱がしやすいように腰を上げたらお気遣いありがとうございます、とにかくお声がけがすごいのだ。
そしてこのお声がけ、人と人であることをすごく実感させられる。ザッツヌクモリティ。こんなに恥ずかしい格好を私は他人の前で…相手は無機質なマシン、と思いたいのだが、ありがとうありがとう、ありがとうのマシンガン。逆に死ぬほど恥ずかしい。もう野菜だと思っていいのでもっと雑に扱ってもらえませんか!!病院ならもっと作業っぽいと思う。診る側も診られる側もこれは医療行為だから、とあまり遠慮がないから恥ずかしくないのだが。最後にお茶を出してもらえるのだがいつも辞退してしまう。あんなおっ広げ感謝祭の後にしれっと茶を飲める精神を持ち合わせていない。一刻も早くここを去りたいのだ。とにかく終わった後の疲労感がとんでもない、美とは忍耐とよく聞くがこれはまた別の意味での忍耐でかなりすり減る。早く全ての作業の機械化を切に切に希望する。マシンに感情は必要ないと思う。


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