新成人とママとおばあちゃん
いつも通り、「1,2,3,1,2,3…」と心の中で数えながら、地面の模様に合わせて歩きます。
地面の模様の幅と歩幅が違うので、「1,2,3,1,2,1,2,3…」と、たまに修正を入れます。
太平洋側の冬は天気が良くて気持ちが良いです。
しばらく歩くと、スーツの男性集団と振袖の女性がいました。
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私の地元は離島です。
冬の海は荒れるので、船が欠航してスーパーの陳列棚がスカスカなんてこともあります。
そんな冬に成人式を開催すると、島に帰ってこれない、もしくは島から出られないような事件が起きてしまいます。
だから、私たちの成人式は夏です。
振袖ではなくパーティドレスで。
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やっぱ振袖の方が成人式って感じするなぁ。
早起きして着付けとかヘアセットしてもらったんかなぁ。
横にいるのはおそらくママだなぁ。
子どもの成人式ってどんな気持ちなんかなぁ。
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さっき薬を飲んだことを忘れるおばあちゃんが、
「この前娘から電話が来てね、『お母さん、産んでくれてありがとう』って言ってくれたよ。」
と何度も嬉しそうに教えてくれます。
今日は母の誕生日なので久しぶりに電話をかけてみました。
噛み合わない会話と重なり合う沈黙に、なぜか嫌な気がしませんでした。
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