「他の人には見えないけどね。」
私は今、認知症のおじいちゃんおばあちゃんが暮らす家で働いています。
といっても、「働いている」という感覚はあまりありません。
大変さよりも、面白さをたくさん感じられているからだと思います。
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犬のイラストに色鉛筆で色を塗ってもらっているときのこと。
(※ば:おばあちゃん)
私(犬って認識してなさそうな塗り方だなぁ。)
ば「できた!」
私「わぁ!綺麗に塗れてるね!」
ば「これはカラスなの。
他の人には見えないけどね。
見方を変えると、見えるのよ。」
私「ほー!なるほど!深いな。」
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夕食後、布団に入ったと思ったらすぐ起きてキョロキョロしているおばあちゃん。
ば「私ひとりになっちゃった。
ご飯も食べてない。(怒」
私「そうかぁ。ポカリ飲む?」
ば(頷きポカリを飲む)
「冷たくて美味しい。(にこにこ」
私「よかった。笑ってくれて嬉しいわぁ。」
ば「ペンない?
あなたの名前を書いておこうと思って。
頭の中で思っていても…。」
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そのイラストは犬だし、夕食もしっかり食べているのですが、おばあちゃんの世界ではそれはカラスであり、夕食は食べていません。
その人が見ている世界に入り込むと、たまに心が通じ合うときがあります。
その瞬間がすごく嬉しいんです。
この仕事は面白いなぁと思います。
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このまえ登山をしました。
想像以上に急勾配で、登り始めてすぐに息が上がり、頭の中は「きつ!しんど!」で埋め尽くされていました。
上を見たらまだまだ続く坂道が見えてしまうので、下を見て「だいぶ登ってきたな!」と自分を褒め称えていました。
すると、不思議と少し元気が出るんです。
見方を変える魔法は使いこなせた方がいろいろとお得だなぁと思いました。
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