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地方の人口減少の根本原因

あなたの地域の基幹産業は何ですか?

この質問にぱっと答えられる自治体職員はどれくらいいるんでしょうか?
以前、天草市に来てすぐくらいのときに、そういった部署の人に聞いたら、「小売・卸売業かなー」という感じの回答でした。

出典:RESAS「地域経済循環マップ」の「移輸出入収支額(産業別)」のデータから作成

この図を見れば一目瞭然ですが、「水産業」ですね♪
そして、「農業」「林業」と続きます。
収支が黒字かつ、従属的でないものが基幹産業と言えるでしょう。
建設業は多分に公共事業に依存していて、公共サービスは当たり前ですが、税金に依存、それも天草市の場合は大半が地方交付税です。
対個人サービス、ガス・熱供給事業、対事業所サービスも黒字ですが、「島」という特性上、外部事業者の入り込む余地が少ないだけで、他の産業に地域経済が支えられて初めて成り立つ業種です。

維持不可能な経済構造

天草地域では手元にデータがないのですが、人口のピークはおそらく昭和30年代、それからは一貫して人口減少が進んでます。

出典:RESAS「人口マップ」

理由は簡単で、人口規模を維持できる経済状況ではないからです。

食料品、ガソリン等の燃料費だけで大幅な持ち出しになってます。
そして、おそらく多くの地域でそんな状況になってるのではないでしょうか?

昔は成立していたのか?

まだ十分資料を揃えられてないのですが、昭和30年くらいまでの状況は大きく違ったのではないかと思ってます。

H17国勢調査 全国,市部,郡部別人口及び人口の割合(大正9年~平成17年)

昭和30年前後を境に、郡部人口割合が7割前後から3割前後に変わってます。
日本が一気に都市型に移行したということです。
(昭和の市町村合併の時期というのもありそうですが)
そしてその頃に国内の産業構造は大きく変化してると考えられます。
はい、繊維業中心から重化学工業に変わった時期ですね。
そして、その大きな原因は、「レーヨン」の発明です。
インドの綿織物で起きた衰退が日本の地方でも起きていたんです。

基幹産業を失った地方

昭和30年くらいまでの天草の基幹産業は

  • 水産業

  • 養蚕業・製糸業

  • 採炭業

  • 海運業

などがありました。
水産業はイワシが取れなくなり、今では巻き網漁船団は全て廃業するなど、水揚げ量は激減してます。
養蚕業・製糸業は年配の方の記憶にしか残ってません。
採炭業も一部炭鉱跡が残るのみ。
海運業もトラック輸送に押されて昔の勢いはありません。(とはいえ上天草市では今でも基幹産業の一つです)

つまり、大きな基幹産業を昭和30年代くらいに失い、次の基幹産業が育ってないというのが現状のようです。
そして、かつての基幹産業というのは、やはり地の利があったわけです。

地の利を生かした基幹産業を育てよう

日本全体が人口減少していく中、優秀な経営者・労働者を魅了するには地の利を活かした産業を伸ばしていくしかないです。
そして、まちづくりはそれら産業の持続性に寄与する形で行うのがベストです。
地方創生や地方活性化については、「人口を増やす」を入り口に取り組んでも人がいるだけで地域経済がマイナスになるのでは何も解決にはならないです。

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