私がフランス語に恋をした瞬間
10代前半から英語が大好きで、アメリカ留学を経て通訳としての仕事に就き、20代半ばまでまさに英語一筋だった私ですが、2年ほど前あることをきっかけにフランス語に恋をしました。
そのきっかけとなったのがフランス人女性歌手Pommeが歌うOn Brûleraという曲。
たまたまYouTubeで見つけたこの曲はもちろん歌詞が全てフランス語で、「私たちは火に焼かれる」というタイトルがつけられたラブソングなのですが、この曲を見つけた当初私はフランス語が全く分からず、歌詞は英語に翻訳されたものを見ていました。
「あなたの腕の中で死にたい」「私たちの死体を海が食べたとしても あなたをまだ愛するでしょう」
という感じでかなり情熱的な歌詞なのですが、この時私は気がつかなかった事がありました。この曲、実は、周りに受け入れてもらえずに苦しむ同性カップル(女の子2人)を歌った曲なのです。
それで、フランス語では明らかだけれど、英語や日本語ではどうしてもそれが伝わらない部分があります。それが歌詞のこの部分↓
On brûlera toutes les deux(私たちは二人とも火に焼かれる)
Toutes les deux(二人とも)で使われているtoutesという単語ですが、女性複数名詞の形をしている(男性単数名詞のtoutに、女性名詞を表すeと複数名詞を表すsがついている形)ので、この「二人」というのはどちらも女性である事が分かります(複数の場合、男性が一人でもいると男性複数名詞になるので、男女のカップルの場合tous les deuxになる)。
PommeのYouTubeのコメント欄でどなたかがその事説明していたのを見てその事を知りました。
その時です、私がフランス語に恋をしたのは。
単語にesをつけるだけで「これは女の子二人の歌ですよ〜」という事をこんなにさりげなく表現できるなんて素敵だ!
これって名詞に性別が無い英語ではできないと思うし、日本語でも「二人とも」と聞いただけではその二人の性別までは分からない。でもフランス語ではそれが分かる、というのが、文法オタクの私にはたまりませんでした笑
というわけで、本気でフランス語習得に励み出したのはこの時からです。
後から知ったのですが、この曲を書いた当時Pommeには大好きな彼女がいたのですが、同時にLGBTに対する差別などに苦しんでいたようです。辛いですね。Pommeに限らず、「LGBTとして周りに受け入れられない辛さ」を書いた曲が「LGBTの幸せなラブソング」に変わって、それが最終的には「LGBTの曲」という区別がされない「幸せなラブソング」に変わっていけば良いのになあと、常々思います。
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