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2024年6月の記事一覧

狂った土曜日

行き場を無くした虫のような車たちがぐるぐる
コンクリートの上を彷徨っている
泣き喚く赤ん坊
殴り合う若者たち
転ぶ老婆
突然叫ぶおっさん

目の前は阿鼻叫喚の地獄が広がっていても
イヤフォンで耳を塞ぐ

ねぇ、どんな音楽聴いてるの?
JPOP?
KPOP?
HIPHOP?
それとも
演歌?
ロックンロール?

どのような問いにも答えず
喧騒の中をモーセの如く歩く
多分自分が刺されても
しばらく気づ

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深夜の花火

深夜の花火

深夜にきらめく楽しい思い
──私達案外上手くやっていけるんじゃない?
ぽっと照らされる未来

だが相手の顔暗くて見えない
答えを待つが、どこにも答えは無い

瞬間の光は
私の内側だけを盛大に照らした

どこにも届かない光

──きっと上手くいくよ
あなたの瞳に光は無かった

思い上がりの花火は
真っ暗な空に消えてなくなる

不安

不安という木に縛り付けられて
身動きできない

止まり木に宿る鳥達は
糞を垂らしてはどこかへ飛び去る

交差点

真昼時
赤く点滅するランプと
爽やかなブルーのシャツ
車が2台仲良く並んでいる

険しい顔をした人々が
うろうろと
誰かと誰か話している

無関心、あるいは関心のある車たちが通り過ぎる

しばらく経って同じ道を通ると
何事もなかったように
何かあったのだけれども
その痕跡は消されていた

夜になると
消された痕跡すらも
記憶の中から消されていく