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2023年11月の記事一覧

また雪が降る

また雪が降る
山の稜線に純粋な白
真っ白なあなたは今どこに居るの
山の向こう側に
みずみずしい大地が広がっているでしょうか

ふわふわとした想念は
地に落ちて涙となり
消え去る

また雪が降る
ゆらゆらと心は戸惑う

思い出のカケラ

残された写真の一枚一枚
込められた想いはいかばかり
そんな事を知らずに
私はあなたを傷つけた

もう戻らない日々
あの日々の中に
優しい私が居て
優しいあなたが居て
それでよかったはずなのに

それ以上の幸せを
より確かな幸福を
求めたのだろうか

寄りかかる心

心の全てを天に委ねてあの人は去った

あなたはどうだろうか?
遠雷響き
祭りが近づく
孤独の影が強まり
雲の向こうで陽光差し込む

 未精算

過去を精算できないまま時間が過ぎていく
歴史は過去と現在と未来を結びつける
かつてあったことは
明日起こること

明日起こることは
かつてあったこと

暗い過去を残したまま
未精算の過去を残したまま
未来を生き急いでも
影法師は離れようとし

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嵐の予感

雨が降る

私は寝台に横たわり
何かを待ち望む

昨日の出来事
あなたはずっと背中を向けてどこかを見ていた

あなたの近くに居て
あなたの香り
あなたの優しさを知って
あなたを感じて
激しい想いに囚われない者はいない

冷たい風のなか
より大きな、より強い風を待っていた

海光

夕暮れ時
あなたと一緒に
肩を並べて
海から溢れる光を眺める

「キラキラ光っているね」
あなたは真面目な顔で遠くを眺めていた

「あれは思い出の詰まった透明なガラスの壜」

私は海の光よりも
あなたの目の輝きを見つめていた
希望に満ちた
その輝きが失われてはいけない
けど、その瞳の中に私は居なかった

「じゃ、帰るね」
短い別れの言葉

夜がやってきて
誰も居ない砂浜で

煌々と輝く月が海を照ら

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喪失

ある人は
失っていく程人間幸福になると言った

何故失うことが幸せなのか
かつて私は喪失を不幸と考えた

しばらく時間が経って
私はあなたを失った

その時もっとも強くあなたを意識し
あなたとの記憶を抱きしめた

追憶の日々
あなたのいない世界で
あなたの影と共に暮らす

グレーの街

やるせない午後の日差しを受け
なまめくグレーの街

僕はここだ!
と心の中で叫んだとて
誰も振り向かない

虚な眼
虚な生

現代とは何か
生きるとは何か
誰も答えられない

わからないまま
なんとなく
わかろうとしないまま
やるせなく
日々は移ろう

麻薬よりも手軽で安価な娯楽で溢れた時代は
多分幸せなのだろう

果たして幸せなのだろうか

もしかしたら不幸せかもしれない

正論ばかり吐く小金持

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