見出し画像

サメシマの楽曲解説#10 『にんげんさんか』

自分たちの作った曲を日常的に聞くことはほぼない。

音源になっても自分の身体の一部を見てるような気になります。
だから100%の客体(そんなものは多分ない)として楽しめない。

ただこの曲に関しては
「わりと芯食ったこと言ってるじゃん」
と感じる瞬間もあります。

(音声版は↑こちら)

コンセプト

社会(と呼んでいるもの)は
何十億っていう人口のかたまりで、
とてつもなく巨大なイメージがあるけど、

ひも解いていくと一対一の関係があって、
それはものすごく小さな繋がりで、
それらが幾重にも折り重なって結果として大きく見えているだけなんじゃないかと感じます。

今日道ですれ違った誰かと再会することは二度とないかもしれないけど、
一対一の関係をどこまでもたどっていくと恐らくその人と繋がる。

伝えること、関係すること、誰かを想うことは、
果てしなく宇宙の果てまで繋がっていく。
あるいは繋がってしまう。

などと考えながら作った歌です。


音像について

で、繋がりについて思いめぐらせ、
理由もなく懐かしさを感じるものに行き着きました。

お祭りの太鼓の音とか、
セミの鳴き声とか、
夕暮れのさみしさとかそういうものです。
それらをサウンドとして表現したかった。

小寺さんに相談して見たことない楽器をたくさん使わせてもらいました。
(振ると雷の音がする筒、木の実の集合体 etc.)

和楽器みたいのも録ったんだけど、イントロで鳴っている鈴、
あれはスレイベルといってクリスマスソングで多用されるんですね。
いわゆるジングルベル。
鳴らし方とエフェクト次第であんな感じになります。

打楽器の扱いは高清水くんがいいだろうと思って
「こう叩いてみてくれ」とか
「百鬼夜行のイメージで」とか
短い時間でいろいろ試してもらいました。

そこに大好きなヒップホップやUKロック、合唱のエッセンスを加えていった感じです。

(小寺さんについては↓こちら)


詩について

この曲に限らず、僕の歌詞は結構な割合で数字が出てきます。

前提として僕は数字が苦手です。
いちばん嫌いな授業は数学でした。

しかし実際的な問題として数字から逃げることはできません。
お金はあった方が便利だし、
仕事には欠かせないし、
意思決定における大きな判断材料です。

そしてながーい歴史があり、
時や場所、人にくっついて思い出されたりもします。

そんなに好きじゃないんだけど
とてつもなく大きな力を持っている。

それこそ言葉=言霊と同じくらいエネルギーがあって
面白いなと思います。
この曲では特にその力を貸してもらいました。


タイトルについて

まずことわっておきたいのは
真正面から「人間讃歌」するつもりはないです。

自分に見えているものなんてたかが知れているし
そもそも「世界」とか「人間」とか、
仰々しくてほんとは使いたくないです。
「お前は何様なんだ」という気になります。

ただ鮫島の語彙力の限界というか、
心から言いたいことを書こうとすると使わざるを得なかったりします。

どこまでいっても自分は「人間」だし、
どれだけ無知でも「世界」の一部なので、
「あーあいつ馬鹿なこと言ってらぁ」と後ろ指さされても向き合ってしまう言葉です。

そんなわけでタイトル決めにとても時間がかかりました。
このときのひねくれや、怒りや、情熱が全部ぶち込まれた名前だと思います。


終わりに

リリースされた当時から変わらず、
今もライブでお客さんと声を出すのは難しい状況です。

この曲の最後のサビ、ずっとお客さんと一緒に歌ってみたくて、
ライブしてても常にもどかしさを感じてます。

みんなで歌えたそのときに
なにか見えるんじゃないかって考えてます。

次回は『銀河鉄道の夜』です。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?