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サメシマの楽曲解説#14 『いろはにほへト』

自分に都合のいいものだけを見て、自分に都合のいいように生きるのは多分簡単だ。

最初に断っておくと、これは精神的な話であって経済的な話じゃない。
僕が幼いころ、テレビで「頭のいい国ニッポン」と歌っていた時代に比べれば、誰もが楽観主義を貫いて生きていける世界ではなくなった。
程度の差こそあれ、老後の資金問題に頭を抱えているし、
「日本にいれば飢えて死ぬことはない」って、なんのためらいもなく豪語するのだって難しいだろう。

あるいは単に自分が大人になって、ほんの少しだけ見える景色が広がっただけかもしれない。
僕より長く人生を生きる人からすれば、
「最初から世界はそういう場所だったよ」
と非難したくもなるかもしれない。

いずれにせよ僕は世界を知らない。
これを読んでいるあなたも世界を知らない。
というか、自分が知っている、見えているものの中でしか生きることができない。
そもそも『世界』ってなんだ。
自分が五感で触れている常識や理を、おそるおそる『世界』という額縁に当てはめて定義しているだけだ。

自分の『世界』から逸脱したものはこわい。
なにかとんがった言葉で遠ざけたくなる。
そうやってたくさんの人が血や涙を流したり、取り返しもつかないような過ちが起きてしまったことは、僕でも知っている。

人間ってそういう生き物なんだろう。
過ちは繰り返されるべきではない。
でも、知らないものを本能的に怖がってしまうこと自体を否定する勇気は、僕にはない。

〜〜〜

生きてりゃ少なからず、自分の気持ちをおさえる必要がでてくる。
「それこそが大人になることだ」と言いたい人もいると思う。

でも、言いたいことが言えない、
を突き詰めた先に、取り返しのつかないことが起きたりもする。

取り返しのつかないことが起きたときに、
「あいつは弱い人間だ」と言いきるのは簡単だ。
自分にとって都合が悪い世界や人を否定すれば、自分にとって都合がいいルールを保ったまま生きていける。
そうやって地球は回っている。

「あいつは弱い人間だ」と言いきることができる人を、僕は否定できない。
強くなければ生きていけない場所で、
自分を鼓舞して戦ったり、その結果一定の地位を築いたりするのは言葉にするまでもなく凄いことだからだ。
並大抵の覚悟ではそうなれない。
気が遠くなるような数の障害を乗り越えなければならない。

ただ、身の回りの誰かが傷ついたり、
立ち上がれなくなってしまった人を見たとき、
「自分にとって都合がいい世界」を押し付けてくるナニカに、疑問を持たずにはいられない。

〜〜〜

そもそもこの話だって「都合がいい話」だ。
自分にとって都合がいい世界を正義、その反対を悪者(?)にして、やってることは何も変わらない。

でも、どうせ誰もが「都合のいいもの」を押しつけあうだけなら、
僕は「今より言いたいことが言えたり、自分らしさを感じられる世の中」を都合よく主張したい。

だからこのnoteを読んでくれているあなたも、
都合よく生きればいいのだと思う。
あまり人を傷つけない程度に(そんなことができるかわからないけど)都合よく息をしてもいい。
誰かにとっての「都合の良さ」があなたにとってたまらなく苦しいことなら、少しくらいあなたにとっての「都合の良さ」を優先しても、バチは当たらないんじゃないだろうか。




そんな感じで、いつもは作曲→作詞の順で制作しますが、
言いたいことを丁寧に考えた結果、
作詞作曲を同時並行で進めた曲です。

ギミック的な部分はYouTube版やラジオでお話しできればと思います!
あと高清水が作ってくれたMVがマジで素晴らしいので、ぜひ見て欲しいです。コメントもお待ちしてます。

次回は3ヶ月連続リリース第2弾。
7月にお会いしましょう。
あとワンマンライブで直接お会いしましょう。

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