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ヒコーキが飛ぶ、“ホント”の理由。

【初投稿】2021年1月に『note』デビューいたしました。どうかよろしくお願い申し上げます🤲


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数年前のエピソードである。

正月明けの新千歳発、関空行きの出発ロビー。

待合いシートで隣合わせた少年の会話が耳に入ってきた。

「サイトウさん、ヒコーキってどうして飛ぶか知ってる?僕、知ってるよ。ホントはね、ジェットエンジンからゴォーって、すごい風が吹いて飛ぶんだよ。」

林檎のような頬っぺをした少年。

5歳か6歳くらいだろうか。。

「飛行機が飛ぶ理由」について、一生懸命に語る様が微笑ましい。

たしかに、
揚力 = 空気の密度 × 空気の速度の二乗 × 循環
だから、少年の説明はおおむね正しい。

「ホントはね。。」と云うのが彼の口グセらしく、しきりに連発している。

少年から「サイトウさん」と呼ばれている初老の婦人は、そのたびに優しくうなずく。

しかし二人はおそらく、孫と祖母の関係ではないように見える。

(いったい、どんな事情でこの飛行機に乗り、これから何処へ行くのだろう?)

そう考え始めた時、搭乗をうながすアナウンスが流れた。。

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偶然にも機内で少年は、私のひとつ前の窓側席だった。

離陸からしばらくの間も、少年は飽きもせずに、じっと窓の外を眺めていた。

機が左へゆっくりとバンクした。

それは一瞬の、いや、永遠とも思えるくらい、美しい光景だった。

柔らかな初春の陽射しが、少年のぷっくらとした頬のラインを照らした。

とても神聖な存在に、私には思えた。


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これからきっと、君はたくさんの“ホントのこと”と、“ウソのこと”とに出会うだろう。

そして、

美しいこと。

醜いこと。

嬉しいこと。

哀しいこと。

いろいろなことに出会うと思う。

あるいはすでに君はそれらの出来事に、たくさん出会っているのかも知れない。

でもその時に一番大切なことは、自分の心で感じ、自分の頭で考えること。

そして、自分らしく生きることなんだ。

(頑張れよ。頑張れ。)

年はじめの関西国際空港。

人びとで混雑する到着ロビーから、サイトウさんに手を引かれ遠ざかってゆく少年を、そっと目で見送った。。

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いま、あの少年はどうしているだろうか。
2021年新春、彼の倖いを願わずにはいられない。