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イスタンブールの朝ごはん
完全にバスを乗り過ごした。
見知らぬ土地の、わけがわからないバス。
これはかなり難しい。
Google Mapに表示される時間の2時間早く目的地に着いたり、はたまた1時間遅れたり、あまりにも人でごった返していて、バスに乗り込めなかったり、降りられなかったり。
イスタンブールは、複雑だ。
活力の塊がゆえん。
今回はじめて、バスを逃してしまった。
難易度が高かったのは確か。
乗り換えが3つもあった。
仕方がない。
と自分に言い聞かせる。
時刻表によると、次のバスは1時間半後。
まだ朝ごはんも食べていない。
時刻は、午前10:00頃。
バス停の裏側に、「開店10:00AM」と書いてあるケバブ屋があったので、さっそく立ち寄ってみた。
トントン。
ごめんください。
誰も英語は話せなさそうだ。
もう開いていますか?
トルコ語にGoogle翻訳した画面を差し出す。
ごめん、まだなんだ。
どうしたの?10時に開くって思ってたんだけど。
ごめん。間に合わない。1時間後だわ。
え?
だって、遅れちゃったもの…。まだ準備中なのさ。
他にもちょいちょいお客さんが来るのだが、追い返している。
間違えなく、仕込みが遅れているのだろう。
そして、掃除もしている最中だ。
いずれにしても、バックパックが邪魔だから、置かせてもらえないかと聞いた。
バスを逃してしまって、1時間半も待たなくてはいけなくて。
もちろんいいよ。それは大変だったね。
快く店内に通してくれた。
そして、ケバブがあまりにも美味しそうに見えたのでキッチンを見学していると、
君は何しにトルコに来たの?
と聞かれる。
トルコのお料理を勉強したくて来たの。世界三大料理って言うでしょう?
そうすると相手は目をまん丸くして、
え、知らなかったよ。そんな風に日本では言われているんだね。嬉しいな。確かに、僕たちはトルコの料理に誇りを持っている。開店前だけど、ぜひ勉強していきなよ。
少し年上のケバブマスターとパン作りの少年に挟まれて、勉強が始まった。
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すると、店長が出てきて、
ほらほら座りなさい。レンズ豆のスープとチャイ(紅茶)もあなたのために用意したから食べて行きなさい。
僕の出来立てパンもどうぞ。
とパン少年が焼き立てパンを5切れもくれた。
さぁて、ケバブマスターの勉強会は中断して、朝ごはんを食べよう。
なんて美味しいのだ。このお豆のスープかなり美味しい!レンズ豆、にんじん、玉ねぎ、トマトペースト少々を水と一緒に煮込んだどのこと。にんじんと玉ねぎの甘みがものすごく生きていて、若干残るお豆のつぶつぶ感がいい味出してる。これはクセになるな。トルコ料理にしては塩気も少ないし、かなり優しいお味。
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パン5切れもあっという間に完食してしまった。
まだお代わりするかい?と聞かれたが、
流石にお腹がはち切れんばかりだったから、断った。パン少年は少し残念そう。
食後にチャイとトルココーヒーどっちがいい?
と店長に聞かれて、優柔不断になっていると両方出て来た。
フワフワの泡が表面に浮く美しいコーヒーが目の前に現れる。
わぁ。
まだ飲んではいけないよ。コーヒーの粉がカップの底に沈んだタイミングで上澄みだけ飲むんだよ。
なんとなく2分ほど待って、上澄のお汁を熱いお味噌汁を味見する感覚で、すする。
おぉ、ほろ苦い!大事な一杯なので、ゆっくり時間をかけて飲み干した。言葉では表現できない、力強い味。イタリアのエスプレッソほど強くはない、コーヒーの粉の雑味を少し残した、コーヒー界の隠れた有力者だ。
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そろそろバスの時間かね?ストラッチをお土産に持って行きなさい。
店長に差し出されたのは、ライスプディング。お米とミルクで作った、プリンみたいなもの。日本人にはないアイディアだ!
お代はいくらでしょうか?
お金はいらないよ。これがトルコのおもてなし。
次回、君が奢ってね。
でも、次いつその機会があるかわからないわ。私は旅人なのよ。
トルコを好きになってほしいんだ。
その気持ちが伝わるだけで、僕たちは嬉しいんだ。それで十分なんだよ。
さぁ、バスに乗り遅れてしまうよ!
気付いたら、もう13:00を回っていた。
ちょうど3本目のバスが来るタイミング。
慌てて、お店を出てバスにかけ乗る。
通算2本、バスを逃したようだ。
バスを逃すのも悪くないな。
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