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地元の花、よそものの花

 紫色したアヤメを見つけました。

 いつも散歩する疎水沿いに、四畳半くらいの面積を菜園として使っている土地があり、そこで見つけました。そんな区画が結構いっぱいあります。家庭菜園という感じで、花を植えてる人もいれば、ニンジンとかジャガイモを植えている人もいます。

 そういえば、紫色したアヤメは花壇に咲くのを見たことはありますが、川べりに咲くのはみな黄色のアヤメ、黄菖蒲です。

 菖蒲とアヤメのややこしい関係について、以前少し悩んだ末、追及をあきらめました。
 

小川のへりに咲くアヤメ。紫のアヤメに比べ、花は小さく控えめ。

 紫色したアヤメはイギリスでは外来種で、黄色が在来種となるようです。紫のアヤメは北アメリカあたりから来たんでしょうかね。

 日本では、黄菖蒲の方が外来種なのですが、日本のアヤメは紫なので、黄色のアヤメがあるとアクセントになって庭が楽しくなるのでしょう。

 一方、イギリスでは、アヤメといえば黄色の花なので、紫色したアヤメが花壇にあると映えます。
 
 よそ者は目立つのですね。写真のアヤメも家庭菜園の中でひと際目立つ存在でした。

 植物もテリトリー争いがあるようで、よそ者が地元の花を駆逐するということがあるわけです。侵略的植物というのだそうです。繁殖力が強くて、在来の植物が生き残れなくなり、それに伴って生態系が崩れ在来植物に頼っていた昆虫がへり、さらにその昆虫に頼っていた動物が減りと連鎖反応を起こして怖いことになるのです。

 外来植物を運んでくるのは、人間の場合がほとんどなのでしょう。人間も含めて生態系なのですから、変化する生態系を考え、人間の方が行動を変えるしかないのかもしれません。

 イギリスでも、侵略的植物のリストがあるのですが、紫色のアヤメは侵略的植物に指定されていないようです。

 一方、黄菖蒲は繁殖力が強いのでしょうね。日本の環境省によると「生態系被害防止外来種のうち、黄菖蒲は重点対策外来種に指定され、甚大な被害が予想されるため、対策の必要性が高い」ということです。

 きれいな花には新奇の趣があり侵略がある。


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