見出し画像

コミックアトラスへのご来店をお待ちしています。

 2024年4月1日に「コミックアトラス」という漫画専門書店をオープンします。神奈川県横浜市の港が近い場所で、毎週月曜の深夜にひっそりと30分間だけ開店する不思議な本屋

理想の場所って、きっとこんな感じ

この本屋がどんな本屋なのか?どのようにしてできたのか?(雇われ)店長であるノルオブ氏に話を伺った。

写真右が(雇われ)店長のノルオブ氏。ピースをしているのが新人バイトのモリヤ氏だ。

柳:こんにちは。ライターの柳駿(やなぎしゅん)といいます。この度は、開店準備中のお忙しい中、お時間をいただきありがとうございます。

ノルオブ:いえいえ。「あひるの空」を全巻読み直したところで、誰かと話したかったところだから、ちょうどいいタイミングです。やはり、新城東和戦がターニングポイント…

柳:すみません。今日は「コミックアトラス」の話を聞かせていただきたくて……まずは、どのような本屋なのかお聞かせいただけますか。

ノルオブ:あ、そうですよね。まずはその話からしないとだ。柳さんは、漫画はお好きですか?

柳:人並みに読むと思います。ワンピースやキングダムなどの話題作は単行本で読んだりしています。

ノルオブ:素晴らしいですね。どのようなところで心が動きますか?

柳:やはり涙してしまうようなシーンや、かっこいい〜!と震えるようなシーンですかね。ワンピースの頂上決戦編は、何度も読んでしまいます。

ノルオブ:わかりますよぉ……エースの「愛してくれてありがとう」のシーンを読んだ日のことを鮮明に覚えています。叔父の家があった金沢文庫駅で読みましたね。ちなみに僕は最近、ワンピースの東の海編を読み直して、ココヤシ村の道の真ん中でナミと共に泣きました。クゥ〜!

柳:「当たり前だー!」のところですね。あのセリフまでルフィがナミに冷たいのは何故?って幼心に思っていましたが、そこにはちゃんと理由があったんだと大人になってわかりましたよね〜……失礼。脱線してしまいました。改めて質問に戻りますが「コミックアトラス」はどのような本屋なのでしょうか?

ノルオブ:先ほどの僕と柳さんのやりとり。それが「コミックアトラス」のやりたいことなんです。漫画を通して話をする場所にしたいんです。

柳:なるほど。「話」といっても、どんなお話をしたいんですか?

ノルオブ:好きな漫画の話とかをしてると、なんとなくその人が見えてくる感じってありません?好きな作品は一緒なのに、選ぶセリフとかキャラとか全然違ったりして。このキャラが好きなら、こんな人なのかな〜?とか想像しちゃったり。その人の人間味が滲み出てたら、話の内容はなんでもいいな〜と思ってます。

柳:ありますね〜!しかし、それは漫画だけに限った話でもないように思うんですが…

ノルオブ:そうですね。ただ、僕は漫画が好きだから。漫画で世界を理解しているような気がするんです。

柳:漫画で世界を理解?

ノルオブ:はい。僕は自分の内面を自身で認知すること、言葉にして人に伝えるのがすごく苦手でして。よく頭がパンパンになっちゃうんです。「良い作品は鏡になる」という話もありますが、ある時、響く言葉やキャラが今の自分の状態を反映してるな〜と思うようになりました。もしかすると、僕にとって漫画は「好きなもの」というより「理解しやすいもの」なんじゃないかと考えるようになったんです。その理解しすい媒介のようなものを通して、この世界を!他者を!自分を!理解しているんじゃないかと!!!

柳:後半の熱量がものすごくて、読んでる途中で「この人のこと、理解したくないな…」と思ってきました。すみません。つまり漫画はノルオブさんにとって言語のようなものだってことですか?

ノルオブ:さすが柳さん!僕なだけある!理解が早くて助かります。

柳:いえ、ノルオブさんも私なので…その共通言語を持った人たちと話をしたいということですよね?

ノルオブ:そうです!コミックアトラスを「漫画で世界を理解している人たち」の場所にしたいな〜と思っています。

柳:場所。それで本屋。

ノルオブ:本屋っていいですよね〜!その本屋ならではの選書があって、店主の方によって空気も違って。場所によっては、展示やイベントをしているところもあるんです!学校とか職場、家庭だけじゃない、誰かにとっての居てもいい場所として存在できたらいいな〜と思います。

柳:でも、本末転倒な話ですが「コミックアトラス」ってラジオ番組ですよね?本屋じゃなくないですか?場所でもないですよね?

ノルオブ:柳さん、切り込んできますね〜。そうですね。おっしゃる通りです。でも、聞いてくれてる方が「漫画の話をしたい・聞きたい」と思った時に思い浮かぶのが「コミックアトラス」だったら!それはもう場所と言ってもいいんじゃないでしょうか?仮にあなたの実家がなくなってしまって駅前のマンションになってしまっても、いつまでもあの土壁の実家は!階段がやけに急な実家は!やたら収納スペースの多い実家は!心の中にあるでしょう?!いや、ある!!!

柳:ノルオブさんが熱量で押し切るタイプの人であることはわかりました。苦手です。なるほど、言いたいことは分かる気がします。ラジオってそういうところありますよね。日常で、何かトホホなことがあってもメールしてネタにしちゃえって思ったりしますしね。

ノルオブ:柳さんは物分かりが良くて本当に助かります。でも、トホホなんて本当に使っている人間初めて見ましたよ。

柳:自分はデュクシを本当に言ってた世代なので……いかんいかん。気を取り直して!ポッドキャスト時代には、漫画家の先生方にインタビューもしていらっしゃいましたが、続けていかれるんですか?

ノルオブ:もちろん!「コミックアトラス」の一番魅力的な部分は先生のインタビューだと思っています。

柳:そもそも何故、先生のインタビューを始められたのでしょう?

ノルオブ:2021年くらいに、何もかもに破れてほぼ無職みたいな宙ぶらりんの時期がありまして。その時に、やることもないので、好きな先生のインタビューを遡って作品と突き合わせて勝手に納得するということを趣味でやっていました。

柳:すごく最近ですし、なんか暗いですね。

ノルオブ:よく言われます。調べていくと。先生方の生き方や考え方に感動することが多くて。痺れる〜!みたいなものもあれば、同じだ〜!みたいなものもあって。そこから、これからどう生きていくのかのヒントをもらっていました。

柳:それで、直接聞きたくなっちゃったってことですか?

ノルオブ:そうです!おそらく僕みたいな人がこの世界にはいるはずだ…という思い込みを握りしめて、お話しを聞いています。

柳:ちなみに「僕みたいな人」というのは?

ノルオブ:先ほど言ってた、漫画で世界を理解してるタイプの人を指します。極端に言うと、同じ意味のことを野球選手の言葉で言われたらピンと来ないけど、漫画家の言葉で言われるとピンと来る人ですね。

柳:かなり極端な表現ですが、なんとなくわかりました。

ノルオブ:かなり極端ですみません。受容体の話なんですかね。これは。実際は、人それぞれマーブル模様で、漫画の比率が多いか少ないかみたいなことなんだと思います。ちなみに、野球選手の話も僕は好きですよ!イチローさんのポッドキャストも面白かったです。

柳:すり寄り方が雑で鼻につきますが、一旦置いておきます。先生には、どのような話を聞いていらっしゃるんですか?

ノルオブ:先生のこれまで歩んできた道のりを中心に聞いています。過去をどのように捉えているのか、あの作品・シーンを書いてる時はどんな状況だったと今は思うのか?あの描写にはどんな意図が?現在、何に心を動かしているのか?など、聞きたいことは尽きません。

柳:これまでに7名(幸村誠先生・新井英樹先生・浅田弘幸先生・真鍋昌平先生・大童澄瞳先生・眉月じゅん先生・久米田康治先生)の先生方にお話を聞いていらっしゃいますが…

ノルオブ:いやーーー!素晴らしい先生方にお越しいただいています!!!本当にすごいことなんです。その振り返りは、こちらの配信でしてますので、ぜひお聞きください!

柳:滑らかな宣伝、ありがとうございます。先生方のインタビューはぜひ聞いてほしいですね。

ノルオブ:心の底から聞いてほしいです。僕自身もこのコミックアトラスでのインタビューを通して、かなり変化がありましたね。世界を見る時の新しいレンズをもらったのような感じというか……あ、うまいこと言おうとして滑っちゃってますね。失礼しました。大まかに言うと、視野が広がって呼吸がしやすくなったと思います。

柳:滑り気味なことにも気付けるようになったんですね。素晴らしい。ノルオブさんのおっしゃる「僕みたいな人」も聞いてくれるといいですね。

ノルオブ:はい!その機会をつくるのが我々の仕事です!バイトのモリヤと一緒に頑張っていきます。YouTubeチャンネルもあるので、ぜひチャンネル登録してくださいねっ!(終)


 編集者の若林恵さんがだえん問答やってた、自分で自分と話す、セルフ対談形式を使わせていただき4月1日からはじまる「コミックアトラス」について書いた。(だえん問答おすすめです)
 ラジオ番組という形をした本屋として・場所としてやっていこうと思っている。きっとこの場所は楽しくなる。色々やってるからタイミングが合って、気が向いたら遊びにきてほしい。

 4月は読書会をやる。課題図書は、鳥山明先生「ドラゴンボール」
 あのニュースから時間が少し経ってやっと受け入れ始めている自分がいる。その存在の大きさを時間をかけて再確認する機会にしたいと思う。【ca@fmyokohama.jp】メールでぜひ、参加してほしい!

読書会の案内はこちら!

 最後まで読んでくれてありがとう!4月からできる新しい本屋のことを知ってくれて、なんか楽しそう〜と思ってくれる人がいたら嬉しい。毎週当たり前におもしれえ漫画が読めることに感謝して、今日も生きていきましょ!いつかフリマとか、マルシェに本屋「コミックアトラス」として出店したら楽しそう〜!広がるばかりの妄想を大人だから現実にしちゃおうぜ〜

 ってな感じで!「コミックアトラス」へのご来店お待ちしています。

店長より

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?