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「#07 現在地」 感想

志摩お誕生日おめでとう記念投稿。
公式が一年経っても楽しませてくれて幸せです!

7話は『MIU404』の中で一番明るく一番ハッピーな印象の回です。
6話を経て4機捜みんなの関係性がピタっとハマっている瞬間。
陣馬さんと九ちゃんがプライベートな部分で助け合い、
志摩と伊吹も息がピッタリあっている。
志摩が伊吹のためにメロンパン再注文してあげたり、捜査の意見を交換したり
コンテナの中での雑談でそれぞれが個人的な話をしたり。
「10年あった何ができたか」の中で志摩が「世界中の刑事ドラマを観る」と
言ってましたが、メモリアルブックによると志摩の趣味が「刑事ドラマを観る」
なんだそうです。
あくまでこの関係性は「現在地」であって、このあと4機には色々なことが
待ち構えているんですが…。
『MIU404』は当初、14話あってその中にはまるまる1話分、休日回も構想にあったらしいとどこかの記事で読んだ。
観たかった…!めちゃくちゃ観たかった。
このピッタリハマった4機捜の話をもう何話か観たかった。

◻︎今回のモチーフ

【家族(身を寄せ合うコミュニティ)について】
┝陣馬家
┝九重家
┝健さんときんぴらと倉田さん
┝手配犯二人
┝スゥとモア
┝桔梗家
┝久住と成川

【不明】
┝身元不明(最初の遺体)
┝所在不明(陣馬、出前太郎が追いかけるメロンパン号)
┝住所不定(コンテナに居る面々、成川)
┝性別不明(ジュリ)
┝生死不明(健さん 生きてるのか死んでるのかわからない生活)
┝正体目的不明(久住)

【父性】(庇護する立場の心配する気持ち)
┝陣馬(顔合わせで息子への気持ちを語る)
┝九重刑事局長(生まれた立場に翻弄されないか心配を語る)
┝伊吹志摩ジュリ、まともな大人(神待ち少女達を問題解決の方向へ導く)
┝REC(成川を心配するふりした出世欲)
┝久住(成川を心配するふりした支配)

◻︎アクション

星野源にアクションのイメージが個人的にはなかったので、
勝手にMIU404ではアクションが無いような気がしてたけど
やってくれましたね!
このタイミングの4機捜ならではの息ピッタリの格闘シーン。
警棒「ジャキッ!」が嫌いな人なんかいません!(私調べ)
404がコンビ格闘するなんて思ってなかった!!
胸の高鳴りが止まらない!
陣馬さんが駆けつけ最後にライングボディアタックで確保。
志摩が陣馬さんに手錠渡して逮捕してもらうのが4機捜の連帯って感じで
とてもいい。発見して追いかけたの陣馬さんだもんね。

格闘だけじゃなくこの回はゴルフシーンがあったりライブシーンがあったり
肉体の躍動に溢れてた。
九ちゃんがゴルフ下手なのはイメージ通りで微笑ましい。
ライブシーンはディレクターズカット版だと長めに見せてくれる。
志摩がメロンパン齧ってたり伊吹が健さんの椅子に手を合わせてたり、
無くても話が通じるシーンだけどキャラのチャーミングさを描いてくれるの
大好きとしか言いようがいない。

毎回入っているアクションといえば生身の人間の追いかけっこシーン。
私はオタクなので毎回誰が走ったか表に作って入れている。
今回は陣馬さんが担当。おじさんの全力疾走、お疲れさま…!
見ているこちらの気管のあたりがヒューヒューした。
毎回、別の人が走るようにちゃんとバラけさせてあるのも楽しませてくれる。
最多はもちろん伊吹!

走る

◻︎「自分を証明できない人」

こんな発想でキャラクターを配置するなんてさすがとしか言いようがない。
予告見た時に謎メンツすぎて次週が待ち遠しかった。

健さんと大熊
罪を償わないで逃亡生活を送っていた二人。
社会から隠れて暮らし、自分という存在を隠すしかなかった。
健さんにとっての「自分」とは「自分とその周囲の環境」だったんだろう。
健さんのコンテナの中は生活を尊ぶ人のものだった。
きんぴらと倉田さんと触れ合い、公園で身を清めて労働にも出かける。
そんな健さんは、たとえ時効を迎えても自分が望むような自由な生活が
できないのなら生きてても意味がないと思ってしまったんだろうね。
大熊に背後から首を締められた時に、スッと力を抜いて身を委ねてしまった。

一方、大熊のコンテナの中は荒みきっていた。目のくり抜かれた雑誌の束。
もはやホラーじゃん…!人の目が怖くて仕方がない。外に出られない。
食料を供給していたのは健さんだ。その健さんを殺してしまった。
逃亡生活の終焉のスイッチを自ら押してしまった。
もっと言えば、倉田さんがコンテナにやってきたことが終わりの始まりだった。
どんなに肉体を鍛え腕力が強くなろうとも一人では生きていけない。
自分だけで生きていけると錯覚してしまうような快適な環境は誰かの手で作られ守られている。

自分の身一つで自分は生きていない。自分が自分であることを形成するのは
周囲にいる「誰か」の集合体だったりする。

このことを表すズバリの言葉が存在するんです。

「諸法無我」
全てのものは因縁によって出来上がっていること。また、永遠に変わらない「我」というものを持っていないということをいいます。一つの物事は常に変化するきっかけがあり、思わぬ変化の原因となる可能性が誰にでもあるのです。誰もが全てのきっかけとして生かされているといってもいいでしょう。

仏教用語で私は最近知った言葉なんですけど、これって
MIU404における「スイッチ」ですよね。
辛いことも良いことも独立して存在していない。
因縁であるとを考えることができれば辛いことの原因を改善したり
良い状態でいられることを周囲のおかげと感謝できたりする。

…でも難しいですよね。こう考えるの。
自分はどちらかというと大熊寄りの性質なんですよ。
引きこもって一人で作業を黙々とする仕事ですし。

自分が能力を上げれば、自己鍛錬すれば、自分の図りごとが上手くいくはず。

そういうことに夢中になりその時には自分に影響を及ぼし、自分が影響を与える距離にいる周囲のことを考えられない。
生活を尊べない。生活を助けられていることに気がつけない。
自分の時間を自分だけのために使いたいと自由を求めて
自分の意思で進んだ方向なのに全てのことから切り離されて
何もないところにポツンと居る感覚。これが襲ってくるとヤバい。
自分は何なんだ?何のためにコレやってる?
拘束されない自由な生活を求めていたのに、かえって1箇所に留まるような生活を送っている。時間をかけた分、無駄だと思いたくない。
その気持ちが本来の目的を見失って、行為そのものに固執してしまう。
それを行なっていることこそが「自分」そのものだと思いこんでしまう。
固執するような「確かな自分」なんかそもそも無いんだ、そういうものなんだって知っていれば悩んで時間を無駄にすることも無かっただろうにねぇ。
自分に言ってるのか大熊に言ってるのかもやはわからない。

◻︎身を寄せ合うコミュニティ

大熊のセリフで印象的だった言葉があったんですよ。
倉田さんと健さんが喋っているところを鏡越しに見て「ギリィ」って歯軋りしてる大熊が健さんに言った「他人と喋るな」というセリフ。
大熊にとっては健さんと自分が運命共同体で「ウチ」という認識なんだ。
でも健さんは倉田さんと出会ったことで心地良いコミュニティを作ってしまったし、まともな生活を渇望するようになったのかもしれない。
10年も運命共同体だった2人の関係に亀裂が入る。
大熊が健さんに抱いた殺意の内訳を想像する。
見つかってしまう焦りと相棒と分かり合えなくなったこと。疎外感。
孤独になると人は追い詰められるね。
なんでもいいから誰か繋がって居ないと人間、ダメなんだな。
若い頃は「誰でもいいから縋る」なんて考えを否定的に捉えていたけど
それは自分がたまたま恵まれていて運よく、本当の孤独を味わったことがないだけなのかもしれないと今では思うようになった。

野木さん脚本のドラマではよく、「親子関係だけじゃない同居人」が出てくる。
アンナチュラルのミコト、獣になれない私たちの朱里、MIU404も桔梗家にハムちゃんが住んでいたし伊吹がガマさんに同居を提案していた。
こういう「男女が結婚して生まれた子供だけで構成されるのが正しい家族」
「血縁の家族関係のみが至高」
みたいな決めつけはしんどいなと思っているので
身を寄せ合って支え合う関係をバリエーション豊かに描いてくれて本当に好きだなって思う。
でも、身を寄せる場所が反社となるとね…とっても問題あるよ成川くん!

◻︎庇護する立場の心配する気持ち

7話最後に出てきた久住のクズシーン怖かったな。
未成年の飲酒を気遣ってアニキ感出したその空気のままドラッグを勧める。
表面上の優しさに惑わされないで…!悪魔は優しいんだよ!
そもそも、成川はわかりやすい大人の愛情、大人の保護を受けたことがないのかもしれない。先生といい親といい。
その後に待ってることの重大さに気づかずに心地良い方に流されてしまったとして、問答無用に責められるのかかという気持ちになる。

犯罪者を逮捕するのもある意味、保護だよなあ。
戻れなくなる前に立ち止まらせる。
犯罪を犯してしまう環境から引き離す。

それと父親たち。
九重パパ。やや過干渉よりだけど想像してたのとは違うまともな父親だった。
自分はド庶民だから想像つかないんだけど、力を持つ立場になるとそれはそれで苦労があるんだろう。経験して自ら学ぶ機会を与えてくれるのは親としてはいい親なんだろうな。まあ最初の時点で権力を私的に使ってんだけど。

陣馬さん。やや放任寄りだけどまともな父親だった。
息子を紹介する時に身内だからって腐さないのが感動的なスピーチだった。
子供を親の所有物として考えてなくて「個人」として扱って褒める。
陣馬さん家族が「血が繋がってるだけ」じゃなくてちゃんと思いあってるのが
わかって、とても温かい気持ちになった。

◻︎今回の萌ポイント

言わずもがな警棒「ジャキッ!」です。もう一度書きました。
あと九ちゃんのゴルフウェアのセンス。
きんぴらの演技。



#MIU404

#星野源

#テレビドラマ

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