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「#01 激突」 感想

◻︎ぶつかるお話

前回『タイトルとテーマ』で説明した通り
どの場面を見てもちゃんと「激突」というタイトルに沿ったエピソードが
ストーリー全体に散りばめられている。

・車の激突
・人間の激突(感情の対立)
 ┝桔梗と我孫子
 ┝志摩と桔梗
 ┝志摩と九重
 ┝九重と陣馬
 ┝伊吹とあおり運転手水島
 ┝あおり運転手水島と安本
 ┝陣馬と伊吹
 ┝千砂とおばあちゃん
 ┝伊吹とあおり運転手安本
 ┝志摩と伊吹


◻︎キャラクター紹介

初回ってキャラクター紹介が重要じゃないですか。
その紹介の仕方が本当にスマート!痺れる!

・記者会見の中継で入る字幕「桔梗ゆづる」
「機動隊ではなく機動捜査隊」

・刑事部長のデスクのネームプレート
役職を桔梗に詰められて
その役職部分を手でひらひらと隠す仕草で
「我孫子豆治」という名前に視線誘導している

・班編成表のようなもので「陣馬耕平」「九重世人」

人物名のテロップを入れないで
まったく話の流れを止めずに
ビジュアルでキャラクター紹介をしている。
視覚の情報って強いし記憶に残る。
スピード感あるしかっこよい〜‼︎


そして
・警視庁個人記録でくり返し画面に映される「伊吹藍」
なんど連呼されるんだ「伊吹」
いやでも覚えてしまう。

『アンナチュラル』の時も1話目でめちゃくちゃ自然に
「三澄ミコト」を連呼するんですよ。

キャラクターの名前覚えてもらうのって好きになってもらう
第一段階なのでマジで重要だと思うんです。
ほんとに痺れる。

またこの「伊吹」になかなか会わせてもらえないのがまたいい。
素早いという伊吹のキャラクターもわかるし
謎を提示されるとつい興味を持ってしまう。
見てる側と志摩の気持ちがシンクロしたね。
どんな奴か早く知りたいよと。

ただ最後まで「志摩一未」はビジュアルで紹介されなかったはず。
何度も見たのでこれは間違いないと思う。
何か理由があるのか?とつい勘ぐってしまう。

◻︎ファーストコンタクト

悪評ばかり吹き込まれていた志摩が実際伊吹に会うと
低姿勢に挨拶してきて意外と普通の人物かと思いきや
握手の一瞬だけでペースを譲らないキャラクターだとわかる。

初対面でいきなり車に同乗する伊吹と志摩。
この時、のちのち重要になるシーンをサラっと入れてる。
伊吹「エンジン音いいわ〜」
志摩「?普通ですよ…ね」

ただの車好きキャラのセリフかとおもいきや、その五感の鋭さが
事件解決の鍵となるとは!
だから2週目必須なのよ。
1週目でも十分面白いけどおかわりするともっと楽しい!

二人揃って密行に出発。ここでタイトル。


◻︎あおり運転

4機捜バディ二組それぞれが車内で会話。
移動しながらでストーリーのスピードを落とさない。
どういうキャラクターで関係性か、ここでわかってくる。

陣馬の気遣いを突っぱねる九重

あおり運転車をあおり返して
車ごと強引に止めさせる伊吹
車の窓ガラスと叩いて開けさせあおり運転男と
言い合う姿はもはやヤンキー。
どう考えたってやばい奴。

煽り運転に驚いて倒れたおばあさんに
駆け寄る志摩はとてもまともで
理性的なキャラクター。

に見える。
たしかに刑事としては優秀でまとも。
この時点では。

分駐所に戻る4機捜。
陣馬はまともかと思いきや
ばっちりクセのある人物だった。
窓からうどんの茹で汁を捨てるなw

◻︎傷害事件発生

陣馬志摩
九重伊吹の関係性
必要なエピソード入れつつちゃんと
キャラクターの個性や関係性を見せてくれる。
伊吹のあの「〜スタイルぅ」で肩すくめる一連の仕草。
殴りたくなるけど脱力させられて殴れないあの感じ。
綾野剛、すごい。

現場に着いた4機捜。
九重と志摩のちょっとした会話。
志摩「被害者の状態は」
九重「さっき救急車に」
志摩「いやそれは見えました」

ここで詳細を伝える九重。
これだけで現場慣れしている志摩
現場慣れしてない九重だということがわかる。
関係性がわかるやりとりを層を何層も積み重ねるように
根気よくちょっとずつ入れてるのがすごい。

規制線が張られたあと、
現場検証のシーンがある。
このあたりの「ただの情報」は
漫画っぽくサクッと表示するだけ。
オシャレでもあるし、時間を詰めるだけ詰めて
キャラクターのやりとりにちゃんと時間をかけてる。
だから面白いんだ〜!

出来事の羅列ならニュースでいいんだもん。
キャラクター同士が絡んでこそだぞ!と自分にも言い聞かせる。

4機捜4人で揃っての事件現場。
不慣れながらに真面目に考える九重
ぽんこつ伊吹
キレそうになる陣馬
志摩に怒られてるのに笑ってしまう伊吹

ちゃんと見たい組み合わせを見せてくれるの
最高じゃないですかー
ドラマを見る人間はマッチアップが見たいんだ!
ほんといい。


推理を披露してパーキングに向かう
伊吹志摩の二人きりのやりとり。
伊吹のパーカーにICレコーダーを仕込むという
志摩のキャラクターがわかる強めのエピソード。

会話がごちゃつかないように
移動させて二人だけになってからというのも意味がある。
丁寧にノイズを排除して二人きりにしてから

「お前のこと信用してないからな」

っていう強めのパンチを志摩が繰り出しましたね…!
4人でいる時はジャブくらいの強さのエピソードだったのに。
こういうエピソードの強弱も自在かよと。
凄すぎて昇天しそう。
バディもので「相手を信用してない」エピソードはご馳走です。
美味しい美味しい。
そして「自分のことも信用していない」と言い切る志摩。
すごく気になる。気にさせられてしまっている…!

ここまででまだ
第1話の前半。

◻︎二人で駐車場に捜査に向かう志摩と伊吹

手袋を持ってこないで志摩をイラつかせる伊吹
ここまで刑事としていいとこゼロ。
機捜の仕事も理解していない。
呆れる志摩
車内で仕事観人間観を語る二人。
相入れない表情の伊吹。
雨が降ってる演出もヒリヒリしていい。

不穏な車内の空気を変える通報。
おばあさんが行方不明になったことで
二人で協力して捜索にあたる。
それでもまだ噛み合わない志摩伊吹

分駐所に戻り
4機捜と隊長の5人が揃う。
解散の可能性がある班だという説明。
志摩桔梗から信頼されているという二人の関係。

桔梗から事件の情報がもたらされ
4機捜が捜査会議。

自分の聴覚で犯人にあたりをつける伊吹
ナンバーを暗記している志摩

ここまでくると感情感覚の伊吹
理性理論の志摩というキャラクター分けになるのかな

と思いきや。

無謀な行動に出ようとする伊吹にぶちギレて
ゴミ箱を蹴飛ばす志摩

そのあとがっくりと自分の言動に反省してうなだれる。
このことから志摩がかなり自分を理性で
抑えつけてるキャラクターだとわかる。

そして怒鳴られたらかえって楽しくなって
来ちゃう伊吹
がつられて遠吠する犬みたいで
まさに「野生のバカ」って感じが面白い。

1話目で一番印象的だったといってもいい
バディのやりとりが恐るべきことに
アドリブだったらしいんですよね。

https://news.mynavi.jp/article/20200627-1069923/

こわ!星野源こわ!綾野剛こわ!
志摩一未が伊吹藍が降臨してるじゃない!
すごいな。
どんなに話を巧みに考えようとしてもやはり最終的には
キャラクターの魅力というものが一番なんだと思わせる
現実の方のエピソード。
伊吹は志摩が初めて本心を見せたことにテンションがあがったと
どこかの記事で読んだ。

伊吹、可愛いな。
見ながらなんとなく「伊吹可愛いと思ったら負けなんじゃないか」と
だいぶ抵抗して見てたんですけど、このシーンで負けました。

ルール内で捜査すると話あっている最中の
伊吹がずっと体揺らしてアイドリングかけてるんですよ。

完全にコレ

俺はやるぜ - Google 検索
www.google.com

ちっ 可愛いな。

◻︎時間制限つきの捜査に向かう4機

防犯カメラのデータを集める時にも
自分でデータを持たずに志摩に持たせる伊吹。
それが伊吹スタイル。
「志摩さん」「伊吹さん」
まださん付けで呼んでいる二人。
そしてまだまだ出てくる伊吹のとんでも刑事エピソード。
銃を抜いちゃっただと!?
最近の刑事ドラマでもなかなか見なくなってるよ。

夜が明けて捜査のタイムリミットが近く。
陣馬九重組の車内。
ガチガチに気を張り詰めている九重
リラックスさせようと気を使う陣馬
ベテランとルーキー
バディものだとこの組み合わせの方をメインに置いても
良さそうなものだけど
このドラマではサブに置いてあるんだなあ。
しかし岡田健史の顔は端正だな。描きたくなる。
橋下じゅんの顔も描きたくなる。
表情の変化がすごい。よく動くなあ〜

志摩伊吹組の車内。
陣馬のペットボトルに比べて
紙カップのコーヒーを買ってくる伊吹。
お前…使えねえ‼︎子供のおつかいかな?
そして拗ねる。

そして同時に白いステップワゴンを発見追跡。
ここらで主演二人の志摩伊吹組がホシを引き当てるかなと
思ってたのにまだそんなものじゃ終わらないのが
『MIU404』のすごいところ。

◻︎犯人車両追跡する4機捜

陣馬九重組が犯人を引き当て、犯人車両逃走。
4機2組で追いかける展開。

自分はあまり映像作品を数多く見てこなかった方で
詳しくはないんだけど、それでも
「犯人車両追いかける」となったシーンのカット割り細かくてすごくない?
車も運転しないからわからないんだけども

パトランプ
ギア
サイドブレーキ
アクセル

1秒くらいのシーンだけどすごい手をかけてる。
ここからストーリーも加速する切り替えのシーン

機動捜査隊を描くには車が不可欠。
その車のカッコいいシーン。
こういう細かいところをちゃんと入れてるの好感しかない。
一瞬差し込まれる志摩のハンドルのをさばく腕とかね。
時間にしたらわずかなシーンだけどキュンキュンしますよ。

漫画だったらどうやってコマ割ったらいいのか。
イニD読みたくなったな。

志摩の運転スキルで
志摩伊吹組が犯人車両に追いつく。
運転を見ていると、
アレ?
なんか志摩もわりかし無謀な面が出てきてませんかと。

犯人に伊吹が静止を呼びかけるも
無視して赤信号を突破し横断歩道に侵入しようとする。

犯人車両を止めるために志摩がとった行動は?

「激突!」
「GE・KI・TO・TSU!」

初回で車大破!
すごいことするなあー
犯人の車に体当たりすると決めた時の志摩の表情見た⁈
無表情のような目の据わりった顔。
まさか志摩がそういう行動をするとは思っていなかった伊吹
驚きの表情を見せる。

志摩の顔がうまいなー。
叫んだりさせないのがいい。
動物が威嚇する時って恐怖心から威嚇するんだって。
ライオンの咆哮もアレは怯えているからだと
動物行動学の先生が言っていた。
本当に狩る気があるものは声も発さずに仕留めると。
なんかその感じ。

伊吹は前半で煽り運転車に寸止めだったのに
志摩は本当に車ごとブチ当てた
志摩の方がどう考えてもヤバい。ヤバい奴だこいつは。

迫力のあるシーンだったけど見せ場はまだここで終わらない。
むしろここからスタート。
あとを追いかけていた陣馬九重組の車が横転した志摩伊吹組の車両に
突っ込みそうになる。
息を飲んだかと思うとホッとする暇も与えないまま
犯人車両を生身のまま追う伊吹。
ひらりとアスファルトに舞い降りるナイキのヴェイパーフライ。
このニューズを履いてるのも憎いね!
「世界陸連が“ナイキの厚底”シューズの使用を禁止しようとしている」
というニュースで話題になったガチアスリート御用達のシューズ。

犯人車両を疾風のごとく追いかける伊吹の後ろ姿に
「あ 足が速い」と声を絞り出す志摩のリアクションが笑える。
現場で初めて危ない目にあったかもしれない九重と陣馬の
細かいリアクションも忘れない。

◻︎走って犯人を追いかける志摩と伊吹の二人。

事故車両をそのままにして、走って犯人を追いかける志摩伊吹
このタイミングでお互いを「さん付け」で呼ぶのやめてるのよね。
初めてちょっと認めあっちゃいましたか…
エモい。
袋小路に入った犯人車両に追いつく伊吹。
車に跳ねられつつも犯人を倉庫においつめる。

犯人の安本は逃げながらも危険な抵抗をする。
自分勝手な言い分を垂れ流す。威嚇する奴ほどチキン。

犯人が危険でヤバい奴だという認識が視聴者側にないと
「銃を突きつけた」伊吹の方に感情移入できないし
「本当にこのクソを撃つのでは?」と思う塩梅の
犯人のクソさを見せないとこの緊迫したシーンが成り立たない。
バランスがすごいんよー。

伊吹が犯人に突きつけたのは
銃ではなく本当はステッキでただのお仕置きだとは
わかっているけれども
見直してみるとその時のセリフ。
「お前みたいな奴が生きてるとみんな不幸になるんだよ
許せるはずねえだろうよ」っていう言葉は
あまりにも本気だったように聞こえた。
目の前の安本ではない誰か許せない相手が伊吹にはいるのかなと。

安本を確保した場へ駆けつける志摩。
あまりにも真に迫った伊吹の言葉と
1日、伊吹のヤバい言動を目の当たりにしていたら
本気で撃つと思っても仕方がない。

志摩が止めようと駆けつけ緊張がピークになった瞬間
倉庫に鳴り響く女児玩具の電子音。

「羽ばたけ空に!チェンジアンドソーウル」

絶対今じゃない瞬間でふざける奴。
それが伊吹という男。

とうとう殴る志摩
殴られた上で
何故殴られたかわからない伊吹。
あまりにも刑事不適合者に見える。

それでも安本の前にしゃがみ込み声を掛ける。
「良かったな。誰かを殺す前に捕まって」
その言葉が志摩には響いたようだった。

が、安本には響かずに唾を吐きかけられる。
怒る伊吹なだめる志摩。
最後後味悪くなくコミカルなオチにしてくれている。

おばあさんと千砂ちゃんは無事再会。

◻︎事件解決

4機捜と桔梗隊長。
道路交通法の一部を改正する法律により
あおり運転に対する罰則が創設され、一発免許取り消しされるという伝達。
このセリフのバックに大破した志摩伊吹班の車の残骸が映る。
映像で伝えることに手を抜かない。
せっかく壊す車を無駄にしないというか。

桔梗に1日で車を大破させたことをお説教される伊吹と志摩。
謝罪の言葉だけの志摩
自分の手柄をアピールする伊吹
桔梗じゃなくてもほんと「バカなの⁉︎」と突っ込み入れたくなるw

桔梗は志摩を呼び止め伊吹の評価を聞く。
適正がなければ伊吹を外すという。

おばさんと千砂ちゃんの再会に立会いながら
伊吹が言った言葉を思い出している志摩。
「機捜っていいな。誰かが最悪の事態になる前に止められる」
「超いい仕事じゃん」と伊吹はご機嫌の笑みを浮かべる。


伊吹の言葉をゆっくりと飲み干すかのような
志摩の表情をじっくりと映す。
この伊吹の言葉は
志摩に響いたようだった。

刑事の常識から教えなきゃならないような伊吹だが
志摩が大事にして何かと重なったのかもしれない。
伊吹の進退を保留にする志摩。

end

——————————————

◻︎今の自分が出来る限り詳細に見て
気がついたこと

機動捜査隊の物語で
社会風刺的描写があったり硬派なドラマに見えるけど
感情表現とキャラクター同士の関係性にめちゃくちゃ比重を
置いてるなと感じた。

おばあちゃんと千砂ちゃんが最後にハグし合うシーンとか
クローズアップで撮らなくてても話としては成り立ちそうだけど
しっかり映してる。
こういった人たちの暮らしを守ることに喜びを感じる伊吹
その伊吹の表情もけっこう長めに映してる。

人が人に対して感情が動くシーンを
短くても細かくても省略してない。
陣馬は今回セリフ自体は少なかったけど
顔がすごい喋ってたw

セリフ自体のやりとりもおもしろいけど非言語の部分も
見逃せないから画面から目が離せないのよ。

いやほんと面白いわー。
今まで星野源をあまり通ってきてなくて
逃げ恥くらいしか知らなかった。
外見の印象で小動物系のイメージだったんだけど
1話見終わるまでには志摩からまさか
しっかりと「雄み」を感じるようになるとは思わなかった!

2話以降はさすがにこんなに長く感想を書くつもりはないけど
1話目なので気が済むまで書いてみました。

本当に最後まで読んでくれた方
お疲れさまでした!

#テレビドラマ

#MIU404

#アンナチュラル



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