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「#05 夢の島」 感想

※昨年の10月くらいに下書きして寝かせたまま公開していなかった5話の感想を今更アップします。アマプラで視聴できるようになった記念。

「MIU404」がとうとう最終回を終えてしまいましたね。
それでもディレクターズカット版や公式メモリアルブックのおかげで
気づきが溢れてくる。

放送当時に各話の感想をメモ書きにはしてたけど
ちゃんとアウトプットしないと
やはり脳内が整理整頓できないので
遅ればせながら5話の感想もアップしたいと思います。

今回のモチーフ
【言葉】
┝マイのベトナム語
┝水森の間違ったベトナム語
┝警察の隠語
┝日本語の「大丈夫」
┝九重の方言

【視界を遮る】
┝水森のメガネ
┝伊吹のサングラス

テーマ
【外国人を使い捨てする日本人】
┝自分が逃げるために外国人を強盗へと唆した水森
┝外国人技能実習生送出機関からキックバックを受け取る違法な管理団体
┝便利な生活を安く手にいれるために異常な低賃金や劣悪な労働条件で
 働かされている外国人の存在を知らないまま許容している日本人

◻︎5話の初見時の感想

実は見終わった時にちょっと他の回と比べて満足感が足りなかった。
自分はわりと信者といっていいほどのMIU404ファン。
こっちの理解力が足りないのかも…と思ったけど
視聴者としての自分のファーストインプレッションは大事にしたい。

「ちょっと微妙に感じた」
という感想自体を嘘にすると自分の学びにならない。
なので、どのシーン微妙だと感じるポイントだったのか
1シーンごと区切って自分の感情の動きを確認していった。

◻︎微妙だと感じた原因

1シーンごと区切って自分の感情の動きを確認した
その結果、気が付いたこと。

「水森からマイへの気持ちのベクトル」が自分では
よく理解できなかったことが
どうも原因だったようだ。

冒頭の事件のシーンや
ガマさんと伊吹二人のシーンで志摩のことを語るところ、
6話へつながる最後のシーンはめちゃくちゃワクワクした。

外国人技能実習制度の闇、
マイの置かれている状況、
マイが水森を好きなことは分かりやすかったし
共通点を積極的に探してるところなんて共感できた。

でも最後の水森が強盗して捕まる流れに
初見時は「何故そこまでする?」と思ってしまった。
水森のあの「ジャパニーズドリームは嘘だ!」のシーン自体は
すごく良くかったので自分が疑問に思ったことが
吹き飛ばされてしまっていた。

水森は作中では強盗事件後で、
マイに対して深入りさせないようにしているから
気持ちのわかりにくい人物であることは理解できる。
でも「アレ?そんなに本気で好きだったの?」という感覚が
初見時にはあった。

2週目を見た時に、マイと二人でスナックにいる時は
水森はメガネをしていない。
ここに初見の時に気づけなかった。
というかあれがデートだと理解できてなかった。

◻︎水森の恋愛感情がわからなかった

このことについては自分がBL作家として創作してきていたことが
原因かもしれない。
スナックにて水森とマイは食事していた。
男女が揃ったところで「=恋愛関係」というわけではなく
「友情、疑似家族、同情、好奇心、etc…」の関係があると
思っているからだ。

その後に紫陽花の中を二人で歩くシーンがあったけど
最初の時点で水森がマイを好きだと理解してないので
セリフ通りの「罪悪感を告白するシーン」なんだなとしか
受け取っていなかった。
罪の浄化だから美しいロケーションのかな?とか。

それとメガネに対するフェチズムが自分は強すぎるからかもしれない。

メガネが、好きなんです…!

「メガネを外している時が本来の水森という人間だ」ということを
表す重要アイテムだったらもっと念入りにねちっこく表現するのでは
ないかという思い込みが自分にはあった。

◻︎「ずれた世界を直視せずごまかすためのメガネ」

公式メモリアルブックの
5話、野木さんの演出解説より

「ずれた世界を直視せずごまかすためのメガネ」への
布石として伊吹が空にサングラスを空にかざすカットが入っている。
脚本にはなかった部分で、なるほどと思った。

たしかに、ここのシーンはかっこよくて印象に残ってるんだけど
その分「水森のメガネ」の印象のがちょっと薄くなってしまって
「伊吹側に重要な何かがあるのかな?」と期待しまった。

水森という人物が強盗だということは理解してるけど
この時点では「犯罪者やん」としてしか思ってないから
視聴者の自分はどうしたって志摩と伊吹の方に気持ちを乗せて見ているし
水森より伊吹の物語の方が興味ある。

なので自分は
水森からマイへの気持ちを理解できてなかった
水森の気持ちの転換点が理解できてなかった

それともわざとだったのかな?
水森という人間の考えてることを抑制しておいて
最後の最後に爆発させるという。
水森の叫ぶシーンは心が動かされたし
ものすごく印象に残った。

ただここに至るまでの流れが
マイへの愛情
共犯と疑われてしまったマイへの罪滅ぼしだったと
自分の場合はあとから「情報」として理解したから
感情の盛り上がりが分断されて受け取ってしまい
満足感が足らなかったのかもしれない。

「男女の関係」「メガネというモチーフへの執着心」
自分は独自の解釈を持っていたから咀嚼するのに時間かかった。
これが「自分は微妙に感じた」の原因だった。

とはいえMIU404全体が面白いのには違いない。
この『夢の島』のストーリーは
外国人技能実習制度の情報を入れないといけないし、その上で
・強盗事件の捜査
・ゲストキャラクターのドラマ
・主役二人のドラマ
を45分に収めるように作らなきゃいけない。

その時点で本当に素晴らしいのは大前提。
4話が圧倒的に感情移入してしまう回の後だったから余計に
5話に物足りなさを感じてしまったというものあるかもしれない。

自分が感情的に入り込むというより、
外国人技能実習制度について考えさせられたから。

◻︎外国人技能実習制度を取り上げた話

自分は事件もの、バディものが好きなので『相棒』も大好き。

外国人技能実習制度は
『相棒』でも自分が覚えている限り2回取り上げられたことがあった。
相棒season14 16話「右京の同級生」
相棒season18 4話「声なき声」
 ※今ならGYAOで2020年10月14日(水) 19:00まで視聴できます

だだ、相棒で外国人技能実習制度についての話を観た後と
今回『夢の島』を観た後との余韻がだいぶ違った。

◻︎相棒との比較

まずドラマのタイプを比較すると
『相棒』は1話完結の「レギュラードラマ」
『MIU404』は1話完結風に見せている「ストーリードラマ」

ざっくり言うと
「レギュラードラマ」は主人公が変化成長しない。
「ストーリードラマ」は
作品内で体験したことによって主人公が変化成長する。

詳しくはこちらの説明をどうぞ。

「レギュラードラマ」
主人公が変化成長しないので最初の設定からブレない
強いキャラクターが魅力。

『相棒』もバディものとはいえ右京さん残しで片割れが変化しているのは
右京さんこそが主人公で、
右京さんの価値観をブラさないからこそ何シリーズも続く
人気ドラマになっているんだと思う。
キャラクターがブレてはいけない。
うっかり闇落ちした右京さんなんか視聴者の誰も望んでいない。
どんなに辛い出来事に触れても
右京さんの正義を貫いてほしいと思っている。

なのでレギュラードラマの主人公は
個人的なイメージだけど、
誇張された超人になりがちな気がする。
それが愉快痛快ではあるんだけれども超人が居る世界は
ファンタジー感が強くて自分とは別世界の出来事に捉えてしまう。

『相棒』の方の外国人技能実習制度の扱いは
制度を利用して旨味を吸う
「巨悪」に対する断罪にフォーカスしていた。

見た当時の自分の感想はこんな感じ。
「外国人技能実習制度の悪用は自分から遠い世界で起こっている」
「巨悪VS特命係」
「右京さんだから立ち向かえるんだ」

ドラマを見て、「いつも通り相棒面白いな」と思って
そのまま忘れてしまった。

「ストーリードラマ」は主人公が変化成長する。
特に『MIU404』は現実と地続きであるように描かれている分
本当に志摩や伊吹が現実に存在しているように感じられる。

視聴者である自分と
地続きの世界にいると思ってしまうような志摩と伊吹が
マイというベトナム人女性と出会い、個人として関わりを持つ。

自分が感情移入している志摩と伊吹から近距離の視点で
マイに好きな人がいること、お金がないと暮らせないこと。
人として共感してしまうことをを描く。
マイの状況を聞いた伊吹のやるせなさを
そのまま視聴者も受け取ってしまう。

マイは最後に技能実習1号を受けているという終わり方だったけども
現実ではエリートでなく、異常な低賃金や劣悪な労働条件技能実習生たちが
存在していて問題は解決してないまま続いているんだよな…と
苦い課題を渡されたままの気持ちになっている。

どっちが優れているという話ではなくて
どういう狙いで作られているか、の話。

だって、娯楽としてのドラマを観終わったあとも
課題を抱えていることが果たして良いことなのかどうかは
人にも状況にもよる。

ただ、「辛さを受け取った」から
「満足しなかった」というのとはまた別の話。
「辛い」という心が動いたということは「感情」が「動した」ということ。
水森の気持ちは分かりづらかったと書いたけど
マイの状況、外国人技能実習生の状況が過酷な状況で働いているということは自分の頭の片隅には残った。
その「受け取った」ことに対する満足感がある。
私はこの『夢の島』を見て良かったなと思ってる。

一応、調べてニュース記事を読むくらいはしてみたりね。

◻︎信頼できる男、星野源のオールナイトニッポン

自分のMIU404活のルーティーン。
『 夢の島』を見終わったあとにもやはり
信頼できる男、星野源のオールナイトニッポンを聞いた。

また書き起こしされた方のサイトを貼らせてもらいます。

その中で、この台本を読んで「すごく勉強をしたい」と思って、
いろいろ本を読んだりとか、サイトを見たりとか、ラジオを聞いたりとか。
いろいろした時に、友達の荻上チキさんとお話をしてた時に
「今度、こういう内容のドラマなんです」っていう話をしたら、
1冊の本をお勧めしてくれて。それが
『ブエノス・ディアス、ニッポン:
外国人が生きる「もうひとつのニッポン」』

っていう本だったんですけども。

なるほど、そういう本があるのかと。
この本をちょっと読んでみようと思って探したら
この週はどこも売り切れだった…さすが星野源の影響力。

運良く図書館で借りられたけど
目に馴染みのない専門用語が多くて
返却期間までに数十ページしか読めなかった。
次の予約の人が居たので延長もできなかった。
星野源効果に違いない。

外国人事件専門の弁護士さんの事件簿といったような内容だったんだけど
本当に自分は何も知らないんだなと改めて思い知ったよね…。

ここまでが「#05 夢の島」感想のワンパッケージだったため
書くに時間が掛かってしまった。
このまま〆るのはしょっぱいので最後に5話で萌えたポイントを
挙げて終わる。

◻︎萌えポイント

・伊吹と志摩のきゅるっと談義。伊吹、男子中学生か!
・志摩の「よし行け」のハンドサイン。犬の飼い主っぽい。
・「あーだからか、我流だらか」の志摩の口調。
 めちゃくちゃ煽りよるwさすが刑事w
・「やったばい」と腕組みする九ちゃんとその横の陣馬さんの顔。
・エレベータの扉が閉じ切るまでの志摩の表情。

#MIU404

#アンナチュラル

#テレビドラマ


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