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関テレ 住民投票TV討論の文字おこし大要(9月8日放送『報道ランナー』)

関西テレビ『報道ランナー』で9月8日に放送された「都構想討論会SP」の内容を文字おこしし、大要にしました。

※表現は「である調」に整えました。司会アナウンサーの出演者への発言の振りは、省略している部分があります。

正確な表現は、カンテレchannelの動画をご確認ください。
⇒ https://www.youtube.com/watch?v=Ra9DGOL13V4

【出演】
大阪維新の会 松井一郎代表
公明党大阪府本部 土岐恭生幹事長
自民党大阪市議団 北野妙子幹事長
共産党大阪市議団 山中智子団長
司会アナウンサー 新実彰平さん、薄田ジュリアさん
解説デスク 神崎博さん

司会 今回の討論の趣旨は、「コロナから見る未来像」だ。「都」構想は政令市を解体して四つの特別区に再編するものだが、全国でもこういう例はない。できたらどうなるのか、なかなか具体的につかみにくい。今回は、コロナ対応からある意味、都構想を先取りするような政策があったのではないかという観点から、具体的な政策から「都」構想の内容をつかんでもらえたら。

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〔世論調査で、年代別結果で特に60代、70代以上の高齢者層で、前回と比較すると賛成の割合が増えていると紹介〕

司会 5年前、高齢層で反対が圧倒的に多かったのが、間違いなく敗因の一つであろうと言われているが、その高齢層で少し賛否が拮抗し始めているというのはどう分析するか。

松井 5年前のデマで反対が多かったというところを、「都」構想というのは役所の制度を変える話なんで、この制度でいきなり水道料金が値上げとか、公営住宅が値上げとか、そういうことじゃないんだなということが少し理解されてきたのかな。
 高齢者の皆さんは年金で生活されているので、水道料金、住宅の家賃がいきなり値上げされると、即生活に影響出るから、そういうところが、いやそういう話じゃないんだと。
 これ僕らはこの5年間、制度を変える話と公共料金の話は別だとずっと訴えてきたので、そういうところをご理解いただけたのかなと思っている。

山中 生活に影響が出るというのは決してデマではないということは申し上げておきたい。やっぱり今回は、コロナで大阪府と大阪市が一致をしていて上手くいっているという、かなり作り上げられたものだと思うが、これがやっぱり浸透したことで、よりコロナを怖がっている高齢者の皆さんが支持している傾向はあるのではないかなと思う。

司会 デマ云々については、すなわちすぐに水道料金が上がるとか、いまやっている区役所の業務が全くなくなるという論が当時あったのは事実だが、そのあたりは事実誤認であることは間違いないと思うが、今後どうなるかはわからない。

松井 水道料金とかは、今後、大阪市であってもこれから少子化・高齢化社会になれば、やはり水道の給水管、老朽化しているから、これをやりかえていかなければならない。大阪市のままであっても総括原価方式なので、これはやはり料金は投資に見合った料金になってくるわけで、制度を変えることと全く別の話。

司会 公明党は5年前は反対し、今回は賛成。世論調査で公明支持の人に聞くと、都構想賛成が26%、反対57.4%。この状況、ちょっと厳しいですね。

土岐 そうですね。いま説明会を順次やっているが、説明会で反対されている方に「なぜ反対の意見が多いのか」と聞くと、「公明党は5年前の住民投票で反対していた、だから反対」という意見が説明会でお聞きしている。
 ですから、もともと公明党が都構想に賛成だと、そういう方向性であることは知りませんでしたというようなことだったので、私は、「今回は5年前の制度設計とは全く違います」と。「私たち公明党がより良いものにつくって、安心できる都構想にしましたから、ぜひこれは賛成してください」と、このようにお一人おひとりにお願いをしていかなければならない。

司会 1月の討論会で土岐さんにお叱りを受けたが、5年前は都構想に反対していたわけではないと。概念としては賛成していたが、住民サービスの低下が避けられない制度設計だったので反対に回った。今回は住民サービスの低下を防げる可能性が高まったということで賛成に回ったと。

土岐 住民サービスはすべて維持しますということだから。大丈夫だと思っている。

司会 維持…。これ一つ議論があるところだが、住民サービスを維持するとおっしゃっているが、未来永劫維持できるのかというと難しいところがあって。

北野 そうですね。住民サービスを維持すると言っているが、それで良いのかという問題が一つある。住民サービスを維持するだけだったら、別に今の制度を変えなくていい。しかし私たちは向上がないといけないと思っている。サービスが向上しないのに、なぜ大きなお金をかけて制度を変えるんだと。

司会 今の公明党のスタンス、これまで一緒にたたかってきた公明党が立場を転じていることについては率直にどうか。

北野 統一地方選、ダブル選の大きな民意を受けたと説明しているが、同じ都構想反対、同じ候補を応援してたたかったにもかかわらず、手の平を返されたというのは非常に残念ではある。

司会 何とも言えない表情のお二人だが。まず、ざっと「大阪都」構想の説明を。(略)。松井さん、一言、これの何が良いのか端的に。

松井 成長戦略。先ほどから話のあるように、住民サービスを向上させるというのは財源が必要。予算があって初めて住民サービスが向上できる。今回、例えば子育て世帯支援なんていうのは、橋下さんが市長になって、僕が市長になって、大阪市もともと給食もなかった。今は中学まで給食があって、そしてこの4月からコロナ対策も含めてだが、給食無償化した。
 要は稼げないと。成長する自治体だからこそ住民サービスを向上できる。成長するのに、バラバラで成長できないでしょと。できなかったじゃないか今まで、10年前。

司会 (略)

松井 この10年、成長してきたじゃないか。府市一体で。できなかったんだから、以前。それを、いま人によってやれているところを、また元に戻ってしまう。府市対決、対立になる。

山中 まず財源が、仕事見合いで特別区に6600億円とあるが、それが本当にくるかどうかについては全然担保がない。その上に、小さく書いてあるが初期コストだ。庁舎をつくらないという今回の案でさえ、最初のコストが241億円。毎年30億円、ランニングコストが増えるわけだから、今までよりも収入が減って支出が増えるわけだから、特別区は今の住民サービスは維持できないと思う。

司会 移行コストが最初に241億円、ランニングコストが年30億円がかかり続ける制度だが、賛成派からすると、これだけのコストをかけてもこの仕事とお金の分配によって成長の果実が生み出せるので必要経費だという考え方で分かれている。(略)

司会 ニアイズベター、区長を直接選べる方がいいのではないかという意見もあるが。

北野 特別区長をたとえ選挙で選んだとしても、かなり財政厳しいということで義務的な経費に追われて、やりたいと公約を掲げて選挙に出たとしても、それを実行できない。それぐらい厳しいひっ迫した財政運営を行わないといけないというのが、この都構想の特別区だ。
 いらっしゃいキャンペーンを7月の末ぐらいに、一度黄色信号がついたということで、それでもなお延長された。そのことについての政策判断、それはストップするべきだったのではないかと感じている。

司会 (略)

山中 別に府と市が協力することについては、したら良いと思う。折半ではない。別にそれでも良いが。ただ、税のありようとしてすごく曖昧で、結局、それを決めていく意思形成過程が全然分からない。突然、トップダウンでバーンときて、さっき北野先生もおっしゃったが、感染の状況と合わせて続けていいのか検証も全然しないでやってしまうという、これが今回の仮想都構想ということで、これが姿なのであれば非常に乱暴なものになっていく。

松井 そこだ。山中さんが今言われていた。もっと府と市と話し合いをしながら、検証しながら、とにかく議会も巻き込んで、この政策が正しいかどうかどんどん話し合いで進める。話し合いはしていた。これまでも。僕と橋下さん以前も。でも答え出なかったから。話し合いをして実行しないと結果つくれない。このスピード感の遅さが大阪の成長に非常に悪い影響だった。これからは府がこれを担うことになれば、府知事が考えて、府知事と府議会で判断できる。

山中 間違ったときに誰が止めるのか。

松井 今までいっぱい間違ってきたじゃないか。その時に止まらなかった。

司会 世論調査によると、コロナが収束していないなかで住民投票を実施することについて、いまの状況なら実施すべきが48.2%とほぼ半数。収束してから実施すべきが35%、コロナに関係なく実施すべきでないが13.9%。

司会 賛否が割れている。コロナが与えた都構想への影響を見ていきたい。まず、特別区のお金は足りるのかの話から。財政シミュレーションというものがある。(略)大阪メトロは4~6月の決算、62億円の赤字になった。原因は新型コロナ。これ(赤字)をここ(シミュレーション)に入れていない、計算をしていないなかで、本当に特別区はやっていけるのか。

北野 やっていけない。財政シミュレーションは、メトロが出している減収をまったく反映していない。今出ているのは19年の、インバウンドが好調で非常に上向きだったときの試算だ。よってその時の71億という、これずっと横置きにしているが、そこまでぐっと伸びていって、それで一定止めた後、71億を横置きにしているので、前提としてメトロの順調な成長、今のマイナスのことは反映されていないどころか、順調にそのまま推移していっていることが前提になっているので、財政シミュレーション間違っていると私たちは主張している。

司会 これは大阪メトロが中期経営計画で出した目標から大阪府市が算出したもの。土岐さん、メトロの売り上げがこれぐらい上がるというのを前提にしているシミュレーションで大丈夫かという意見だがどうか。

土岐 財政シミュレーションなので、一応メトロの配当の計画で一応反映させているわけだ。

司会 コロナの影響が入っていないというのはどうか。

土岐 今は確かにコロナの影響で62億円の赤字だが、これから先考えた時には万博もあるし、そういう点では必ず上がってくると。こういうことは必ず言えると思う。一時的な事象だけで、「財政シミュレーションが違うんだ、違うんだ」というのは間違いだと思う。

松井 これ、今年のコロナの影響だ。2025年まで、マイナス、コロナで続くか?まず。それで、その時点で、この状態でコロナが更にウイルスが強化され、もう全くメトロに乗客がいない、メトロのビジネス成り立たない。これはもう言い出したら日本中成り立ってませんよ。そういうので言い出すと。
 だから、これは今年はこうだけども、メトロのポテンシャルから言うと、コロナが収束すれば十分25年からこのシミュレーションは成り立つと。

司会 19年にインバウンド含めて絶好調だったときの目標値を反映させているが、インバウンドもあの頃のように戻ると、少なくとも25年においては。と松井さんはお考えか。

松井 うん、インバウンドは十分戻るし、その成長を確実なものにするために府市が一体になるべきだというのが僕の考え。それともう一つは、日本の地方自治体というのは国の地財制度のもとで成り立っている。

司会 つまり交付税が下りてくると。

松井 そう。それが日本の制度だ。だから、地方自治体が税収が下がったときは、交付税措置の金額が増えるという。これが日本の財政制度なんで、各自治体が成り立たない、特別区成り立たないというのは、日本の制度そのものを否定する話。

司会 赤になったら交付税がどうせ下りてくるからということを言い始めると、シミュレーション何のためにあるのかという気がちょっとするが、どうか。

北野 71億円を全く引いてしまうと、完全にゼロ以下ということで、このシミュレーションは成立しない。一番問題なのは、昨日、大阪メトロの社長さんが来た市会議員との連絡会があったが、その席でメトロの河合社長さんが、71億円を計上していることをご存じなかったのが大変問題。やはり、一企業の浮沈というか、業績の悪化や良い時とか、そういうものを加えていくのは、やはりそれ頼み、メトロ頼みの特別区の制度設計であり、財政が成り立ちますよ証明しているのは非常に危うい、脆弱だと言わざるを得ない。

司会 シミュレーションに将来の数字をどうやって算入するのは難しいというのは理解できるが、市民は何とか将来像を見たいと思っている。

神崎 そう。確かにコロナが4年後、5年後どうなっているか分からへんというのはあるが、ポストコロナで働き方が変わっている、リモートワークでみんながメトロに乗って勤務先に行かへんようになっている場合もある。大規模なイベントができにくくなっている状況もある。なので、前の通りほんまに戻るかってなかなか難しいと思うので、そういう意味において、前の状況の良いシミュレーションがあるなかで、最悪のシミュレーション、ちょっとは悪くなっているが徐々に回復していく、3段階くらいのシミュレーションがあって、ある種幅を持たせて、幅の中から市民がどうなるか判断基準にすると。三つくらいあってもええのかなと思う。

司会 住民投票までに複数パターンのシミュレーションを市民に提示するのは不可能か。

松井 いやこれは一定の前提条件を置いた数字だから。メトロの、会社としてメトロの長期の財政シミュレーション出してきたものをここに入れ込んでいるわけだから。これはどんな会社でも、民間の企業でも5年、10年のスパンで、経営戦略練るときは、やっぱりある程度予測された数字を入れた経営戦略になるわけだから。これは全然問題ないと思う。

司会 メトロの予測を待たざるを得ないということか。

松井 北野さんさっきも言っていたが、大阪市じゃあね、今までね、関西電力の筆頭株主でもあるが、関西電力の株主配当、東北大震災のときにがばっと落ちましたよ。そんなこと議会、何も問題にしなかったじゃないか。報告受けたことあるか。

北野 一企業に依存している財政シミュレーションを、唯一の財政が成り立つという根拠にしているわけだ、特別区は。それはおかしいじゃないかと言っている。すり替えだ、論点の。

松井 同じように他の株主配当の部分も入っている。そういうのも全部入れ込んでいるのに、ここだけまた特筆して出してくる。

司会 結果的にこの数字がちょうどかろうじて赤字を脱する金額と近い部分があるので、これなくなったら赤字になるんちゃうんという話が降ってわいて出たというところが一つある。

松井 うんだから、赤字に、これでね、この数字が、25年にこの数字には僕はならないと思う。普通に経済を知っている人、日本の経済のなかでこのコロナの影響が25年まで続くという学者はいないんじゃないかなと思うけど。

司会 まったくもって時間が足りなかった。11月までにもう一回予定しているので、4人に来ていただきたいと思っているのでよろしく。


〔文責:残そう、大阪〕
※記事中画像は、番組画面より。

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