住民投票するのは市民にリスクがあるから 大阪経済大学・柏原誠さん
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住民投票するのは市民にリスクがあるから 大阪経済大学・柏原誠さん

〔2020年10月25日 「大阪のための緊急街宣」でのスピーチより〕

 こんにちは、大阪経済大学の柏原誠です。地方自治や都市の政治を研究しております。私は、生まれてこの方半世紀と少しですが、ずっと大阪市民です。小学校から大学まで大阪市と大阪府にお世話になりました。
 個人的な心情として、一週間後の住民投票で、大阪市がなくなることが決まるかもしれない、それを考えるだけでいたたまれない気持ちです。50過ぎたおっちゃんの単なるノスタルジーではないという話をします。

 松井市長は、「住民投票は究極の民主主義」といいますが、権力にいる人が「究極の民主主義」とか言うときは注意が必要です。民意を都合よく使おうとしているからです。民主主義は単なる多数決ではなく、それに至る過程が大事です。事実に基づいた十分な量の情報が提供され、市民が理解して、様々な意見が交わされること。
 新型コロナ感染症で、これらの条件はほとんど満たされてません。その上、賛成する側が行政組織を動員して偏った情報が広まっているし、告示後に、「姑息と言われるのがいやで」住民説明会の動画なども削除してしまいました。投票の前提条件は著しく損なわれています。

 それでも来週行われてしまいそうな住民投票の意味を考えてみましょう。この、住民投票は法律で決められていて、指定都市を解体して特別区を設置することは、指定都市の市民にとってリスクがあるから最終的に同意するかどうかを決めるためのものです。これは今は賛成されている政党の国会議員が国会で発言したことです。

 指定都市とは市町村の中でも、都道府県が受け持つ仕事もできる、国と直接交渉できる、パワフルな立場。維新の会の市長が始めた塾代助成とか給食無償化とかも、指定都市だからできるんです。「大阪市は子育て政策が充実してきたよね」っていう人は、反対票を入れることをおすすめします。

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 特別区は、中核市並みの権限でニアイズベター言うてますが、行政サービスちゃんとやるためには、お金と人手が大事です。お金は、自主財源は大幅に減って、府からもらうお小遣いが大きな割合になります。お小遣いなので、いくらくれるかは府が決めます。

 人手も、大阪市の人事担当者が、四つに分けたら行政サービスが維持できないよって言う意見を出してますね。また、コスト削減のために新しい建物を建てないので、あたらしい天王寺区とか淀川区の職員が北区の本庁舎で仕事する、組織として無理があります。
 こんなので、特別区設置後もサービスを維持できると考えますか。みなさん、よく考えてご判断ください。

 それから、賛成しようかなという人の半分は「二重行政が解消できるから」というご意見のようです。ちなみに、松井市長は「二重行政はもうない」といってます。市長と知事が、同じ政党で方向性がおなじなので「バーチャル都構想」らしいです。指定都市があったら過去に戻るらしいです。人間は反省する力とか学習能力というものがありますね。
 市長・知事が人間関係で行政をやられてはたまりません。選挙で選ばれた市長・知事は、市民・府民の雇われ社長であって、支持者の代表ではありません。人間関係最悪でもやってもらわなあかんときは折り合いをつけてやるべきなんです。そのために議会もあるし、大きな職員機構があります。

 危機対応能力として新型コロナ感染症対策を見てみましょう。バーチャル都構想の大阪府・大阪市と、犬猿の仲、市長が知事のリコール運動してるぐらいですからね、の愛知県・名古屋市の新型コロナ感染症でお亡くなりになった人の数を10万人あたりで見てみますと、大阪府は愛知県の倍以上。人間関係が良かったら政策もうまく行くわけではないのです。もちろん、市長・知事の人間関係ではなく、行政がきちんと協調できているからです。 

 それから、一般論として、日本の地方自治の制度では二重行政みたいなものは発生します。指定都市では現れやすいと言うことはあります。地方自治の大きな流れは住民にいちばん身近な基礎自治体優先です。賛成派的に言うとニアイズベター。2つあっても市町村に力があるということで喜んだらいいのです。都道府県は、それができない市町村のサポートに回ったらいい。市町村を補完するのは都道府県の大事な仕事です。
 特別区設置は、できている大阪市をむりやり、財源も人材も不十分な特別区に分割することですから、トレンドに逆行しています。

 特別区制度の問題点は他にもいろいろありますが、短い時間では説明できないのでおいておきます。これから一週間、すごい宣伝戦になると思います。その時に頭に置いてほしいのは、直前になればなるほど、不正確な情報やワンフレーズで惹きつけるテレビコマーシャルみたいなものが流されるということです。そして、それがファクトチェックされる前に投票日を迎えてしまう。言うたもんがちになる。これが恐ろしい。アフターコロナで変わる価値観とか世界観が今の案にはまったく入ってない。大阪のために統治機構を変えるべきと考えている人もそれでいいのですか?

 投票日直前になって、政治から示された案を選ばされるのではなく、市民が日頃から、難しいテーマではありますが、私たちの町の政治のかたちを考えて提案するぐらいが求められていると思います。そのときには、未来をここで生きる子ども・青少年、この町を一緒に作ってきた外国籍の市民も一緒に。
 反対票を入れることで、その道も開かれています。研究者として、そのためのお手伝いもするつもりです。

 市民一人一人が、大阪市を廃止し特別区に分けることの意味と大阪の将来をよく考えて、ご判断されることをお願いしてこのスピーチをおわります。ありがとうございました。

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大阪市廃止=「大阪都」構想の住民投票で、「反対」票を呼びかけるキャンペーン「残そう、大阪」です。 WEBサイト⇒https://nokosoosaka.com/ #大阪市廃止にNO